〆〆 その12・出て入って・・・ 〆〆



 スミッティにようこそ! 

鍛冶屋と食堂
食事と修理!

 私達がなんとか巨大アリの軍団を片付け、再び暗い穴の中を進み、そ して目にしたのがこの看板が掲げてある薄汚いドアだった。
「食事だって!!」
ホトは目を輝かせ、先を歩いているコルピッツ達をかきわけてドアを開けた。
 歳をとったドワーフが床の向こうからこちらを見上げた。手には真っ赤に焼けたトウ モロコシがある。どうも偏屈おやじという感じがする。
「コンチキショウ!おらは忙しいだ。わかんねぇか?」
私達を無視してなんとトウモロコシに向かって怒鳴っている。
「あ、あのー・・・・」
ドアを開けた時の勢いは何処へやら、ホトがもじもじと話し掛けた。
「食事ができるって・・・あの・・」
「ああ、これが欲しいんだな。」
焼きトウモロコシを差し出した。
「えっと、あのー・・・他には何か?」
「他か?他はいろいろあるぞ。どれもわしの自信作ばかりだで。勿論、修理でもいいだ ぞ。」
奥からごそごそ武器を出してきた。
「食べ物は?」
「食べ物?ほれ!これじゃ。」
どうやら食事と言ってもトウモロコシしかないらしい。
ホトは少しがっかりした様子。
「いくら?」
私はその香ばしい匂いに誘われてつい聞いてしまった。
「5本で300GPだ。買うのか?」
気難しそうな顔が少し和らいだように見えた。
「ん、じゃ10本ちょうだい。」
お金を受け取ると無言で渡してくれた。一応それでも愛想笑いしているようにも見えた。
ついでだからここで食事させてもらうことにし荷物を下ろしみんなで食べ始めた。
ちょ っと焼き過ぎのような気もしたけど、ここのところ干し肉くらいしか口に入ってなかっ たので美味しかった。
「ん、まぁまぁだね。」
最初はいらないような事を言ってたホトたちもまぁまぁ気に入ったみたい。
そうして私達は再び暗い通路を進んだ。

 「何?これぇ・・・?」
どのくらい進んだのだろう、上がったり下がったりで、どこをどう通ってきたのか分からない。
でも、とにかく普通の行き止まりではないことは確か。
部屋の入り口が巨大なダイヤモンドで塞がれている。
そしてその内側に今まで見たこともないような奇怪な表情が浮かび上がった。
ダイヤモンドの内側で大きな顔がうごめいている。何かを言いたそうな感じがする。

「だめだぜ、何処にも仕掛けらしきものもないし、割れそうもない。」
ピアースが肩をすくめた。
「これは、単なる幻影ではなさそうですね・・・。多分この人の魂がこの中に捕ら われてるんでしょう。」
気持ちの悪いその顔をじっと見つめてたハートレーが考え込んでいた。
「しかし、どうすることも出来ないようですね。」
「ちょっと待って下さい。」
コルピッツがダイヤの一点を指した。
「結構大きな亀裂がありますよ。そうですね・・周囲に割れ目を起こして、あとここに一撃を 加えれば何とかなるかもしれませんね。」
言うが早いか彼はツルハシを出して試してみた。が、傷さえもつけれない。
「どうやらこれでは駄目みたいです。」
「やっぱりこういうのは『のみ』かなんか、かな?」
ピアースもツルハシを受け取って試してみたが、コルピッツで駄目なものが出来るわけがない。 溜め息を尽きながら呟いた。

「仕方ありません、そのうちどこかでいいものが見つかるかもしれませんし・・・。スミ ッティに聞いてみてもいいですしね。ここは後回しにして先に進みましょうか。」
「そうだな、ここはキーポイントのように思えるんだが、今は諦めるしかなさそ うだ。」
そして、私達は再び歩き出した。
と、またしても違うドアから同じ様な部屋に出た。ここもツルハシやソードでは歯が立たない。

仕方無く、また道を戻り他の道を進む。
「やったっ!のみが入ってる!!多分これで何とか割れ目くらい作れるんじゃないか?」
ピアースが宝箱でのみを見つけ叫んだ。
途中RUBBER−BEASTを倒し、ゴム糸なんかを手に入れた。
こんなもの何の役に立つんだ?というターマンを無視し、一応バッグに入れておく。 ここでは、何が重要になってくるのか分からないから。
「どうする?戻るか、どうしようか?」
相談のうえ、道が分からなくなるといけないということでそのまま右壁にそった進み 方を維持することにした。そうするうちに外に出た。

「やっぱり外はいいねー、もう真っ暗の坑道はいやんなるよ。」
ホトが大きく伸びをした。
「そうね、気持ちまで暗くなってしまうから、ねっ。」
私もホトに賛成。
そして、私達は、そのまま再び右々へと進んだ。
「行き止まりですよ。」
そこは絶壁で道は遮られていた。
「向こうに丸い標的らしきものが見えるんですが、それにここにこんなものが。」
どうやらカタパルトのようなものらしい。
「つまりこいつを使って向こうの標的に何かを当てると、何かが起こるってことらしい な。」
ピアースがあちこちいじりながら調べた。
「何かって?」
ホトの耳がピクピク動いている。
「多分向こうへ渡れるんだと思うんだが、歯車が壊れてるみたいだ。修理すれば なんとかなるかもしれない・・が、俺じゃだめだぜ。」
歯車を取り外すとコルピッツに渡す。
「私でも無理のようです。スミッティにお願いしてはどうでしょうか?少し重いようで すが、私が持っていきましょう。」
「あと、この伸びきったゴムバンドのかわりも必要だな。ツェナ、確かゴム糸持ってたよな、ちょっと見せてくれ。」
「はい。」
とっておいてよかったと思いながらピアースに渡す。
「これじゃ弱すぎるな。RUBBER−BEASTをやっつけてもっと手に入れないと な。」
「とにかく戻るしかありせんね。」
「えーっ、また行くの?」
「仕方ないだろ?このままじゃ、カタパルトは動かないし。」
気が進まないけど仕方がない。またしても採掘場へと入り、右々と進む。

「おい、こりゃあ、全然前が見えないぜ!真っ暗だ!!」
そのエリアは一歩先が見えない暗闇。
「こんなとこ通らなくっちゃいけないのぉ?」
只でさえ気持ちが悪い所なのに。
「じゃ、あたいが先に行くよ。こういうとこに結構重要な物が隠してあったりするから ね。みんなついて来るんだよ。」
ホトを先頭に私達はゆっくり一歩一歩手探りで進んだ。




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