広大な宇宙、そして、無限の広がりをみせる異空間・・・
これは、宇宙・異世界・電脳そして現実空間を、
愛に乗せ、命をかけて日々メールなどの宅配物をデリバリーしている
2人の若き女性デリバラー(平社員)コンビの話、
近未来スペース・ファンタジー?コメディーの1話〜2話で完結のシリーズ作です。

 
 

 「ぶっわっかも〜〜ん!!プレゼント(ウイルス)付きのメールを届けるとは何事だ〜〜〜!!」
その日の終業も、係長の罵声で締めくくることとなった。

久美子と千里は共に社会人一年生。『(有)スペースデリバリー』の配達課に所属し、なかなか慣れない仕事に、日々てんてこまいしている。

デリバリー・スペース・カーに乗り、1歩移動空間に出れば、そこはならず者の闊歩する空間。
『ハッカー』という名の海賊や、『デベロッパー』という名の暴走族が待ちかまえている。 


 

 「やっぱり、ADSL(アドセル)カーっていいよねー。」
中継地(アクセスポイント)にあるカフェで、しばしの休憩をしながら、ハイウェイを流れるように走っていく流線型のADSLカーを見て、2人はため息を付く。
「いつまでもC級ライセンスのままじゃ・・・ノルマもろくにこなせないし・・・」
かといえ、日々海賊(ハッカー)や暴走族(デベロッパー)との戦いで、疲れ切っている。勉強する時間などあろうはずはない。
「やめよっかな〜。」
「やめてどうするのよ!せっかくあこがれのスペースデリバラーの職に就いたっていうのに!」
「だってねー・・・・」
遙か離れた惑星や、異空間に作られたコロニーなど、普通では到底行くことができそうもないところも行けることから、現在もっとも脚光を浴びている職である。しかも不景気な今、簡単にやめたくはない。
が・・・
「危険物扱い者(主に対ウイルス砲)ライセンスでしょ?スペースカーライセンス・・それから、あれだこれだって・・・上級ライセンスがなくっちゃ近場しかだめなんて・・。」
「これじゃ恋人探しどころじゃないわね?」
「うーー・・・・・世の中厳しいよねー。」
異空間でのコロニー(できたら中世風)での素敵な人との出会い、それを夢みてこの職を希望したというのが本音。
「って、こんなこと言って道草くってると、また係長の説教よ!」
「そうだ!早く配っちゃわなくっちゃ!」 

 

 −フィーンフィーンフィーン!−
けたたましくコックピットに鳴り響く警報!
アナログカー専用パス(通路)の渋滞を抜け、ほっと一息ついていた2人は慌てて戦闘準備に取りかかる。
「アンチウイルスビーム用意!」
「アンチウイルスビームセット完了!」
「発射!」
−ヴイーーン!−
海賊(ハッカー)の嵐のようなウイルスビーム攻撃に対し、必死の攻防が始まった。

「きゃーー!前面シールド破損!」
「右舷2時方向、暴走族(デベロッパー)発見!・・しかも複数・・・」
「うっそーーーー!!こんなポンコツ(アナログカー)になんでそう集まってくるのよー?極秘書類なんか積んでないよ〜〜〜。」
「弱い者いじめだよね、これって!」
が、弱気になっている場合ではない。
「バスター魚雷いくよ!」
「ええー?あれって、あとで使用承諾のはんこがいるよ?」
係長の怒った顔が脳裏に浮かぶ。
「だって、うろうろしてて、また増えたらどうすんのよー?」
「う・・・ビーム砲破損?!・・・」
「ほらー!言わんこっちゃないっ!無事で帰ってなんぼよ!バスター魚雷が高かろうが、なんだろうが、かまったこっちゃないわ!係長の怒りなんかくそくらえー!」
「ええーーい!もうこうなったらやけよ!」

彼女たちの明日はあるのだろうか?

 
営業日誌・INDEX
[#1]今日も係長の怒りで終業・・・は〜ぁ・・・ [#2]次元航路を出ると、ファンタジーの世界だった
[#3]ウイルス怪獣退治だ!やけくそだ! [#4]スペースカーチェイス
[#5]今日も定時帰宅は無理?・・・アナログ航路は大渋滞!
  

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