--会話だけの謎なおはなしたち・その19--

『夢を追いかけ・・・アレクシード その1』

 
【02/05/??】

セクァヌ:待って、アレク、置いていかないで!
常に同票だったアレクシードが、最近セクァヌを離してきた。
某客人によると・・・アレクシードの活躍、しかもお嬢ちゃん抜きでの話を期待しているとのこと・・・。

そこで、考えたアレクとシャムの出会いの話は・・・・・ぼつり・・・
 ↓
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『イカル国第6兵舎、そこに初めて傭兵として特定の軍に所属したアレクシードの姿があった。
アレクシード:なんだ・・あいつは・・・・あれでも王軍の兵士なのか?
兵舎の近く、一般人の出入りは結構自由なのか、女連れの男がアレクシードの目を引いた。しかも一人でなく5人も引き連れている。

シャムフェス:ん?・・・若いが無愛想な奴がこっちを見てるな。新入りか?体格はいいが、腕はどうなのだろう?
まー・・一見して分かるあの無骨さから見てオレのテリトリーを荒らされるようなことはないだろう

それが、後の大陸一の戦士、アレクシードと、大陸一の名参謀シャムフェスの初対面だった・・・らしい?

・・・が、事実は定かではない。(爆
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そして、思いついた今日の話は・・・・・。/^^;


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「アレク・・・どうしても行ってしまうの?」
「ノーザ・・。」
幼なじみのアレクシードとスピノーザは、村外れで見つめ合っていた。
その日、スパルキアは豊穣祭でどこもかしこもにぎわい、幸せに満ちた笑顔と豊穣を願う歌で溢れていた。

それに背中を向け、一人旅立とうとしていたアレクシード。
そして、数日前からのアレクシードの態度に気づき、追いかけてきたスピノーザ。

「ここは平和すぎるんだ。オレは、もっと腕を磨きたい。こんな狭いところじゃなく、もっと広いところへ出て腕を競いたいんだ。そして、いつか、大陸一の戦士に。」
「アレク・・・・」
それは十分すぎるほどスピノーザには分かっていた。
年齢的には若くとも、もはやスパルキア内にはアレクシードに勝てる、いや、その腕を競える相手はいなかった。そして、幼い頃から大陸一の戦士になるという夢を聞かされていたスピノーザにはアレクシードを止める事ができなかった。
たとえどれほど好きでも、それは理由にはならない。
しかも、アレクシードの瞳に、そして、心に自分はいないと彼女には分かっていた。
アレクシードが見つめているのは、剣士としての腕を磨くこと、自分が腕を競うことができる剣士との出会い、それのみだった。
単なる幼なじみの自分では、どうあがいても引き留められるはずはなかった。

「アレク・・」
「なんだ?」
山間へと続く道を歩き始めたアレクシードをスピノーザは思わず止める。その声は震え、今にも涙がでそうである。
が、アレクシードはあくまで爽やかにそして、期待で輝く瞳で振り返る。
(二度と会えないかも・・・ううん、きっともう会えないわ、私たち・・・。)
その瞳を見てスピノーザは思う。
「たまには帰って来てね。」
「ああ。」
「落ち着いたら手紙ちょうだいね。」
「そうだな。」
アレクシードにはすでに両親もそして身内もいなかった。彼をここに引き留めるものはなにもない。
その事実をスピノーザは痛いほど感じていた。
「母さんが・・・心配するから。」
「ああ。」
スピノーザの母親はアレクシードの母親代わりのように面倒を見てきていた。そのせいでアレクシードも彼女の母親には弱い面があった。
が、それさえも、アレクシードの剣への情熱には勝てそうもない。
「じゃ、元気でな。」
「アレクもね。」


精一杯の笑顔で見送り、遠くなっていくアレクシードの後ろ姿を見つめながら悲しく沈むスピノーザの耳に、賑やかな祭りのざわめきが聞こえていた。


そして・・・
−ガキン!・・・ぐぐっ・・・・−
ほとばしる汗、気持ちのいいほど全身を駆け抜ける緊張感と満足感。傭兵として某国の軍へ入隊したアレクシードは、そこで出会った同年齢くらいの男と剣を交えていた。
2,3才ほど年上と思われたその男は、アレクシードにとっては気に入らない部類、つまり女好きらしい男だったが、腕は確かなものだった。そして、その知略は、若いのになかなかどうして、軍のお偉方や敵の裏をかいた作戦を保持していた。
休日となるとデートにうつつを抜かすことは気に入らなかったが、(しかも相手がいつも違う)その他の点では、遠慮なしでぶつかってくる気さくさと明るさに、初対面の時の悪印象もどこへやら、アレクシードはその男といつしかすっかり意気投合するようになっていた。

そして、その男、シャムフェスもまた初対面の時こそ、なんだ、この仏頂面の筋肉バカは?と思ったが、単に筋肉バカでもないらしいと判断していた。いや、純粋に剣の腕を磨き、己を高めようとするそのアレクシードの姿勢は、上の顔ばかり伺っている兵達の中で心地良さがあった。
(天然記念物ものか?この純粋なまでの向上心は?・・いや、国宝級?)

なぜかお互い一緒にいれば、普通の人生では得られないものを体験できるような気がしていた。
そして、彼らの一生のつき合いが始まったのである。


   『参:銀の鷹』 

 
 
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