『ニールとゆかいな仲間たち♪』
== ネクラ・・もとい!ネクロマンサー、ニールの徒然冒険記 ==

その10 オレ好み・・・・

 砂漠の街、ラット・ゴーレイン。
ぎらぎらとその勢力を誇示するかのように照りつける太陽と乾ききった風。熱砂と猛烈な暑さが容赦なくオレを攻撃してくる。
澄み切った青空、どこまでも見渡せる地平線。・・・それはそれで、確かにいいのかもしれない。が、ネクロマンサーであるオレ様には逆立ちしても合いそうもない。場違いもはなはだしいといったところだ。

やはりニヒルなオレ様に似合うのは、暗闇だろう。あの暗さがなんとも心地いい。暗闇に抱かれ、夜の女神と時を共有する。そういった高尚な趣味は一般人には到底理解できないだろうがな。(笑

でー・・・なんつーったっけ?アカラパート2のような女・・・そうだそうだ、確かアトマとかいう女だった。パブのおかみなんだが、店に来る冒険者全員に頼みごとしてやがったな。なんでもだんなと子供の仇らしい街の地下にある遺跡に巣食っているラダメントとかいう化け物を倒してほしいとかだった。
・・・・・・地下の遺跡ってのは、居心地いいんだがなんとも手ごわい魔物だらけでよ、さすがのオレ様も手を焼いた。
しかも、ラダメントって奴は、アンデッドを次から次へと再生しやがるときてる。その魔力はどこからくるんだか知らねーが底をしらねーんだ。で・・・さすがのオレ様もたちうちできなくって・・・・あはは、実はまだ片付けてねーんだ。どっちにしろオレ様個人的に頼まれたわけじゃないし、冒険者とみると片っ端から話し掛けてんだから、いいんじゃねーか?(笑

ってことで、このくそ暑いのに熱砂行軍している。途中ネコ族だかなんだか知らねーが、ブンブン槍や爆弾を投げてきやがるし、コガネムシの親分のような奴は襲ってくるわ、巨大砂バッタは集団で襲ってくるわ、死肉鳥はつっついてくるわで、もう忙しいこと忙しいこと!・・・ったく、照りつける太陽だけでも体力が減るってゆーのに・・・ったく・・・。

と思っていたら、天の恵みなのか、突然辺りが暗くなった。勿論夜になったわけじゃーなく、いわゆる日蝕だ。だが、金環蝕がみえねーのが気に入らない。あのダイヤモンドリングは本当にきれいなんだがな・・・・。ちょうど空一面に闇のベールをかけたといった感じで、太陽が全く見えねーんだ。
この暗さはネクロマンサーのオレ様にとっては、なんともいえないくらい心地いい。
なのに・・・街の連中はこぞってこれをなんとかしてくれ!とオレに頼んできた。勿論原因が自然現象などではなく、なんでもロストシティーの地下に潜む蛇族の祭壇を壊す必要があるらしい。しかもオレがロストシティーに足を踏み入れたのが原因だと言やーがる。・・・・・・ったく、元に戻して当たり前といった目でオレ見るんだぜ、奴ら。
ここと比べりゃローグキャンプは天国だったとつくづく感じた。(エリーの睨みは特別だが。)
ケインのじじーは、ああーしろこーしろとうるさいしな。だが、ホラドリムにはオレも興味がある。魔力が増すのはいいことだし、地下へ潜るのは嫌いじゃない。
が・・・あのうじゃうじゃ鋏み蟲は好きにはなれそうもないな。小さくてもあまりいい印象は受けないってのに、あれだけ大きいと特になー。

でもって蛇退治か〜、あのぬるぬる感と冷たさは気持ちがいいんだが、奴らは普通の蛇じゃない。足こそはないが、腕はきちんと2本ある。でもってその爪のするどいこと。あんなものでひっかかれた日にゃ、いくら回復剤があっても足らねーって。

ということで、しばらくこの気持ちいい薄暗さで覆われたオアシスでゆったりと過ごすことに決めた。ここら辺りの魔物は一掃したしな。
もちろん、見張りは立たせてあるさ。・・・アブの集団・・・ここでオレ様が一番手をやいたモンスターだ。あの集団に襲われりゃー誰しも退却するってもんさ。

いけね!オレ様としたことが、説明みたいな独り言をぶつぶつと言っちまった。
今まで賑やかだったからなー。早く元の孤独を愛するネクロマンサーに戻らねーとな。
・・・戻れないような気もするが・・・・・・。


そして、そんなニールの心配はあたっていた。
なんとか1日は一人でのんびりしていたが、やはり物足りなさを感じはじめ、ついつい召喚などをしてみるのだった。
ただ、気に入っていた薄暗さをすぐ元に戻す気にもならなかったニールは、しばらく自由に遊んぶことに決めた。
時には死肉鳥に乗って遊覧飛行を楽しんだり、ビーストに乗ってロデオを楽しんだり、少し暑いと感じたときは、爪蛇のひざまくらで昼寝をしたり・・・・・。

「うう〜〜ん・・・口うるさいエリーがいないってのは、天国かもな〜・・・」

街の住人の不安と、世界の危機をよそに、ニールは久々に味わう自由を大いに満喫していた。                    



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