***チェイサー・ドーラの呟き***
[今回完璧にメイキングしておりますので、ゲームではありえないことがちらほら・・。
でも、城の地下の闇屋のおじさんが魔法耐性があるということはホントです。
そこで魔法力と魔法耐性をMAXまであげた私です。(笑 /^^;]
  

●裏追跡簿[8] 消えゆく床・・迫り来る穴

 「ちょっと!このすっとこどっこいっ!こんなところにあたしを閉じこめて、ただですむと思ってんのっ?!」
なんとか裏道を見つけて侵入しようと思っていた王城。その王城の地下の片隅にある牢の中にまるで荷物を置くようにぽん!と置かれたドーラは、その時の痛みで気が付くと同時に叫んでいた。
「ちょっと!待ちなさいよ!そこのビッグウェーブ頭っ!」
ドーラをここまでその肩に乗せて運んできた傭兵参謀カールは、ふとその言葉の意味を考える。
「・・・ビッグウェーブ頭とは・・・オレのことか?」
「そうよ、他に誰がいるって言うの?そんな頭してるのあなただけじゃないの。・・・ビッグウェーブがいやだったら・・もやし頭?それともきのこ・・・そうね、エノキ茸ってとこ?」
「・・・・・」
カールのヘアースタイルは、上に向かって整えられている。それがちょうど細いもやしかエノキ茸に見えるといえば・・・見えるかもしれないが・・・ともかく、それまでそんなことを言われたことのないカールはある種面食らっていた。
「今ならまだ許してあげるわ。あたしのプラネットバスターと交換よ。わかった?」
「・・・・」
カールはひたすら呆れ返っていた。牢の中へ入れられているというのに、さも自分の方に利があると言わんばかりの命令口調。しかも自信たっぷり。
(このうるさい女のどこがいいんだ?)
カールは思わずアレスの顔を脳裏に思い浮かべて心の中で呟いた。
(自分と正反対なものに惹かれたってことか?)
すっかりドーラとアレスはできているものと思っているカールは、そんなことを考えながらドーラを見つめていた。
「カール様!」
言いたい放題にしておいていいのか、とドーラに向けて槍を構えつつ牢番がカールの意を仰いだが、カールは無表情のまま再びドーラに背を向けた。
「放っておけ。どうせここからは出られまい。」
「何よ、それっ?!バカにしないでちょうだいよっ!・・ちょっと待ちなさいっ!キノコ頭っ!おやつはカール!」
が、カールはあくまでドーラなど無視して薄暗い通路を歩いていく。
「卑怯者カールーーー!待ちなさーーーい!」


「残念だったな、ねーちゃん?ここは一番奥の牢なんだ。滅多に誰も近寄りゃしねー。ま、ねずみに引かれないように気をつけな。」
にやにやと薄ら笑いを浮かべ、牢番もそこから離れていった。
「な、なによ・・・・このドーラ様をこんなじめじめしたところに閉じこめていいと思ってんの?!・・・・後で詫びを入れても遅いわよっ!」

一人取り残されたドーラは、しばらく彼らの悪態をついていたが・・それも徐々に勢いがなくなってくる。
「まったく・・どうしてこうなるのよ?・・・そうよ、アレス!あいつがさっさと城下町まで来なかったからよ!ぜ〜〜んぶあいつが悪いのよっ!」
薄暗い牢の中で力無く床に座り込んだところだったドーラは、その結論に達したと同時に、果然再び燃える。
「そうよ!このまま引き下がっては、ドーラ様の名が泣くわっ!・・・・アレスと、それからあのキノコ頭にぎゃふんと言わせなくちゃ!」
アレスの事を考えることによって元気を取り戻したドーラは、現状打破を計る。
「こういう古い作りのところはね、とかく歪みとかひび割れとかどこかにあるものよっ。」



「おっ!ねーさん客かいな?こりゃ、えろう久しぶりの客や。120年ぶりかの。あんまり久しぶりやからたっぷりサービス・・・は、でけへんけど、まあ買うていったってや。ホレホレ。」
「え?」
狙い通り牢の奥に崩れかかった壁を見つけたドーラは、壁を崩し続けて進んだ先で青いタコ坊主のような魔族?に出会って驚く。
にこにこ顔のツルツル頭のその人物?は、ドーラを見ると陽気に話し始めた。
「しかも、なんとまー、えろーべっぴんさんで・・・長生きはするもんですなー。」
「あ、あら・・・分かる?」
「そりゃー分かりまんがな。人間さんも魔族さんもいろいろ見てきましたけどな、ねーさんほどのべっぴんさんは、お目にかかったことありまへんて。」
「そ、そう?」
にこにことそのタコ頭は、あれこれ道具を奥から引っぱり出す。
「ほれほれ、買うってとくれな。100年物の掘り出しモンばかりでっせ?」
「・・・・・あのね、ワインじゃないんだから・・古いモンがいいとは限らないでしょ?使い物にならないんじゃない?」
「その点は大丈夫でっせ、ねーさん!」
どん!と胸を叩いて彼は自信たっぷりに答える。
「このわいの結界は確かなんや。そんなことはあり得まへん!なんならねーさん、試しにわいに火球でも放ってみ?」
「いいの?」
「男に二言はおまへん!」
どうしようかと思ったドーラだが、あまりにも得意そうに断言する闇屋を見て、ぽん!と小さい火球を放ってみる。
「熱っ!」
至近距離だったため、その小さな火球はすぐさま跳ね返ってドーラの手に戻ってきた。
「どうです?ほんとでっしゃろ、ねーさん?」
「ふ〜〜ん・・結界ねー。」
今一度、今度は頭大の火球を放ってみる。が、同じように勢い良く跳ね返る。
「後ろに道ができましたな、ねーさん?」
当然だが、ドーラとて火球をその身に受けるわけにはいかない。上手に交わしたその先にあった壁を火球はその勢いで崩していた。
自信たっぷり、にこにこと笑う闇屋にドーラは思いついたことを口にした。
「じゃ、結局年代物ということも関係ないってことね?」
「へ?」
「だって、そうでしょ?年月による風化はないって言うのなら・・100年物もなにも、関係ないってことじゃない?」
「ほ?・・・・あ、あはは・・・こ、こりゃ、1本とられてもーたわ・・。」

そして、その先でどういうわけか浮いて逃げ回るアイテムと追いかけっこをし、ようやく上の階への魔法陣を見つけたドーラは、城の1Fにある小部屋へと出る。

「え?・・・な、なによこの床は〜?」
その部屋から続いていた廊下。それは四角いその部屋をぐるっと2重に囲んでいる廊下。そして・・・ドーラが1歩その廊下に出て歩き始めると同時に、背後の床が消えていく・・・・。
「ち、ちょっと・・・何よ、これ〜〜?・・・きゃぁぁぁぁ・・・・・・」
急いでその廊下を駆け抜けようとしたドーラだが、床が消えるスピードの方が早かった。あわれ・・・再び地下へとドーラは落ちていく。

−スタッ!−
常人ならそこで大けがをするところなのだが、そこは、ドーラ・ドロン。下へ落っこちることは慣れている。スタッと上手く着地するときっと上を睨んだ。

「要するにスピードを落としてしまう角が問題なのよね?」
しばしアレスのこともカールのことも忘れ、ドーラはその廊下のトラップと格闘?していた。

「みてなさいっ!ぜっったいクリアしてみせるから!」
そのトラップをクリアしなければ、どこへも行けない(城の地下からの脱出は不可能)ということも忘れるほどドーラはひたすら挑戦し続けていた。


One Point DelaBackNext