Stardust Stargazer
−星屑(ほしくず) 星見人(ほしみびと)−


 
第二部その1・新しい仲間@未知の惑星 
 

未知の惑星に不時着するセレス

 「・・気が付いた?」
「え?ここは・・・・ぼく?」
(気を失っていたのか?えっと、何があったんだっけ・・・・)
気づくと見知らぬ少女の顔が自分を覗き込んでいた。
イザムは、意識の空白状態から脱出する為に記憶を辿っていた。
「そうだ!リオは?リカルド船は?・・・・・あ・・・・・そうだ・・戦ってるうちに、フレア活動が盛んな惑星に近づきすぎて・・ブラックホールに引き寄せられて・・・・・・・ぼく・・・・」

「ま、これでも飲んでちょっと落ち着いてゆっくり考えな。」
「え?」
「あたいはまいり。こっちはまいな。」
「え?・・ふ、双子?」
「そうだよ。」
自分の顔を覗いた少女の後ろから、もう一つそっくりな顔が覗き込み、手にしていたボトルチューブを手渡してくれる。
「自己紹介は、少し後の方がよさそうだね。ここは惑星上だし、周囲に危険そうなものは今のところ見あたらないし。」
「言葉を替えれば、これ以上深刻な状態はないとも言えるんだけどね?」
「え?」
現状が把握できず、イザムはきょとんとして2人を見つめていた。
そして、確か、ブラックホールの手前で形成されつつあったワームホールのようなトンネルに引きずり込まれたと思い出す。
操縦不能のそこで、不意に分岐していたホールから飛び出てきた中型スターシップ。その衝突のショックでシートベルトをしていたはずの操縦席から飛ばされ・・・・一番近い記憶はそこまでだった。

「ぼく、助かったの?ここ・・・天国でも地獄でも、霊界でも、ないよね?」
周囲を見渡し、イザムは自分に確認するように呟く。
そこは、少女の言うようにどこかの惑星らしかった。イザムの目に映ったのは、緑の木々と青空。
「そうだ、セレスは?ぼくの乗っていた船は?」
「ああ、それなら、あたいたちの船と一緒になんとか不時着したよ。」
「そうそう、あたしたちの船の方がちょっと大きかったから、破壊しちゃったかと思ったんだけど、なんか2つがきりもみ状態でワームホールから出ると同時に、この惑星に不時着したみたい。」
「きりもみ状態で?」
うんうん、とイザムの質問に頷く2人。
「惑星に不時着?」
うんうん、と再びイザムの質問に2人は揃って頷く。
「非常事態・緊急救助システムが作動してね、あんたの船を牽引ロック状態で一応惑星上には下りることができたけど・・。」
「けど?」
「とてもじゃないけど、あたいたちの船もあんたの船も飛び立てる状態じゃないことは確かだよ。あんたは衝突の直後になんとかギリギリでこっちのコクピットに転送収容したんだ。」
「え?」
「全壊とまではいってないけどね、あちこちめちゃくちゃに壊れてる。とくにあんたの船は、全壊と言ってもいいような状態で・・・」
「そんな!」
がばっと立ち上がって闇雲に走り始めようとしたイザムの腕を掴んで止める2人。
「船の落ちた場所はそっちじゃないし、それに、大気圏内突入時の摩擦による高熱で、今はとてもじゃないけど近寄れないよ?船内も温度が上昇しちゃってさ・・といっても船外程じゃないけど。船の外壁は今あっつあつで近寄れないよ。ここへも転送装置で出たんだ。」
「え?」
「だからー、そう立て続けに説明したって、この子が困るだけでしょ?」
口早に説明するまいりを止め、まいながイザムに微笑んだ。
「急がなくても良いから、少しずつ整理しましょ♪慌てたところでどうなるもんじゃない状況なのよ。あなた名前は?」
「あ・・ぼ、ぼく、イザム。」
「イザム・・・いっちゃんかぁ・・・・・」
まいりが、さもなにか理由があるかのように呟く
「え?」
「でも、あたいたちより年下だよね?」
「え?」
「りんちゃん、またこの子には訳の分からない話を口切ってぇ。困ってるじゃないの?」
「あはごめんごめん、これもまた話せば長くなっちゃうからね。じゃーさ、少しずつ自己紹介しあうとしよっか?」
頭をかいて笑うまいりとにっこり微笑んでるまいなを見て、どうやら悪い人たちじゃなさそうだとイザムは判断した。

九死に一生を得、イザムは、未知の惑星で、双子の少女、まいりとまいなという新しい同行者ができた・・・らしい?
前途多難な状況らしいが・・・・・。



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