〆〆 その18・岩、岩、岩!! 〆〆


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GG  ジャイアントクリーグ   GG
GG      グリンノ     GG
GG     フタゴノイエ    GG
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「おい、でっけー山小屋だと思ったらやっぱりジャイアントときたぜ!!」
ピアースがドアの横の岩に彫られた表札らしきものを見ながら言った。
「敵か味方か・・・どうだろうな?」
「ふ〜ん、双子かぁ・・・兄弟仲良く住んでるってことだね。どんな兄弟なんだろ?」
ドアをさっと開けホトが入って行った。
「こんにちはぁ・・・」
開ける勢いとは反対にその声は小さかった。
奥に続いてるらしい廊下と階段があるのみで後は何もない。きょろきょろしてたら廊下の奥から声がして きた。

「フィー、フィー、フォー、フム・・ニンゲンノ チノ ニオイガ スル・・・」
ズシン、ズシンと足音を響かせ、鏡に写したかとおもうような双子のジャイアンツが現れた。
「こ、こんにちは。」
ホトが思わず後ずさりした。
「オイラ、フリッツ・グリン」
「オイラ、クラウス・グリン」
1人ずつ名前を言うと、続いて2人で同時に言う。
「フリッツハ ファイター、クラウスハ マジシャン フタリ ソロッテ イワノ バ ンニン!オレタチニ カナウモノハ ドコニモ イナイ! オレタチハ ツヨイ!!」
外見は人が良さそうなのにどうやらそうじゃないようだった。チラっと私達全員を見回 したと思ったらいきなり襲ってきた。

「ちょ、ちょっとぉ・・待ってったらっ!許可も得ずに入ったのは悪いと思うけど、別に 戦おうとは思ってないよ!」
ホトが振り下ろされた大きなスレッジを避けながら叫ぶ。
「イワノ シュゴシャノ メイレイダ。ダレモ ココヘ イレナイ。オレタチ モンバ ン。クルヤツ ミンナ コロス!」
「ホト、何を言っても無駄のようですよ。殺す事しか考えてないようです!!」
コルピッツが2人の心を読み叫ぶ。
仕方なくスピアを構えるホト。
「チッ!しょうがねぇなぁ・・。」
成り行きを伺っていたピアースも攻撃に移った。
私も呪文を唱えるため精神を集中させる。


 そして、結局倒してしまったんだけど、なんだかかわいそうな気がするくらい人の良さそうな 感じがした双子だった。
「ちょっと頭が弱かったのかな。岩の守護者の命令だとか言ってたねー、忠実に命 令を守ったってわけかー、もう少し話ができれば倒さなくても良かったかもしれないの に・・。」
ホトも同じ気持ちだったようで、少し寂しげに呟いた。
「そうね、もしかしたらマインドコントロールでもされてたのかもしれない。」
「そんなことないって!ただおつむが足らなかっただけだと思うぜ。そこにつけこんだ その守護者とやらが悪いんだろうな。きっと忠実な部下だったんだろう。まっ、 そいつはいいとして、先を急ごうぜ!」
よくはないけど・・でも・・そう、かわいそうだからといって、いつ までもここにいるわけにもいかない。
私達は再び探索を始める。
階段を無視して裏口から出たところに小屋があった。特にこれといったものはないガランとした部屋。奥に いたピアースが壁に何か書かれているのを見つけた。

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GG    キケン!!      GG
GG    ボタンヲオスト    GG
GG    デグチニツナガル   GG
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  「ボタン・・・ボタン・・・・と、これだな?・・・どうする?」
ボタンを見つけたピアースがみんなに聞いた。
「そうだな、出口っていうのは魅力だが、階段の先を調べてからの方がいいんじゃない か?危険と言ってるんだからもしかしたら戻れないかもしれんからな。」
ターマンが小屋の入口を指差している。
「そうですね、上に行ってからの方がよさそうですね。」
「そうだね、その方がいいよ!」
さっさと先頭に立つホト。
「多分そこにグリンが言ってた岩の守護者とやらがいるんだろ!お人良しのグリン兄弟 を丸め込んだやつが!!」
ホトはグリンとは気が合うと感じてたみたい。確かに良さそ うな感じの兄弟だったから。もしあんな命令さえなければきっと友達になれただろうと 私も感じていた。
「守護者というんだから、強いんだろうな、やっぱし。・・・・でも俺様には負けるだろ うな・・ん!!」
「な〜にを言ってんだか!!」
階段中に笑いが響きわたった。

 階段を登り終え出たところは岩だらけの所だった。どうやらここが本当のジャイアン トマウンテンの頂上らしい。
もうこの上は空が見えるだけ。 四方は高い岩壁で囲まれている。
行き止まりで何にもないように思えたけど、とにかく奥へ進んでみる。
と、突然、「我は岩の守護者なり!」辺り一面に低くそして重みのある声が響きわたっ たかと思ったら、大きな岩の顔が現れた。
この巨大な岩の顔が例の守護者らしいということは、すぐ判断できた。
空中に浮かぶ巨大な岩の顔!!守護者というだけあってなかなかの貫祿。
全員じっと見上げていた。
だって、言う言葉も、どうすればいいかもわからないから。

