〆〆 その19・新たなる道 〆〆

 「あれ?・・・岩が落ちて来ない・・・。」
頭の上まで来ていた岩がいつまでたっても落ちて来ない。
恐る恐る見上げてみる。
「え?!」
そこにはコルピッツに持ち上げられた岩があった。
どうやら落ちる瞬間、コルピッツが飛び出してきて岩を支えてくれたらしい。(さすがドラコン!!)
「ツェナ、早く退いてくれませんか?そろそろ限界なんですが・・。」
「は、はい!」
ぼーっと感心していた私は、その声ではっとして、慌てていざるようにして そこを離れた。
−ドスンっ!−
コルピッツは、それを待っていたようにどさっと岩を下ろす。
「あ、ありがとうございました。」
「どういたしまして。」
ふ〜っと大きく息を吐くと、コルピッツはにこっと笑った。
「おいおい、そんなのんきなこと言ってんじゃねーよ!刀も手裏剣も全然効かないんだ ぜ!」
ピアースに言われてはっとした。そう、こうしてるうちでも岩は降って来て・・ と思った時は確かに降って来ていたんだけど・・・。
「あれ?・・ネタ切れかな?」
いつの間にか岩の雨は止んでいだ。
「よ〜し・・でも、岩に効く呪文って?。」
とにかく、思いつく呪文を唱えてみる。
でも・・・どの呪文も効かない・・。
(ファイアーもフリーズも効かない〜・・どうしよう?)
と、突然、その顔がジュワァ〜〜・・・と溶け始めた。
コルピッツが自分のブレスを吐きかけたのだ!
そうドラコンである彼のブレスは酸!
どうやら酸は効くらしい。ということで、ピアースがすかさずアシッドボムを唱えた。
でも残念ながら、私にはその呪文は使えないのよねー・・。
がっくし・・・・・
−ジュ、ジュ、ジュ〜〜〜・・−
「ぐ、ぐぉお〜〜・・」
コルピッツとピアースの攻撃で巨大な岩の顔も徐々に溶けていった。
「は〜〜あ・・」
私は溜め息が出ると同時にへなへなとその場へ座り込んでしまった。
「あれ?これは?」
溶けてなくなった痕に大粒のルビーがあった。
「これをあのドアの髑髏の眼ん中に入れればいいってことだな?」
ピアースがつまみ上げながら呟く。 「多分ね。」
「で・・あと一つってことだな?」
「うん。」
それは、いったいどこにあるんだろう。それを見つけない限り、あのドアを開 けることは不可能だ。
「もう一個の眼もこいつみたいな奴が守ってるんだろうか?」
バッグにそれを入れる前に、じっと見つめてピアースが言う。
「いずれにせよ出口はここにはないようですから、また戻ってグリンの家の外の小屋か らの道を行くしかないでしょう。」
ブレスを何度か吐いた為、疲れきって座り込んでいたコル ピッツがゆっくりと立ち上がった。
ブレスは強力だけど相当な気力を要するらしい。
再び階段を下り小屋のボタンの前に立った。

「押すぜ。」
私はごくん!と唾を飲んで、目でOKの合図を送った。
−ガクン!−
「え?な・・なに?」
「きゃああああ・・・・・・」
ピアースがボタンを押した途端、私たちが立っている床がぱくんと口を開けた。
でも、真っ逆様に落ちるのではなく、床下はシューターのようになっており、私たちは その岩壁を滑り落ちていった。

「おい、みんな大丈夫か?」
真っ先にピアースが声をかける。
「大丈夫ですよ。」
「はい、私も大丈夫です。」
静かに応えるコルピッツとハートレー。
「ああ、なんとかな。」
相変わらず、無愛想に答えるのは、ターマン。
「だ〜いじょう・・ブイッ!!」
元気にそして茶目っ気に答えるのは、ホト。
「はい、大丈夫です。」
そのホトと視線を合わせてにこっとしながら、私も答える。
おしりは痛いけど・・・。
小屋から繋がっていたそこは、山の西側のようだった。
でも、戻りたくても戻る道はない。一方通行という警告は事実だった。
もう城へは帰れないのかどうなのか、全く見当もつかないけど、とにかく、 今は、目の前に続く道を進むしかない。
しばらく休憩を取ってから私達はその道を進むことにした。
外に繋がっているといいのだけど。

その道は、また新たな洞窟へと繋がっていた。
途中から単なる洞窟でなく、どう考えても人の手によるトンネルらしく思えた。
その道は、再び別の洞窟に繋がっていたけど、入口が土砂で塞がれてしまっている。
勿論、コルピッツがつるはしでそこを掘ることになる。

洞窟の中の部屋は埋葬の為の部屋らしい。
いいかげん死体にも慣れたけど、でもあまりいい気持ちはしない。
壁の土を直接掘って作られたたくさんの窪み。
そこには、包帯を巻かれたミイラが横たえられている。
これと言ったものはなく、割れた陶器の破片が部屋中に散らばっているのみ。
そんな部屋がその洞窟にはいくつかあり、その中の1つを抜けて進んだ先はまた行き止まり。
でも、誰かが道を作ろうとしたのか、掘りかけでほかってあったような感じがしたので、ここでもまたコルピ ッツの出番となった。

「わー!お日様だー!」
コルピッツの掘った穴を進むと洞窟の外に出ることができた。
一瞬、村へ行けるのでは?と期待したけど・・・その期待は見事に裏切られた。
そう、最初に通ったお城からの渓谷に繋がっていた。
誰しもがっかりしたようで、ため息をついてから、また洞窟に戻ってトンネルを進んだ。
だって、お城へはまだ戻るつもりなかったから。
でも、そのトンネルもあまり長くなく、意味不明の砂の山があるところで行き止まりになっていた。

あと残る道は階段が1つ。
階段ということは、建物か何かに繋がっていることが予測される。
でも、もしここも行き止まりなんてことになっていたら、八方塞がりになってしまう。
ハートレーの話によると方角から考えると、女ばかりのアマズール族のテリトリーじゃないかというんだけど・・排他的で好戦種 族だという点が気にかかる。
モンスターじゃないんだから、たまには敵としてじゃなくても いいような気がする私は、やっぱり考えが甘いのかな?
排他的で好戦的といいうことは・・・・無駄な望み?
今まで通り、遭遇は戦闘開始を意味するんだよね、きっと。
許可無しで勝手に入り込むんだし・・・。

「女ばかりっていうのは、いいんだが・・アマゾネスかぁ・・・。」
などと1人にやにやと呟くピアースを無視し、私達は黙って階段を登っていた。

 

〆〆to be continued〆〆


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