『ニールとゆかいな仲間たち♪』
== ネクラ・・もとい!ネクロマンサー、ニールの徒然冒険記 ==

その4  結成!1年ニール組 ・・・にぎやかに行こうぜ♪

 


 「え〜〜〜〜?!あ、あたしがあのネクラと一緒に行動するのぉ?」
オレが2番目に依頼された仕事、墓場の死体をゾンビとして蘇らせているアカラの友達だという腕のいい女戦士、ブラッド・レイブンを倒した時だった。
お礼にとカシャがつけてくれたエリーの最初の言葉がそれだったらしい。
オレは一緒に戦ってくれる仲間ならいるから、と断ったのだが、どうやら他の戦士にも、それを条件として頼んでいたらしい。
まさか、オレが倒すとは思ってもいなかったのか、オレは直接聞いてはいなかったが・・・まー誰しも知っていたようなものだったから、無視することはできなかったらしい。

ブラッド・レイブンを倒したという報告がキャンプに入ったと同時に、傭兵たちは大騒ぎしていたらしい。もちろん誰がオレにつくかで・・・。
結局くじ引きで負けたエリーがつくことになったらしいのだが・・・・。
いつも5歩くらい離れてオレの後をついてくる彼女を見て、一応最初断ったんだ。が、どうやらローグの誇りにかけてそれはできないらしい。約束を反古にすることはローグキャンプ全体の信用性にもかかわるとからしい。
で、結局オレは彼女が死なないように気を使わないとならなくなってしまった。カシャも律儀にいらないことをしてくれたものだ。直接カシャに断ろうと話し掛けても、『新しい傭兵が必要か?』としか言わないしな・・ったく・・・。

まー、ともかく、今はオレもメイジスケルトンやファイヤーゴーレムも召喚できるようになったから、エリーに気をつけてさえいればいいような状態だ。ん?い、いや、エリーに攻撃されるとかじゃなくて、彼女が敵に殺られないようにだ。
ここまでくるのが大変だったことは確かだ。が、今ではエリーも彼らと結構仲良くやっている。結構彼らと訓練して腕を上げているらしいしな。

それはいいんだが・・・・・・さて・・・数日キャンプを開けている間にここまで力がついたというわけで、このまま戻ったら、また大騒ぎになるだろうという心配があった。
普通のスケルトンであれだけの騒ぎだったんだし、奴なら一応見慣れたからいいだろうが・・・今度はメイジスケルトンにファイヤーゴーレム・・・。一段と目立つからな、奴ら。



 「ニール殿!」
そして、キャンプに帰った、オレの目の前には、怒ったことがないというアカラの険しい表情があった。
「だから、オレより先に出たエリーが即説明しただろ?」
「それは・・・そうですが・・・・」
ピキピキとアカラの眉間にシワがよるのがわかる。
「だからといって、家を燃やした犯人を回復させるというのは・・・・。」
「だから、それは謝る。これ、このとおり。こいつも悪気があってやったわけじゃなく、ちょっと風向きと瞬間風速が・・・」
オレはファイヤーゴーレムと共にアカラに頭を下げて謝った。
「・・・・ないことはわかってます。」
だからあからさまには怒れない・・とアカラの見えない気が物語っていた。

「アカラ殿〜!メイジスケルトンがチャルシーにサンダーの魔法を!」
「なんですって?ニ、ニールどの〜っ?!」
息を切らせて入ってきたワリヴの報告に爆発寸前だったアカラの怒りはついに限界を超えた。
「そ、そんな馬鹿なっ!」
オレはワリヴの言葉が信じられなかった。が、そんな悠長なことを言っていられる場合じゃない。そんなはずはない、とオレは、真っ青になりながらワリヴと共に鍛冶屋のチャルシーのところへと駆けつけた。

と、そこで見たのは・・・・・

「そうそう、そこそこ。そう、そのくらいの電圧でいいわ。う〜ん・・気持ちいい〜。」
「チ、チャルシー?」
「あら、ワリヴにニール、あなたたちもやってもらう?とってもいいわよ。腰痛なんか数秒で治っちゃうわよ。」
「は?」
開いた口がふさがらないとはこのことだった。まさかマッサージをしていたとは。
「あ・・あはははは・・・倒れてたチャルシーさんにサンダーを浴びせてるように見えたものですから・・・わ、わたしはてっきり・・・あ、あはは・・・こ、これはとんだ早とちりを。あ、あはあはあは・・・
わ、わたし、アカラ殿に・・・」
最後まで言わず、ワリヴは事の説明の為、アカラのところへすっ飛んでいった。

 そして、オレたちは燃えてしまったアカラの家の変わりに応急で立てたバラック小屋へ、改めて挨拶に行った。
まだ完全には彼女の怒りはとけていなかったようだ。表情はいつもの穏やかさに戻っていたが、その語尾にはほんのわずかだが、まだとげがあるように感じられた。
「これを。」
オレと共にファイヤーゴーレムも回復してくれたアカラが渡してくれたのは、ネームプレート。
「は?」
「魔物と区別するためです。これはあなたが召喚したものにしか張り付きません。そして、燃えることもありません。キャンプ地に戻る前には、必ずこれをつけさせてください。前と後ろ、両方にですよ、いいですね。」
「は、はー・・・。」
生返事をしながら、受け取ったネームプレートには、『1年ニール組』と書かれていた。
が、直径5cmほどのそれが目立つとは思えない。
「大丈夫です。」
オレの考えがわかったのか、アカラは軽く微笑むと、ファイヤーゴーレムの胸にそれを充てた。ネームプレートはすっとゴーレムの胸に引き寄せられるかのように吸い付き、と同時に胸一杯の大きさになった。
「よくわかるでしょう?そして、あなたのお友達が悪いことを絶対しないということもここにいる全員理解してますからね。」
力をこめて断言するアカラにオレは思わず大きく頷いた。

 『1年ニール組』・・・・プレートに書かれたその大きな文字を、オレはしばらくじっと見つめていた。
「・・・ニール組は分かるとして・・1年って何だ?・・・アカラもあれで結構おちゃめらしいな。ま、なんでもいいか。さー、今日もピクニックに出かけようか?にぎやかに行こうぜ!」
エリーのあきれ返ったような大きなため息が、背後で聞こた気がした。
  
しかし、オレのメイジスケルトンをあごでこき使うとは・・・チャルシー、ただの鍛冶屋じゃーねーな?
     


[もどる] [つづき]


ニールとゆかいな仲間たち-Index】