『ニールとゆかいな仲間たち♪』
== ネクラ・・もとい!ネクロマンサー、ニールの徒然冒険記 ==

その22 ちょろいもんさ?♪

 「な、なんだって、それはホントか?」
街に帰ったカシムは酒場でニールがディアブロを倒した勇者のネクロマンサーであると聞き大声を上げていた。
「そ、それに、あ、あの子が、一緒に地獄の聖域まで行ったソーサレスだって?あ、あの・・あんな女の子が?」
そういえば、生半可な術ではなかった、とカシムは思い出す。
「・・ど、どうりで強敵ばかりの魔物のすみかへでも平気で進んでいくはずだ。」
−バタン!−
そんな話題に花が咲いている時、そこへサシャナはいきおいよく入ってくる。
「マスター、リキュール1杯ちょうだい!」
「い、いいのか、嬢ちゃん?」
『嬢ちゃん』という言葉にじろっと睨んだサシャナのきつい瞳にぎくっとし、マスターは焦り笑いをしながらグラスを用意する。
「サシャナじゃないか?どうしたんだ?あいつと一緒じゃないのか?」
テーブル席からサシャナの座ったカウンター席へと移動しながらカシムは話しかける。
「どうしたって・・・・ニールったらね・・」
「あいつがどうしたんだ?」
コトンとマスターがカウンターの上に乗せたグラスをぱっと取るとサシャナは一気に喉へ流し込む。
「お、おい・・・いいのか、そんなもの飲んで?」
「煩いわねー。こうみえても子供じゃないのよ?」
どうみても子供にみえるが・・と思いながらカシムもサシャナのその勢いに押されていた。
「お酒くらいへっちゃらよ!」
「そ、そうか?」
「マスター、もう一杯!」
「は、はい。」
「ニールったらね・・・・美人の女の人を洞窟の奥で助けて・・・デレーッとしてるのよ。・・・すけべなんだから〜・・もぉっ!」
「美人・・ね・・・。」
それでぷんぷん怒ってるのか、とカシムは苦笑いする。
「道具屋だかなんだか知らないけど・・・ヒーローって呼ばれてうかれちゃってさ。」
「あ・・・やっぱり彼女か。」
魔族にさらわれたというアーニャだと判断したカシムは納得していた。
「大丈夫よ、サシャナちゃん。」
「え?」
不意にカシムの方とは反対側からエリーの声が聞こえた。
「頼まれたから助けただけにすぎないわよ。」
にこっと微笑んだエリーを、サシャナはきっと睨む。
「『ちゃん』づけはやめてくれないかしら?」
「あ・・・ご、ごめんなさいね。あなたがとってもかわいいからつい・・・」
−バン!−
苦笑いで謝るエリーに、サシャナはカウンターを勢いよく叩いて立ち上がった。
「どうせあたしなんか子供だって思ってるんでしょ?」
「え?・・・そ、それは・・・あのね、サシャナ・・・・」
「いいわよ!無理にお世辞言ってくれなくっても!」
「そういうわけじゃ・・・」
−バタン−
きっと睨むサシャナとその勢いに腰が引けた状態のエリー。そんなところへニールが入ってきた。
「サシャナ、何してんだ?・・酒なんか呑んで大丈夫なのか?」
自分に近づいてくるニールから顔を背けるサシャナ。
「急ぐぞ。バールの居所がわかった。」
「え?」
その言葉にサシャナははっとしてすぐ横に立ったニールを見つめる。
「説明してる暇はないんだ。遅れれば世界は砕け散る。」
「あの人から聞いたの?」
「そうなんだが・・・」
ニールは機嫌悪そうに頭をかいて続ける。
「どうしてオレに関わり合う女ってのはみんなこうポンポンポンポン言いやがるんだ?ヒーローっておだてりゃ男はみんな動くって思ってんのか?」
「あ・・・・」
そのニールの態度に、アーニャのことも全く気に留めてないとサシャナは知る。
「それってあたしも入ってるの?」
嬉しさとその反面でわざと口をとがらせてサシャナは聞いた。
「かもしれん。」
「なによ、それっ?!」
怒ったサシャナの頭を軽く叩くとニールは笑った。
「行くぞ。最終決戦だ。サシャナの協力がなくっちゃできん。」
「あたしの?」
「そうだ。こうなったら最終地点まで連続テレポートで行く。頭の中で天使がうざったいったらありゃしねーんだ。ず〜〜っとオレに指図してやがる。」
「天使が・・ね・・。」
ふふふっと笑いサシャナはカウンターにお酒の代金を置く。
「じゃ、行きましょ。バールのいるところまでまっしぐら!」

「あ!私も行くわ!」
「オレも!」
酒場を出ようとするニールとサシャナに、エリーとカシムが声をかける。
「あ・・いや、気持ちは嬉しいが・・・というより、こんな事言うのも何なんだが・・・・身軽の方がいいのさ。サシャナのテレポートとフローズンオーブ、それとオレの蘇生術で大丈夫さ。」
「あ・・・・・・」
その言葉に、2人とも足手まといになってしまう可能性があることに気付いてうなだれる。
「悪いな。もし・・そうだな、もし、オレたちが失敗したら、あとは頼む。」
ニールとサシャナが失敗したら、一体誰がバールを倒すというのだろう?という疑問があったが、それにはふれず彼らは重く頷いた。
「ともかく、オレはさっさとバールを倒してゆっくり昼寝したいんだ。ここんところちっとも自由な時間がなくてうんざりしてんだ。」
「そ、そう・・・」
あきれ返ったようなニールらしいと納得したような笑顔で、エリーは2人を見送り、そして、酒場にいた全員、不安げな面もちで2人が出ていったドアをしばらくじっと見つめていた。

 

[もどる] [つづき]


ニールとゆかいな仲間たち-Index】