外伝(6) 恋愛は戦いよ!

 


 

  ハーイ、さおりです!!こういう登場の仕方久し振り!ようやく私らしくなったわ。ここ数回分、ぐじぐじしてばかりいたから、そこだけ読んでくださった人は(いるかしら?)私がそんな女の子だと思ったでしょうね。
そうそう、あれからどうなったと思う?多分読者の皆様は(いるかいないか知らないけど)、あのあとどんどんムードが盛り上がって・・・だと思ったでしょ!?ところがどっこい。喉元過ぎれば何とやら、冷静になった私はハタと気がついたの!
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 「ダグ、、ごめんなさい。」
あれほど不安だったのがダグの腕の中で何処かへ飛んでいってしまった。ダグの唇が離れると私はもう一度謝った。
「全く、心配させやがって。」
ダグは私のおでこをチョンとつついた。と、思ったら急に高飛車に言い出した。
「いいか、さおり、よーく覚えておけ!俺の女はお前だけだ。ディーもギィも関係ない。だからお前も俺の事だけ考えていればいいんだ。だいたい何にも相談しないで飛び出すなんてガキのする事だ。いいか、何かあったら俺にまっさきに話すんだぞ!お前一人で考え込むとろくな事になりゃしないんだからな!」 
その台詞でそれまでのいいムードが何処かに飛んでいってしまった。それまで私が悪いというダグの勢いに押されて謝った自分に腹が立ってきた。
「ちょっと、それどういう意味?!私ガキじゃないわ!」
私はダグの腕を払いのけると叫んだ。私のその勢いに押され、ダグは少したじろいだようだ。
(よーし、この意気だ!何と言っても女は立ち直りが早いんだから。何もかもダグの思い通りになると思ったら大間違いよ!)
私は立て続けに喋り始めた。
「だいたいダグがはっきりしてくれてればこんな事しなかったわ。私を一人ほかっておいたのはダグでしょ!何よ、ダグなんて!!こんなになるほどひっぱたく事ないじゃない!ダグのバカ!意地悪!卑怯者!(えーい、こうなったらメチャクチャだぁ!)そんなにガキがいやならもっと大人で美人で、背が高くって、しっかりしてて、、(何関係ない事まで言ってるんだろ、私?)とにかく、、ダグにぴったりの人を恋人にすればいいでしょっ!」
そう言い捨ててベッドルームから出ると、ドアをロックした。(昔のドアならピシャッ!と閉めるところ)
「おい、さおり!?」
あっけにとられたのか、ダグが声を掛けたのは少したってからだった。
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それからまだドアロックを解除してない。だって本当に私だけが悪いんじゃないんだもん。(女が頭に血を登らせるとこわいのよ。もう、メチャクチャ。そこのあなた、この事をよーくわきまえてから彼女と喧嘩をしてください。口でなら、まず男の方に勝ち目はないから。その人に惚れていればなおさらのこと。『一発ガツーン』とやっちゃえばと言われるかもしれません。でも、最近の女は特に強くなってきています。よほどでなければ火に油を注ぐようなもの。結果は悲惨です。、、最初っから押しきってしまえばいいんだけど、ダグのように失敗すると目も当てられません。女は感情の生き物です。くれぐれも御用心!、、、ヒステリーは台風といっしょ、過ぎ去るのを待つのが無難です♪・・・なんちゃって(笑)

 でも、、そろそろいいかな?中はばかに静か。まさか寝てしまったんじゃ?暫くじっと様子をうかがっていても物音一つしない。
私はそっとロックを外した。起きていればノブの下のランプですぐ分かるはずなのにダグは出てこない。声もしない。
私はそっと覗いてみた。その途端、私は、グイッと横に引っ張られた!
「捕まえたぜ、このはねっかえり娘!」
どうやらじっとドアの横でひそんでいたらしい。ぎゅっと抱き締められてしまって身動きできない!
「もう!ダグの卑怯者!放してよっ!」
ジタバタしても、ダグの腕から逃れれる筈はない。
(あーん、もう!失敗だわ!)

               * この勝負、ダグの逆転勝ち! *
   


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