緑ぷよグリリの大冒険  


●● その5・一難去ってまた一難! ●●


どこをどう走った(飛び跳ねて来た)のか分からない。とにかく、無事ドラコから逃げることができたグリリは、息が切れ、しばらく動けなかった。
見知らぬ森の中、辺りはもう薄暗くなっていた。
グリリは、周りを確認してから、疲れ切った身体をなんとか木陰まで引きずると倒れ込んだ。そして、そのまま眠りこけてしまった。

 「あ、あれ?朝?」
どうやら一晩中眠ってしまってたらしい。
「ふう・・・これからどこへ行ったらいいぷよ?デビルくんってどこにいるぷよ?」
グリリは途方に暮れていた。でも、立ち止まってても仕方がない。当てはないが、とにかく歩き出す。
「お腹すいたぷよぉ・・身体が重いぷよぉ・・・・・。」
いつもの元気も出るはずもなく、グリリは、ずるずると身体を引きずるように移動していた。
一旦村に帰りたくても、道さえ分からない。
「かあさん・・プヨン・・先生・・」
ぐすぐすぐす・・ついにグリリはべそをかき始めた。
「ぷよよぉ・・・(T-T)」

「あっ!みどりぷよ、見っけ!」
−ギクッ!−
ガサガサっと木陰から出てきたのは、アルルと同じような格好をした紙袋?をかぶったへんな奴。
「ぷよ、ぷよぉーーーーー!」
ドラコの時のことがある。グリリは必死で逃げ出した。
「あっ!見つけましたわ、みどりぷよですわ!」
青い服、青い帽子の女の子と目が合う!
「ぷよ、ぷよ〜・・・」
急ブレーキをかけ、方向転換して逃げる。
「お茶、いらんかね?」
ブラックリストその一、スケルトンTがお茶をすすりながらにやっと笑う。
「ぷよよ〜・・・」
白い服を来た男のそばを駆け抜けた。
「おい、待て、そこのぷよ!」
「待つもんかぷよっ!」
いつの間にかお花畑。その途端、女の子の顔をした大きな蜂が注射器をかざして襲って来た。
「お注射でござーる!」
・・・顔としてることが似合わないよぉ〜。
「注射きらいぷよ〜!」
ひたすら逃げ回るグリリ。
「おっ!ちょうどいいぞぉ。こっちへ来るんだぞぉ。」
蜂の次は象。
「誰が行くぷよ!」
「成敗いたす。」
もぐらがいきなり地面から出てきた。
「どうしてボクが成敗されなくっちゃいけないぷよ?」
「あっ!ぷよだにゃん!丁度いいにゃん!お手玉して遊ぶにゃん!」
今度は、目の前に双子の猫。
「ボールにされるのは、もうこりごりぷよ!」
急ブレーキをかけ、直角に曲がる!
「ミノ!今そこを走っていったぷよ、捕まえて頂戴!連鎖秒読み開始よ!」
お高く命令する女の声と、後ろから大きな足音が!
逃げながらちらっと後ろを振り向くと、追いかけてくるのは、なんとミノタウロス!手にはすっごくよく切れそうな斧が・・。
「もう、いいかげんにしてぷよぉ!」
死に物狂いでスピードアーップ!!
「ぷよぷよぉーーーーー!」
何が何だか分からない。いろんな人(物?)と目が合う度に追いかけられ、逃げては見つかり、逃げては見つかってまた逃げる、の繰り返し・・・・。
・・・村の外は恐ろしい所だって、先生から聞いてたけど、これほど恐い所だとは思わなかったぷよ!
「ぷよぷよぉ・・・・・・・・・!」
空腹感も望郷の念もどこへやら、グリリは、必死で逃げ回り続けた。森を、草原を駆け抜けて。

「あ、あれ?ここはどこぷよ?」
逃げ回り続けて一日が暮れたころ、グリリは村らしきところに来ていた。
「はははっ!『どこ』って言ってみても、分かるわけなかったぷよ。」
自嘲気味に薄ら笑いするグリリ。あまりにもめまぐるしくいろんなことがあって、頭が崩壊し始めてるのかもしれなかった。
「ボクを追いかけてくる気配はないみたいぷよ。」
シーンと静まり返った村。ついさっきまでのように大騒ぎして追いかけ回されるのもいやだけど、ここみたいに静かすぎるのも、気持ち悪い、と思いながらグリリは、村の探検を開始した。

びくびくしながらも、グリリはまず村の入り口に一番近かった家に開いてた裏口からそっと入ってみた。
「な、なんだぷよ?」
グリリはびっくり仰天した。家の中には確かにそこの家人と思える人間たちがいるはずなのに、そこにいるのは、石像の家族。暖炉を囲んでおかあさんとおとうさん、そして、女の子のものが。勿論、暖炉に火はついていない。
「せ、石像ぷよ?」
一人一人確認しながらグリリは目を見張った。
今にも動きそうなほど、精巧にできている。
そして、次の家も、その次もそうだった。
「ど、どういうことぷよ?ここは石像の村ぷよ?」

−くんくんくん・・・−
村のほぼ中央に来た時だった、石像の村にしてはおかしい何か食べ物の匂いがしてきた。
「誰かいるぷよ!」
グリリはその匂いのする方に走った。

 その匂いは、村の北にある木々に囲まれた少しりっぱなお屋敷からだった。
「入って大丈夫ぷよ?」
もう追いかけられるのは懲り懲りのグリリは、見つからないよう、そっと忍び込むことにした。

「ふんふんふん・・・」
匂いの根元、キッチンらしきところでは、翼としっぽのある、男の子?が料理に熱中していた。
後ろ姿だけだが、その姿から、ドラコから聞いた『デビルくん』に違いないと確信した。
「ラ、ラッキー!ボクは神様から見放されてはいなかったんだ!」
・・・ということはぁ・・・今彼は料理に熱中してるから・・・
グリリは、そっとそこを後にすると、屋敷の探索に移った。(お腹がすいててたまらなかったけど。)

「どこかに魔導石があるぷよ・・石のパワーを感じないから、たぶん結界か呪符で隠してあるに違いないぷよ。それとも彼じゃなかったら・・・・」
グリリの頭にはいろんなことが次々と浮かんだ。もうこれ以上恐怖の冒険旅行を続けたくない!その為にも、魔導石はここにあってほしい!と切に願っていた。



●● つ づ く ●●



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