Stardust Stargazer
−星屑(ほしくず) 星見人(ほしみびと)−


 
第二部その3・ファンタジックに探索開始!? 
 


 

 セレスとイザムの精神波融合によるマイの思念波探索は数回に及んだ。
が、はるか遠くであるようでないような、不思議な感覚は覚えたが、それがこの宇宙なのか、それとも彼らが通ってきたワームホールを通してなのか判断がつかなかった。

「情報が少なすぎる上に、不安定要素てんこもりね。」
「分かってることは、遠く離れていることだけ。」
まいりはがっくりと肩を落としているイザムのその肩をぽん!と軽く叩くと明るく言った。
「ぜんぜん感じなかったってわけじゃないから、出来ることからやっていこ!」
「出来ることから・・・」
イザムはそのまいりの言葉をかみしめるようにつぶやいてから、弱々しい笑みを返す。
「そうだね、沈んでるだけじゃ何も解決にならない。出来ることから手をつけていかないと、開くはずの道も開かない。」
およそ子どもらしからぬその言葉は、ここまで苦労してきたイザムだからこそ学習した事でもあった。
「でさ、ロボ?今ぼくたちに必要なのは、エネルギーと部品だよね?それらを入手できるだけの文明はこの星にあるの?」
イザムの問いに、修理ロボはサイドパネルに船体の全体図を写しだして説明をはじめた。
修理ロボットに名前がないのは不便だというイザムの主張に対し、それまでまいちゃんズは「ロボちゃん」と呼んでいたことから、「ロボ」が名前として定着しつつあった。(笑
「取り外しが可能な貨物庫の壁などのパーツは、欠けてしまった船体の修理に利用できますが、問題は破損箇所が多大且つ広範囲すぎるということです。それから航行に肝心なエンジン部分や推進部分も破損パーツが出てますので、事態は調査が進むにつれ深刻さをましているのが現状です。いくら私が宇宙一すぐれた修理ロボであっても部品がないことには修理は不可能です。そして、部品の調達ですが・・」
修理ロボットの説明を聞きつつ、まいちゃんズとイザムは、惑星マップが写されつつあるスクリーンを見つめる。
「惑星探査システムの修理と微調整がやっと終わり、スキャン可能になりましたので・・」
惑星の南西の端2カ所に点滅している箇所を指し示し修理ロボは言葉を続ける。
「現在、この惑星上の科学では考えられないエネルギーをこの二カ所から探知できるのです。」
「それって、この船のエネルギーになりうるの?」
まいりがさっそく聞く。
「エネルギー分析によると十分可能です。」
「じゃー、それを取ってくればいいのよね?」
「だけど、りん、ここまでどうやって行くの?船が動けばすぐなんだろうけど・・」
「そこが問題よねー。・・・でも、行かなくっちゃ、取ってこなくっちゃ進展はないんだからね、イザム?」
「あ、う、うん・・それはそうなんだけど・・・・」
「現在惑星上の知的生命体は、人類と同種だと思われます。文明は・・そうですね、まだ科学文明と言える発達段階には達していないようです。それらしいエネルギー反応は惑星上どこにもみられません。おそらく移動手段は馬車、帆船などだと思われます。」
「ふ〜〜ん・・・そっかぁ・・・・でも、行かなくちゃならないのよね。」
「だけど、向こうに行けば、そこに何かあるのかもしれないよ?」
「え?何が?」
「だって、そこにそんなエネルギー源があるっていうことは、惑星上には見つからなかったかも知れないけど、科学が発達した地下文明とかあるのかも?」
イザムの言葉にまいちゃんズは顔を合わせてはっとする。
「さっすがー、冴えてんじゃん!そうかも、だよね?」
「違うかもしれないけど。」
「もう!なっちゃんったら、せっかく見つけた希望に水を差すようなこと言わないの!」
「じゃー、どうしよう?イザムはロボちゃんとここにいる?」
「え?」
「だって、いつ帰って来られるかわからないくらい遠いよ?」
「じゃー、りんちゃんは、いつ帰って来るか分からないのに、ぼくだけ置いていくわけ?」
「だってさ、途中で何があるかわからないよ?」
不服そうな表情のイザムに今度はまいなが口を開く。
「留守番も必要よね。ロボちゃんはいるけど、1人じゃー・・ねー・・・もしも、そのエネルギー発信源に科学文明の発達した種族がいて、ここを調査に来るとかいうことも、考えられるわよね?でも・・・そうするとぉ・・・・」
