その23・炎龍の里?

 

 −ガラガラガラガラ・・・・−
一時は国都で姿をくらましたミルフィーたちだったが、国都から北へ向かうためには、途中に儲けてある関所を通らなければならず、予定外だったが、再び水龍の歌姫一行に戻っていた。
おかげで関所から先は王軍の兵士たちの護衛もついたが、自由が奪われたということは確かだった。もっともちょうど彼ら兵士達の赴任地が目的の町の近くだったということもあった。

「行方不明の後だからって・・・仰々しく護衛なんかつけれくれちゃって。」
「そうねー・・・でも、さらわれたとかいうんじゃなく、きちんと自分たちで目的の村へ向かうって書簡もだしておいたのに・・・大騒ぎして探すんだから。これは計算外だったわよ。」
「それに、まさか関所なんてものがあるとは予想しなかったし。」
「そうだな、シゼリアには、そんなものないしな。」
馬車に揺られながらミルフィーたちはあれこれ話していた。
「でもまー・・・かえってよかったんじゃないか?王軍がついててくれるんだ。これですんなり目的地まで着けるんじゃないか?」
「ミルお姉ちゃんは、それじゃつまらなかったりして?」
「・・もう・・・セイタちゃんったら・・お見通しなんだから。」
はははははっと明るい笑い声があがる。
ミルフィーにしてみれば、気楽にごく普通の旅人として旅がしたかったのである。勿論、その道中、魔物や山賊などとの遭遇も十分ありうるが、それもまた旅の醍醐味?なのである。


「あ〜あ・・・おかげで何事もなく着いちゃった。」
小さな片田舎の町だったそこは、それでも、一番大きくて立派な屋敷をミルフィーたち一行の宿舎として提供してくれ、大歓迎してくれた。
と言っても、一行がその町へ到着する2日前から雨が降り始め、ちょうど着く頃は十分な潤いを付近一帯に恵んだあとだった。
ミルフィーが着くことになっていたから、雨が降ったんだろうという声も、そして、関係ないという声もあったが、ともかく、興行だけは予定通り行われることで話はついた。
「かえってよかったわよね。また神様に祭りあげられるなんてイヤだから。」
「そうね。歌を唄ってから降るより、この方がまだ周りも静かだから。」


そして、興行の後、ミルフィーたちは、予定どおりそこから北へと進路を取り、山岳地帯にある山村へと向かった。もちろん、兵士達とはそこで別れ、初めて気楽な旅ができたのである。
そして、古くからあるその小さな村は湯治場として有名であり、また炎龍伝説、つまり、炎龍の神殿が近くにあるという言い伝えがあった。
その伝説のせいもあり、村外れには小さいながらも炎龍の神殿と称される建物も、神龍の教えを説く教会もあった。

「じゃ、それぞれ別れて聞き込み・・といっても小さな村だから聞き込む場所も情報も限られてると思うけど。でも、炎龍のことがあるから、よ〜く調べる必要があるわね。」
「そうね。歌姫で来てるわけじゃないから気楽だし。」
ふふっと愉快そうに笑ったミルフィーに笑みを返し、宿を出たジャミンの表情は心なしか緊張気味だった。
それもそのはず、もし本当にこの近くに炎龍の本神殿があるのなら、炎龍の騎士もまた近くにいるという可能性があった。そして、その騎士が、ジャミンの予想通りファンガスだったとしたら・・・ジャミンの心は緊張感と共に逢えるかもしれないという期待と不安が混ざりあっていた。


そして、その夜、夕食時には宿で会う約束であったにもかかわらず、そこにはジャミンの顔はなかった。

「どうする?」
「どうするって言っても・・・・」
先に食事をすませて待っていたミルフィーたちだが、時間ばかりすぎ、ジャミンは帰ってこない。
が、彼女は普通の人間ではない。龍騎士がそうそう行方不明になるわけはない。だが、それでも一人の女性には違いない。それにジャミンが約束を反故にするとは思えなかった。何か起きたのだろうか、2人の胸中を不安感が覆い始める。
その2人もそれぞれ別れ、ミルフィーはセイタと、ラードは1人で村中を回ったのだが、これといった収穫はまるでなかった。おだやかな田舎の村、素朴で気さくな村人たち。湯治に来ている人々もだれもがにこやかに対応してくれた。ここで誰かが行方不明になるなどという事件?が起きるとは、まるっきり思えないほどなのである。


「私、その辺りを見てくるわ。」
「セイタも行く!」
「じゃ、二手に分かれて調べるか。」
小さな村、二手に分かれればジャミンの行方などすぐ分かるはずだった。
彼女が村から出ていなければ。
彼女の身に、何か特別な事が起きてない限り。

手が届きそうなほど近くに見える月の光と夜空一杯にきらめく星々の輝き、そして、家々からこぼれ出る灯りを頼りに、ミルフィーとセイタ、そしてラードは、夜の道を走っていた。

 

--SD風しかもペアじゃないけどペアルック(笑--

 


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