「石を取りに来たのか?」
私たちが黙っていると、守護者はじろっと睨み付けるようにして聞いてきた。
「石ってなんだ?」
「さあ?」
ピアースの問いかけにホトが肩をつぼめて答える。
「わけわかんねーなー・・・石って?」
顔に振り返るとピアースは聞いてみた。
「石を取りに来たのか?」
「おいおい、どうやらこいつも、おつむが足らないみたいだぜ。」
再び同じ言葉を繰り返す守護者に、ピアースは呆れたようにみんなの方を振り向いた。
「石を取りにきたのか?」
返事がないと再び同じ質問をしてくる守護者。
「いいや、ちがうぜ。」
訳が分からず、ピアースは一応そう答える。
「貢ぎ物はあるか?」
「へっ?貢ぎ物ぉ?・・おい、貢ぎ物だってよ!何かないか?」
「そんなもんやんなくてもいいんじゃぁ・・・」
ホトが必要ないとでも言うように顔を膨らませている。
「・・・だけどなぁ・・。」
「そんなもんないよっ!!」
ピアースが言いそびれているうちにアッカンベーをしながらホトが大声で言ってしまった!
「立ち去れい!!」
すると、岩の顔はそう言い残して、すうっと岩の間に入って行ってしまった。
「あーあ、行っちゃったぜ。」
ピアースがホトを軽く睨んだ。
「・・てっきり攻撃して来ると思ったんだけど。そうしたらやっつけてやろうと・・」
ホトが少しきまり悪そうにぺろっと舌を出した。
「守護者ってんだから何かあるはずだぜ、なあ、ハートレー?」
「そうですね、何かを守ってるんでしょうね。問題はそれが何か、ですが。私達に 必要なアイテムかもしれませんし。もう一度呼びましょうか?」
「でも出てきそうもないよ。」
ホトは責任を感じたのかよじ登って消えて行った岩の間を調べていた。
「もしかしたら階段を上がってくると出てくるのかもしれない。」
「じゃ、そうしてみますか。」
ドアを開けただけじゃ出てこなかったので、全員そこから一旦出るとまた入り直した。

「我は岩の守護者なり!」
「あははっ!出てきたよ!ワンパターンだねー!」
少しほっとしたようなホトだった。
「石を取りに来たのか?」
「違うよ。」
「貢ぎ物はあるか?」
「ほら、コルピッツ、あれ出して!グリンが置いてったあれ!」
「この岩ですか?」
ホトに言われるままコルピッツは岩を出した。
「でもこんなものが貢ぎ物になるんでしょうか?」
「いいんだったら!だってさっきから『石、石』って言ってるもん。こんなの重いだけ でいらないし、違ったら違った時のことだよ。」
小声で早く渡しちゃいなと言うホト。
半信半疑のままコルピッツは重いその岩を差し出した。
「なかなか良い岩を持っておるではないか!もらっておくぞ。」
吸い取るようにその岩をコルピッツの手から取るとムシャムシャと食べ始めた。
「ゲ、ゲェーーーー、予想はしたけど・・だけどホントに岩を食べてるぅーーー。」
「むむむむむ、ウマーーーーーイ!!・・・何が望みじゃ?」
満足そうな顔でコルピッツに聞いた。
「・・・・。」
何を言っていいのかさっぱりわからないコルピッツは困った顔をして黙っている。
「石を取りにきたのか?」
「先程からあなたの言っている『石』とは、何なのですか?」
コルピッツは静かに平和的に尋ねたのに、それを聞いた途端、守護者は急に怒り出した。
どうやら『石』という言葉だけに反応するらしい。
「石を取りに来たのか・・・ならば、殺すまで!」
そう言ったかと思ったら、大きな岩をさしずめ嵐のように吐き出してきた!
「岩が岩を吐くぅ?、当たり前みたいでつまらねーじゃねーか!!もっと奇抜なことやれ よ?!」
ひょい、ひょいと降りかかってくる大岩の上を飛び移りながらピアースは余裕 たっぷりといった感じで文句を言っている。
でも、私達は岩を避けるのに必死で、呪文なんか唱える暇もない!!
もっとも、ホトは面白がっているようだけど。まるで振ってくる岩を楽しんで避けて いるようにみえる。
コルピッツ、ハートレーそしてターマンは、上手く岩陰に逃げ込んだ。
「ツェナ、早く!こっちだよっ!!岩に押し潰されたいの?」
岩を避けながらホトが叫ぶ。
「んなこといってもぉ!!」
雨の様に降って来る大岩。必死になって避けるんだけど、とてもじゃないけど避けきれない!
「わぁっ!!」
頭上に迫る大岩は1つやそこらじゃなく、とても逃げ切れそうもない。
私は、頭を両手で抑え、目を固く瞑りその場にうずくまった・・。
もう駄目っ!!



〆〆to be continued〆〆


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