遙かなる旅路
〜[クレール in Brandish1] Brandishストーリー〜

(4)[RUINS4] ドーラとアレスと貧乏くじ

 

 「やっとお出ましね、アレス!まさかここまで追って来るとは思ってなかっ・・・・あ、あら?」
エリア4へ入り、手近な扉を開けたときだった・・いきなり話しかけれらたクレールは驚きながらも その声の主である女を見た。
「メ、メルメラーダさんもだったけれど・・この人も・・・・ううん、もしかしたらメルメラーダさんより上手かも。」
クレールは感心していた。それもそのはず、マントこそはおっているものの、その肉体美を誇示しているかのような、そして、クレールにしてみれば裸同然のその格好。
「な・・・なによ・・アレスじゃないじゃない?!」
出鼻をくじかれたその女は、明らかにがっかりしていた。
「え?ア、アレス・・・さん?」
「そうよ!あなた、見なかった?」
その勢い余った口調にクレールはどぎまぎしながら答える。
「さ、さきほどこのエリアに入る前にお店で男の方にお会いしましたけど、その方でしょうか?あ!もしかしてあなたの恋人とか・・?」
はっとしたような顔をして話すクレールにその女は啖呵を切った。
「な、なにバカなこと言ってんのよ!あいつはねー、あたしの師匠を殺した賞金首なのよ!」
「そ、そうなんですか・・す、すみません。」
確かに無愛想だが、別にそんなに悪い人には見えなかったと、クレールは男を思い浮かべる。
「ったく・・なんであたしがあんな奴と!」
ぶつぶつ言いながら怒っているその女を、クレールはついじっと見てしまう。
「何よ、何か文句でも?」
「い、いえ・・ただ、素敵だなーと思って。」
「あ、あら・・・そ、そぉ?・・・ま、まー、無理はないわね。まだまだ子猫ちゃんのようだし。」
同性とはいえほめられて悪い気はしない。女はそれまでのつんけんした顔を崩して笑った。
「あたしクレールと言います。」
「あたしはドーラ。こんなところであなたのような子猫ちゃんが何してるの?」
「え、ええ・・・実は・・穴を覗いていたら落っこちてしまって。」
「あっら〜、それは大変ね。じゃーお姉さんが一緒に・・・」
そういってクレールに1歩近づいてきた時だった。
びくっとして立ち止まるとドーラはじっとクレールを見る。
「・・・・あなた・・ただ者じゃないわね!あなたの身体の内からにじみ出てるその魔力・・」
魔法の杖をすっとクレールに向けるとドーラはクレールをきっと睨んだ。
「た、確かに魔法は使えますが、あたしは単なる修行中の巫女です。」
クレールは慌てていいわけをする。
「そう?・・悪く思わないでね。あいつの後を追って旅してるうちに、つい猜疑心が強くなってしまってね。とにかく・・・いい?!そこを動かないで!」
そして、ゆっくりとクレールに近づいてくる。
−バコッ!−
「!き、きゃああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・」
一歩足を踏み出した途端、床は大きな口を開け、ドーラは穴に落ちていった。
「ド、ドーラさんっ!?」
慌てて穴に駆け寄るクレール。
−カチッ!・・シュッ!−
「え?!」
戸口から1歩入ったところ、どうやらその床にも仕掛けがあったらしく、スイッチの音と共に矢がクレールめがけて飛んできた。
「きゃっ!」
慌ててしゃがみ、なんとか怪我を免れたクレールは、ドーラを飲み込んだ穴をのぞき込む。
「ドーラさ〜〜〜んっ!」
いくら呼んでも返事はない。底も見えない。
「い、いいわ・・落ちてみましょ。」
ここに来るまでに穴に落ちるのは結構慣れていたクレールは、少しもためらわず穴へと身を投げた。


 「あ、あら?いないわ。」
スタッと着地したクレールは辺りを見回した。が、どこにも人影はない。
「なんともなかったらしいわね。」
角にあった宝箱。その中にあったドーラの置き手紙を見てクレールは安心した。
そこには・・
『もう一回やりなおしよっ!・・でも宝はもらったからね!』
と書いてあった・・・・。



それからのクレールは貧乏くじばかり・・・。
ごろごろ岩の仕掛けが作動済みだったのはよかったものの、宝箱も調べ済みで空ばかりだった。
その上・・そのエリアには宝箱が対になっておいてあり、どちからが当たりで、どちらかが外れ・・つまり 仕掛けてある罠が発動する。
「あ〜〜ん・・また外れちゃったわ。もう開けたのならわざわざ閉めておいてくれなくてもいいのに〜。」
罠の方を開けてしまう確率が高かったクレールは、残りの箱も空が多かった。
「開けておいてくれさえすれば、こんなことには・・・。」
ここでは宝箱は無視した方がよさそうだと判断したクレールは、突っ走ることにする。
「先に進めなかったら、そのときはそこから戻って必要なアイテムを探しましょ。多分近くにあるはずよ!普通の 宝なんてもうどうでもいいわっ!」

もう何本の矢をその身に受けたのだろう・・しかも至近距離。これ以上突き刺されるのは、こりごりのクレールは ため息をつきながら、宝箱を横目で見ながら走り続けた。


** to be continued **



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