まいりもまいなも宇宙でサバイバルできるよう一通りの訓練と、あまり多くはないが一応のそれまでの経験があった。加えてまいりは正式なパイロット兼エンジニアであり、まいなは、ナビゲーターのプロ、そして、科学探査、コンピュータ関係に秀でていた。
「普通の惑星調査なら、実行部隊は、りんちゃんなんだけど。」
「うん・・なっちゃんはどっちかというとあたしが持ち帰ったデータの分析だもんね?でも、今回は特殊中の特殊だし・・バラバラにならない方がいいとも思う・・・」
幸い不時着したその場所は、高山地帯で、何者かが出入りしているような気配も軌跡も全くなかった。いわゆる人知未踏の山岳地帯の奥地に当たるようだった。
「バラバラにならない方がいいという点は、私も賛成です。船のことなら、特殊フィルターシステムを作動させておけば大丈夫と思います。」
「そ、そうだった!」
修理ロボの言葉に、まいりとまいなは瞳を輝かせて見合う。
「麻依霧艦長がこの船に取り付けてくれたんだった!」
「特殊フィルターって?」
「ああ、えっとね、話したよね、カメレオンみたいに周囲の宇宙を投影させて姿を消す巨大宇宙ステーション♪」
「うん!ギルドステーションの保護システム!」
「それから、セレスは、マスタープログラムがしっかり組み込まれているようなので、船のマザーとセレスを同調させておけば、万が一コンピュータを扱える文明レベルの侵入者があっても、簡単には向こうの意図するようには作動しないと考えられます。」
「そ、そっか!ロボちゃん、あんたロボットのくせに結構頭柔らかいのね?」
「それに、特殊フィルターシステムを見破って侵入すること事態、難しいと思われますので、全員で出かけても大丈夫でしょう。」
「何があるかわからないから、みんな一緒に行動すべきだと思う。こんな時は力を合わせないと!」
「うん、そうだね、イザム!その通りだと思う。」
「あたしも賛成!みんなでエネルギー取りにいきましょ♪でも、出発はもう少し待って!」
「え?なに?何かあるの、なっちゃん?!」
「惑星の裏側に行っちゃうとこの位置からじゃ捕捉が困難だし、一方通行だけど・・・」
「そ、そっか!転送装置!」
うんうん、というように、まいりにまいなが頷く。
「緊急事態に陥った場合、転送収容はもってこいよ。」
「奥の手だね。」
「そ♪奥の手だけど・・・・でも、船に誰も残ってなくてオート作動させれるの?」
「だから、セレスがいるのよ。」
「え?」
まいなはにっこりとイザムにほほえむ。
「ロボちゃんも一緒に行けば、端末代わりになるわ。セレスとイザムの精神波は引き合ってるみたいだから・・・・」
そこまでの言葉でイザムは、そのことに気づく。
「船になにかあったときは、すぐ分かるし、ぼくたちが危険な時も?」
うん、うん、とまいちゃんズはイザムの言葉に力強く応えていた。
それは、進む道が分からない現時点に差し込んだ一筋の光のようだった。
暗雲に覆われているエネルギー探しの旅が、その一筋の光で明るく照らされた。

「よし!行こう!みんなで!惑星探検だ!」
「町があるみたいだから、探検というより、旅でしょうか?」
「あはは、ロボ、人間みたいなつっこみすてきだよ。」
−きゃはははは−
深刻な緊張感で覆われていたコクピットは、しばし明るい笑い声で包まれていた。
「じゃー、もう少し惑星探査システムで詳しく調べて・・・・それから、一番近い村・・かな?とにかく人家を見つけて、目立たない服装や装備とか調べないとね。あんまり浮いてるとどう扱われるかわからないもん。」
「うん!そうだね!住人に合わせて、中身は最新科学装備でも見た目は魔法の杖とか、魔導書とかね?」
「あはは♪それ、いいかも♪でも、そういったあまり目立つようなことはしない方がいいと思う。かえって怪しいと警戒されてしまうかもしれないから。そうね・・奥の手で一応装備していこっか?」
「うん、そうだね、それがいいね。」
そうして、エネルギーを求めての未知の惑星の旅の準備が始まった。



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