緑ぷよグリリの大冒険  


●● その3・空の旅の終着駅 ●●


 

グリリの予想では、快適な空の旅・・・のはずだった・・・・確か・・・・。
が・・・・・
−バタバタバタ・・・ドシーン!・・・−
−バタバタバタ・・・ドシーーン!・・・−
た、確かに丘一つくらいは一飛びで越してはいた。(大きさが大きさだから)が、これは明らかに飛行でなく、跳躍と言った方が合っていた。(数分かは空中を舞っているようだが。)
グリリはというと、振り落とされないよう、ひたすらコカトリスのとさかにしがみついていた。粘液を出してしっかりくっつけて。それでも景色なんか見ているゆとりなんかありそうもない。
そのうち、頭痛が、そして、めまいがし、吐き気がしてきた。
でも、そんな事に構っていられない!落ちたら最後!ひたすらしがみつくグリリ。
でも、何度目の着地だろう、しがみついているのも限界となってしまったグリリは、その時の弾みで頭から落ちてしまった。
−ヒューン・・スポッ!−
なんと、コカトリスの鼻の穴にすっぽりとはまってしまった!
すっかり乗り物(?)酔いのグリリは、何が起きたのか分からない。が、たまらないのはコカトリス。
鼻が・・ムズムズ・・・。
「あ、あら?どうしたのかしら?鼻がむず痒くって・・・」
ムズムズ・・・・
「ハ・・ハ・・ハ・・・・ハアックショーーーーーーーンン!」
−ドビューーーーーーーーーンン!−
ものすごい勢いの鼻息!!
勿論、グリリはその先頭!
「ぷよよぉぉぉぉ〜〜〜〜〜・・・・・・」
ものすごいスピードで飛ばされ、その風圧に身体が引きちぎられそうになりながら、グリリは、死を覚悟した。
・・・やっぱりボクなんかじゃ・・・

 その頃、とある人間の家。
「カーくん、カレー出来たよ。」
「ぐう!」
どかっと大盛りカレーを女の子がテーブルの上に置く。
と、テーブルの上に乗っていたうさぎのような長い耳をした黄色い奇妙な生き物が、待ってましたとばかりに口を開ける。
「ちょっと待ってよ、カーくん。まだらっきょがのってないよ。」
女の子が言うより早く、カーくんと呼ばれたその生き物は真っ赤な舌で、器用にカレーライスを口に入れた。
まさに一瞬の早業。テーブルには、空っぽになった皿がぽつん、と置かれているのみ。
「ぐう!」
「ええーっ?!もう空っぽ?」
「全く!しょうがないんだからぁ。ちょっと待ってるんだよ!」
空になった大皿の横で、ご機嫌に踊っているカーくんを少し睨み、大きくため息をつくと、その少女はキッチンへ戻ろうとした。
と、その時・・・
−バシュゥーーーーーンッ!−
「な、何っ?!」
何かが勢いよく壁を突き抜けて飛び込んできた。それは、少女の目の前を横切り壁に掛けてあった鏡にのめり込んだ。
「あああああああっ!おかあさんのお気に入りの鏡がぁっ!」
少女の顔からさあっと血の気が引く。
鏡に駆け寄り、枠だけになったそれを手に取る。
「お、おかあさんの、おかあさんの・・・・ど、どうしよう、カーくん・・」
「ぐぅぅ・・・」
カーくんの方を振り向いた少女の顔は真っ青。
「あ・・あれ?・・・ぷよぉ?」
足下の鏡の破片の中にグリリを見つけて、少女はすっとんきょうな声を出す。
「何で?何でぷよが?・・・それも壁を突き破って・・・」
気絶しているグリリをつまみ上げると、少女は穴の開いた壁をじっと見つめながら考えていた。
「わかった!サタンだなぁっ!まーた性懲りもなくボクを誘い出すつもりなんだ!」
「ぐうっ!」
大きく頷くカーバンクル。
「やっぱりカーくんもそう思う?」
「ぐうっ!」
二人は見つめあって確信し合う。
「でも、そんな手にのるボクじゃないもんね。」
「ぐう!」
ぽいっとグリリを放ろうとして、はた、と何かに気づいたような少女。
「でも、このままじゃボクがおかあさんに怒られちゃう。・・そうだ!サタンに弁償させよう!」
「ぐ!」
「結局誘い出されたってことになっちゃうけど、仕方ないよね。」
「ぐう。」
「んじゃ、行くよ、カーくん!」
「ぐう!」
「そうだ!証拠を持って行かないと!」
カーバンクルを肩に乗せ、少女はしっか!とグリリを握りしめ、サタンの屋敷へと向かった。

 



●● つ づ く ●●



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