そは黄金の太陽神ラーゼスと銀の月神ディーゼによりて造られし世界。
その雄々しい男神の耳を飾るは黄金の長剣と竪琴。そして美しき女神の耳にあるは銀の竪琴と剣の耳飾り。
それは、それこそが、その夫婦神の武具、世界を創世し耳飾り。
その長剣持ち、混沌の闇を、魔に潜む輩を払い、赤、青、緑の三色の光放つ竪琴もて世界を創りたもう。
夫婦神は、世界とそこに住まう全てを心より慈しみ、男神は、時に厳しく、時に暖かく、その光にてくまなく照らし、女神はその微笑みのごとく、優しさと静寂で世界を包み込んでいた。
時は流れ、・・神の世は終わり、おごり高ぶった人々は創世神を忘れ去っていく。
嘆く夫婦神はその姿を隠し、代わって、闇王が現れる。
闇王・・それは、男神ラーゼスの負の心。絶対神となるべく、自ら捨て去った心の半身・・。絶対的な闇の力を有する者。闇の支配者。
その人の世を揺るがすかに見えた闇の恐怖と混沌。
人の世は、1人の姫巫女により闇の支配を免れ、人々は彼女を通して神の心を垣間見、感謝の心を取り戻す。
が、時は繰り返し、人は繰り返す。平和な時が忘却を呼ぶ。
その忘却の片隅に病んだ闇の世界があった。主を失った闇世界の崩壊。
ゆうるりと流れる時の中、闇はその痛みをやわらげてくれるであろう人物を捜し求め、静かにうごめいていた。
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