〆〆 その24・マウムームー 〆〆

 玉座の後ろの出入口から出たところには、真っ直ぐの一本の道が丁度ピラミッドから の橋のように延びていた。
それは、真っ赤に焼けた熱い石炭の層の道。
そして、前方には煙を吹き上げている噴火口が待ち受けている。
予想通りこの地域から出る道ではなかった。アラム城 とそれを囲む一帯・・・どうやら行きは良い良い帰りは怖い、呪われたこの地域には出 口はないみたい。そんなことも思いつつ、が、誰一人としてその事を口に出す者もな くただ歩き続けた。

フット・パウダーのおかげで真っ赤に焼けた石炭の上を歩いても全く熱くはなかった。
「でもなんか変な感じだねぇー。」
ホトはしきりに石炭の道を見ながら歩いている。
「そうね・・熱くなくてもなんかこの真っ赤に焼けた色を見ると変な気がするね。思 わず踏み出す足を引っ込めたくなるような、ねっ!」
「やっぱり?ツェナもそう?」
「うん。」

「行き止まりです。火口に着きましたよ。」
先頭を歩いていたコルピッツがこちらを振 り返っていた。
私たちは石炭の橋を渡り終え、火山口の淵の溶岩の上に立つ。
−ゴゴゴゴゴ〜・・−
まるで今にも噴火するといわんばかりの地震が感じられた。
−ゴゴゴゴゴゴゴ〜〜・・・−
次第に激しくなってくる振動。
戻った方がいいか、という考えが全員の頭を過ったその時、突然火山が噴火した!!

−ゴゴゴゴゴー!ドドドドドー!!−
噴火と共に巨大なモンスターが現れた!
その顔は確かに手に入れた像の顔!!
「つまり・・こいつがアマズール族の敬う神のマウムームーってわけ?」
一歩後ずさりしながらホトが誰とはなしに呟いた。
「そうみたいだぜ!!」
「石を取りにきたのか?そうならわしが成敗してやろう。」
辺り一帯に響きわたるよう な恐ろしい声でそう言ったかと思うと有無を言わさず攻撃をしてきた。
相手は火のモンスター。ファイアー・シールドを目一杯かけ、とにかく氷の呪文を全員で唱 えまくった。もちろんファイアー・シールドも完全ではない。ヒール・ウーンズで火脹 れを治しながら。

でもやっぱり神だけあり、そのパワーは半端じゃない。
もうだめ、呪文もきれる・・これ以上はもうかけれない、と私が思った時だった。
多分全員魔法力は使い切ってしまったんじゃないかと思えたのだけど、 大きく飛び上がったターマンがその眉間に刀を突き刺した!
「ぎゃぁあああああああーーーーーーーーーーー!!!」
力が尽きかけていたのは相手も同じだったらしい。ターマンの一刺しが、とどめとなっ た。
「ふ〜〜・・全く手こずらせてくれたぜ。」
その眉間から愛刀を抜くとターマンは懐から布を出し拭き始めた。
私はそこにへたへたと座り込み、大きく溜め息をついた。も う一歩も歩けないほど疲れていた。

「つっかれたぁ〜・・・・。」
すぐ横にホトも座り込む。
「やつの口から石が出てきたぜ。岩のだんなからもらったのと同じだな。」
抜け目なくピアースは倒れたマウムームーを調べてきたらしい。
「これで2つ揃ったわけだ。てことは、これを城の地下の例の髑髏の目にはめ込めばい いってわけだな。」
「多分そうでしょう。さて、疲れているのは私も同じなんですが、フット・パウ ダーの効き目もいつまで保つか分かりませんので、ひとまずピラミッドまで行きません か?」
座り込んでいる私とホトを見ながらコルピッツが提案した。
「そうですね、その方がいいと思います。でも、大丈夫ですか?なんとかピラミッド まで歩けますか?ヒールの魔法もポーションもきらしてしまってますので頑張るしかな いんですが・・・。」
心配そうにハートレーが私達を見ている。
「大丈夫です。歩いて行くくらいなら。・・でも、もし途中でモンスターにでも出会った ら・・ちょっと・・じゃなくって、結構やばいかもしれないけど。」
「あたいはまだ大丈夫だよ!」
ハートレーにそう言われたのがくやしくて、わざとのよ うな感じもしたが、ホトは私を引っ張りながら勢いよく立ち上がった。
「あ、ありがと、ホト。」
「あんたは呪文をかけまくったもんね。気力が尽きるのも当然だよ!」
「でもみんなだって私以上に・・・」呪文を唱えながら攻撃を・・と言いかけた時、 コルピッツの腕が延びてきた。
「とにかく落ち着いて座れる所に行きましょう。」
「え?」
しっかりと私は彼に抱き抱えられていた。あまり突然で何を言っていいのかわからず、 私は一瞬ぼーっとなってしまった。
「あ、あ、あの・・」
「大丈夫ですよ、これくらい。」
「ど、どうもありがとう・・。」
顔が真っ赤になるのが自分でもすごく分かった。
「ちぇっ、俺様の先を越しゃーがって!ったくっ!!」
「ははっ、ざ〜んねんでしたぁ、まったどうぞぉ!!」
ぶすっとしているピアースにホトが笑いかける。
「行くぜ。」
ホトの言葉には耳を貸さず両手を頭の後ろに充てるとピアースは歩き始め た。
「肩をお貸しましょうか?」
「ん?・・大丈夫だって言ってるだろ?」
ハートレーの延ばした腕を無視するとホトは頭の後ろで組まれたピアースの腕をほどき、 勝手にその片腕に掴まった。
「おいおい、いいのか?せっかくああ言ってくれてるのに?」
ピアースが驚いてホトに言う。
「いいんだってば!」
「・・ということだ。悪いな、ハートレー。」
振り向きもせずピアースはホトに肩を貸 すようにして歩き続ける。
「また振られてしまったようですね。」
自分でそう言うとハートレーも歩き始めた。




〆〆to be continued〆〆

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