〆〆 その20・アマゾネスの聖地 〆〆


階段からの通路の壁には、うすれかけた壁画が描かれていた。それは日常生活のよう で、褐色の人々が穀物を刈り取ったり水あびをしたり、衣装をつけて踊っている様子が描かれていた。
通路を出たところの壁は土でできており、奇妙な模様に彫られた陶土の 固まりで築かれていた。さっと見渡した限りでは壁は全て同じ様なスタイルで作られて おり、何やら王宮か神聖な場所のような雰囲気を作り出していた。
にょっとして不可侵地域へ侵入している?なんてことも頭を過ぎって、ホントに大丈夫なのかな? と私は心配になってきていた。

例によって右手進行の手段を取ることにし、右に曲がって外へ出ると、そこが巨大なピ ラミッドの淵であったことが分かった。
またまたハートレーによると寺院でらしい。
このピラミッドは山の上にあり、四方はジャングルに囲まれている。どうやらお城を初めとするこの エリアは完全に外からは遮断されているらしい。道はどこにも見つからない。

「結局外には出れないのかぁ・・・。」
ホトは耳を下げていかにもがっかりしたみたい。
私も含め、他の人達も少なからず気落ちしている。私達は話すことも忘 れしばらくじっと景色を見ていた。

右のアーチをくぐったところでアマズール族の戦士に出会ってしまった。いくら敵じゃ ないと言っても全く聞く耳を持たない。最も彼女たちの神聖な場所に無断で入ったんだ から違うと言っても通用しないのは当たり前。
褐色の肌をしている彼女達は、バルキリーらしく長いスピアと細長い楯を持ち、頭や首、足首には飾りをつけていたが、 ほとんど裸。
おかげで、ピアースなんかしばらくデレーっとしてたもんだか ら、いつもならすぐ姿を消して攻撃体制に入るのにタイミングを失して、いつになく痛 い目にあったみたいだ。
ともかくピアースの言葉を借りると、女に手をかけるのはもってのほかだそうなんだけ ど、(もっとも女だとは思えないほど筋肉隆々だった)他に手はなかったので、彼女達 を倒し、狭い通路を急いだ。
こんなとこは早く探索を終えないと、どれだけ敵が出てくるのか 分からない、一族全員なんてことになったら、いくら私達でもたまらない。

先を進むと行き止まりとなった小部屋のアーチの中にGOOP−GLOOPSが待ち構 えていた。難無く倒しネバネバを手にいれた。何でも持っていく主義の私達は今のとこ ろ使い道が分からなかったけれど、とにかく持っていくことにした。
でもこんなネバネ バ何に使うんだろう?全く分からない。

来た道を戻りまた右手進行を取る。
再びとあるの部屋で行き止まりになった。その部屋に あった宝箱の中には、なんとただの空の袋が入っていただけ。でも仰々しく宝箱 の中にあるんだから、何か意味があるはずだ、という事でこれもまた持っていくことにした。

その先からは他に道はなく、気がつくと私達は最初の入口に戻って来てしまっていた。
「もう1つの通路を行こう」というみんなの意見を耳にしながらピアースが何か閃いたのか考え込み始めた。
「おい、ちょっと待てよ・・・確か、トンネルの先は砂で埋まってたよな。あ れでもこの袋に入れて来るか・・・ここまで戻ってきたことだし、すぐだもんな。」
「ええ〜っ?砂なんか入れていいのぉ?他にもっと大事なもの入れるんじゃ ないの?・・・そりゃー、あんまり綺麗な袋じゃないけどさぁ。」
そうは言ってみたのもののピアースの勘は無視できない事は、ホトは勿論みんなも認めている。
近いからそう時間も取らないし、いいか、ということで砂を入れに行った。

そうして再びピラミッドに入り、もう1つの道を進んだ。
でも、落とし穴とそれを塞ぐ隠しボタンがたくさんあった仕掛けばかりの通路。
通路や部屋をくまなく探索しながなので、結構時間がかかってしまった。
でも、落とし穴には落ちたくないので、それもしかたないけど。

途中、またなの?と思うほどアマズール族の戦士と戦いながら辿り着いた部屋は、少し大きめの広い部屋。
「宝箱があるよっ!!」
部屋に入ると早々ホトが宝箱を見つけ駆け寄った。
−シュッ!−
ホトが手を出したと同時だった、その宝箱が消えた。
「あれ?・・・失くなっちゃったよ?!」
両手を差し出したまま私達の方を振り返りもせ ず、すっとんきょうな声で叫ぶ。
部屋を見渡すと反対側の壁のくぼみにも宝箱があった。
でも、さっきはたしかそのくぼみには、何もなかったように感じたんだけど。
「ホト・・この宝箱がそうかなぁ?さっきはこっちのくぼみにはなかったような 気がするんだけど・・でも、まさか、ねぇ・・・・。」
私は半信半疑だった。宝箱が動く?
・・でもそれが正解だった。私がつかもうと手を差し出すとシュッ!という音と ともに消えた。ホトの時と全く同じ。
部屋にはくぼみが4つあり、どうやら触ろうとすると別のくぼみに移動するらしい。
どのくぼみに移動するのかは分からないし、そのくぼみの前で待っていても異次元移動でもするのかキャ ッチはできなかった。
「どうしたらいいのかなぁ?こんな凝った仕掛けなんだからきっとすっごいものが入 ってるんじゃないかなぁ?」
くぼみの前でホトが腕を組んで座り込む。
「う〜〜〜ん・・・」
全員しばらく黙って考え込んでいた。
「ねぇ・・・あのネバネバ使えない?」
ふと思いついた。
「ネバネバぁ?・・」
ホトが訳がわからないというように繰り返した。
「ん、そう!!分かんないけど。でも、でも、もしかしたらいいかも?」
「そっか!!くぼみにネバネバを付けておく。そしてそこへ追い込むってわけだな?う まく行けばくっついて動けなくなる。そうだろ?」
ピアースがはっとしたような顔をして私の方を見た。
「そう!でも分かんないけど・・。」
「やってみるだけの価値はあるさっ!」
「そうだよ、ツェナ、さえてるじゃん!!」
ホトも目を輝かして賛成してくれた。
バッグからネバネバを出し、くぼみの1つに丹念に塗る。
さぁ、準備はOKだ。上手くいく事を期待しつつ私は宝箱に近づいた。

 


〆〆to be continued〆〆


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