遙かなる旅路
〜[クレール in Brandish1] Brandishストーリー〜

(24)[FORTRESS 3F]

〜 トラップに次ぐとラップ 〜

 「・・・・えっとぉ〜〜・・・・・」
そこはFORTRESS3Fの上への階段のすぐよこに仕切られた空洞。
上の落とし穴から落ちたクレールは、その壁にあったプレートの意味を考えていた。
上から落ちてきたのは2回目。
その今クレールがいるところの真上のエリアへ行くまでに、ラクサーシャや魔力を吸い取ってしまうデビル、そして巨大クモはなんとかしていた。
そう、アレスといつの間にかはぐれてしまっていたクレールは、それでも、火球は無効だが、サンダーは効くとわかったラクサーシャをその雷攻撃で倒し、デビルは接近戦、杖でバシバシ叩いてなんとか倒した。そして、糸を吐いてぐるぐる巻きにされてしまう巨大クモは、サンダーも火球も受け付けないため、無視してきた。(笑
そう、その大クモが守っている宝箱にあったカギは透過の薬のがぶ飲みでその時間を長くし、なんとかカギだけ失敬した。(ゲームでは不可能です。)

『F2L1F2R1F2R2
 F1L1F2L1F1J1
 L1F3R1F2R1J1』
『F−前、B−後、L−左、R−右、J−跳
上、心得たるべし』

「だから、前に2歩、左に1歩、前に2歩、右に1歩・・・でいいんじゃないの?」
プレートをしげしげ眺め、クレールは考えていた。
忘れないようにと手のひらに書いていったくらいである。間違った進み方はしていないはずだった。

ちょうどそこの上は、人一人が立っただけの大きさの円形のスイッチがエリア一杯に
敷き詰められていた。そして、その奥にはドアがある。が、そのドアを開けようと近づくとドアの直前の床が突如空洞となって、今クレールがいるところに落ちてしまうのである。
「でも、途中でこの通りに進めなくなっちゃったってことは・・やっぱり間違ってるのよね?どこかで間違ったのかしら?」
そんなことを考えつつ、クレールは再び上への階段を上がっていく。
最初に踏むスイッチが違うのかとスタート地点を変えてみたりもしたが、どうも違っているようである。
そんこんなが数回繰り返された時・・・・
「あ!もしかしたらっ!」
はっとひらめきまたしても階下へ落ちていたクレールは、階段をダダダッと勢い良く過駆け上がる。

「そうよ!どうして気づかなかったのかしら?前と後ろとジャンプはその通りに進めばいいのよ!で、左と右っていうのは、進むんじゃなくて、方向転換の回数?」

そして入った入口から右の隅からクレールは試してみる。

「やったわ!穴が開かないっ!」
トン!といつもなら穴になったところに無事着地したクレールは思わずガッツポーズ!可愛い子バージョン(謎 を取って喜ぶ。
「でも、どういう仕掛けなのかしら?」
それまで散々そこまで来るとぽっかりと口を開いていたのに、今は穴はなく無事立っていられる。なかなか面白い仕掛けだ、と思いつつ、クレールはドアを開けてその先に進んだ。

そして・・・・
「え?な、なんなの・・・このエリアは?」
広い空洞となっていたそこは、一面の穴。
が、魔法陣まで1本の道がある。そして、穴に阻まれた奥にも道らしきものが見える。
「他に道らしきものもないし・・。」
クレールは迷わずその魔法陣に乗る。

−ブン!−
「え?・・・な、なに、ここ?」
魔法陣から壁伝いに数歩歩いたところに入口らしき狭い箇所があった。ひょいと中を覗くとそこには魔法陣が続いている。そして、その魔法陣の中の1つにラクサーシャが険しい顔で立っている。
「転移した途端に攻撃されちゃったら・・・・」
思わずぞっと身震いしながらクレールは、そこは後回しにして、もう少し壁伝いに行ったところの魔法陣に乗った。
−ブン!−
が・・・その先は穴が行く手を阻み、行けそうもなかった。
回復と守りの魔法をかけて穴から穴へと落ちながら、そこまで行くことも考えたが・・・考えただけでも痛そうでやめた。それにドアはずっと先にある。そこまで行くのにいくつ穴に落ちればいいのか・・・目の前に広がっている穴を見るだけで気が遠くなりそうだった。おそらく魔法もそこまで持たない。

しかたなくクレールは魔法陣で1個前の魔法陣のところまで戻る。

『死せる五つの壁に灯火をともすとき道は開けよう』
来た時には気づかなかったプレートを発見し、クレールは考える。
(つまり、この辺りを魔法陣で移動して、壁に埋め込まれているスイッチを見つけて押せばいいのよね?)
移動した魔法陣の要所要所にラクサーシャがいることが心配だったが、クレールは転移と同時にサンダーの魔法を放つことでなんとかその問題をクリアした。

が・・・・問題はなんといっても魔法陣なのである。1歩進めばその先は魔法陣、あるいは連続して魔法陣が描かれている。その為行こうと思った道へ行くこともできない。

−ブン!ブン!ブン!−
何度同じところを移動しただろう。が、またしてもクレールはふと気づく。
(目的地へ行こうとするからいけないのよね?今度は行きたいと思った方向とは逆に後ろに下がればどうかしら?)
それは3つ並んだ中央の魔法陣に出たとき。進みたい方向に進むとそこにある魔法陣でまるっきり違う場所へ転移させられてしまうのである。
そこで考えついたのが、行こうと思った反対の魔法陣を踏んでみること!
そして、それは床のスイッチの時と同様当たりだった。

「やったわっ!」
怪しいと思っていてもどうしても行くことができなかったところへと進むクレール。その先にイリュージョンの壁を見つけ、その先にスイッチがあると確信してそこへ踏み込む。

−シュルルルル!−
「きゃぁっ!」
壁を通り抜けて出たところにスイッチはあった。が、そこには巨大クモもいた。
「う、動けない!」
待ちかまえていたように糸を吐き出し、クレールの全身をグルグル巻きにして巨大クモは目を細めて喜ぶ。
「も、もうダメッ!」
カッと開けたクモの大きく鋭い牙にクレールは思わず目を閉じる。

−ザシュッ!−
「え?・・・・あ・・アレスさんっ!」
なんという天の助け。アレスがクモを斬り殺していた。どうやらクレールが魔法陣であちこち飛ばされ続けているうちに、いつの間にか追いついてきたらしかった。
「これが最後だ。」
そして、クレールをクモの糸から解放すると、アレスは小さく呟いてから最後の1つとなっていたそこのスイッチを押す。
「ありがとう、アレスさん。」
深々とおじぎをし礼を言っている間に、アレスはクレールの目の前から消えていた。

** to be continued **


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