Stardust Stargazer
−星屑(ほしくず) 星見人(ほしみびと)−

イラスト by COSMOSさん


 その14・戦闘機セレス復活! 
  
  
 

 「お〜れぇ〜は、宇宙中〜で一番・・気楽と言われぇ〜た男♪ 広〜い宇宙をかけめ〜ぐりぃ、残骸、チップの収集♪」

宇宙戦闘があったエリアで、一人?のアンドロイドが鼻歌交じりに漂う残骸の間をひょいひょいと、そしてのんびりと回っていた。
それは、掃除人と呼ばれている一応人型?アンドロイド、ホブコブ。
戦闘があったエリアや、宇宙嵐が通り過ぎていったエリアを徘徊し、残骸をかき集め、そして、見事なまでに、到底合わないと思われる残骸を組み立て、チップを埋め込み、商品に仕立てていく。
一見、恐ろしげな風貌と全身からにじみ出ている雰囲気は、不気味さも感じられ、好んで彼と接触しようなどという輩は、宇宙広しといえども、希にしかいない。

その希なる人物の中にイガラら宇宙海賊が含まれる。

「はーい♪ホブコブ♪いいもの手に入って?」
「おんやぁ〜・・・・どこのかわい子ちゃんかと思ったら・・・声色は違うけどよー・・・波長でわかるぜ?・・・・リズっち・・だろ?」
「あは♪人間なら騙せるんだけど、同じアンドロイドじゃごまかせないわね?これ、なかなかいいでしょ?」
「おお♪とってもチャーミングだぜぃ!」
チップ回収の手を休め、ホブコブは小型スターシップから宇宙空間に身を乗り出し、にこやかに手を振っているリズに、Vサインを送る。
「これね、カンタロスの宙港で、ちらっとみかけた女の子のものなのよ。一目で気に入っちゃって・・・早速作っちゃった♪かわいいでしょ?」

アンドロイドのリズは、ボディーもフェイスも、よりどりみどり♪それこそ熟女から今日のようなかわいい少女にもパーツを変えるだけで変身可能なのである。しかも特殊皮膚で仕上げてあるそれは、人間と全く変わらない。髪の毛とて偽物とは到底思えない精巧なものである。
そしてまた着替え用の洋服を作るように、ボディー&フェイスパーツを作るのが彼女の趣味。
いかにもアンドロイドでございます、と一目見て分かる迎撃用スーツのようなものもあれば、人間以外何者にも見えないと思える精巧なものもある。希にだが、男用のパーツを作るときもあるらしい。
ともかく、そのせいで、リズはそれまでにどれほど男を泣かしてきたか。(笑
彼女が男のパーツを滅多につくらないのは、同性の女性を泣かしたくないからである。では、男ならいいのか?・・・・リズは、迷うことなくそうだと頷くだろう。(w
飽きがきたら、他の顔に取り替えれば、すんなり別れられる利点がある。そして、彼女は実は住所不定の海賊である。とんずらはお手の物(おいおい

「まーな。それはいいが、本人と間違われるようなことがあると、リズっちはいいだろうが、その勝手にモデルにした子が迷惑すんじゃーねーか?」
「あは♪海賊の仲間だって?」
「そうだぞ?」
「大丈夫よ♪お出かけ用だもの。海賊業のときは、このカッコはしないわ。」
「あはは・・まー、いいんだけどな・・・・肖像権の請求があっても、おいらはしんねーぜ?」
「あはははは・・それこそムダってものよ。海賊に請求したって払うわけないじゃん?」
「あはは。ちげーねー。だいたいが住所不定だしな?」
「そうそう♪」
「で、こ〜〜んな戦闘後の墓場にまで来て、わざわざおいらに声をかけるなんざ・・・何かい?掘り出しモンでも探してるのかい?」

「ああ、連邦軍の最新鋭戦闘機を一つ組み立てたいと思ってな。」
「へ?」
リズと同じようにスペーススーツ姿で彼の前に姿を現したのは、イガラである。
「ほう・・・イガラの旦那・・めずらしいこともあるんだな。連邦軍の戦闘機なんざ、ゴミばかりだというのがあんたの言い草だったんじゃーねーのかい?」
「ああ、まー、その点は変わらずそう思っているが、ちょいと訳ありでな。電子頭脳だけ回収したんでな、その機体を組み立てているところなんだが、そいつの持つ特性を出そうとするにゃ、普通の部品じゃ無理らしい。」
「な〜るほど、それであっしに声を・・・・こりゃー、嬉しいねー。天下の海賊イガラにそこまで見込まれる奴なんざ、いやしねーからな。」
誇らしげにどん!と胸を叩き、ホブコブは続けた。
「よーがす!あっしに任せておくんな。旦那のことだから、連邦が引き出せなかった特性も引き出してやろうって魂胆でやしょ?」
「そうだよ!何しろこっちにはその頭脳と対話というか、一体化でさえできる人物がいるからね。どうしたらベストなのか、手に取るように分かるのさ。」
「ほう♪そいつは興味ぶけぇ話じゃないかい、リズ?なにかい?インターフェースが結ぶ恋って奴か?」
「きゃはははは♪ホブコブ・・そんなんじゃないよ。相手は人間だからね?」
「ほうほう、そいつはまた一段と興味が沸くぜ?是非一枚噛ませてもらいてーな。とっておきの部品をしまってある倉庫へ案内するぜ。ちょいと辺境惑星のそのまた辺境地だけどよ?」
「あら♪そのくらいどうってことないわよ♪」


そうしてホブコブから部品を買い、戦闘機、NEOコズミック・セレナーデ、セレスの組み立ては着々と進んだ。
「ありがとうございます、イガラ艦長。リズさん・・それから・・・メカニックのみなさん。」
「いいってことよ。オレも楽しみだ。こいつと坊主がどんな飛びっぷりを見せてくれるか、がな。だが、いいか?」
「はい、分かってます!」
イガラが言うより先にイザムはにこやかに、そして真剣な瞳で言った。
「役にたたないと判断したら、即、宇宙へ放り出すからそのつもりでいるんだぞ!」
満足したような笑みをみせ、イガラはぽん!とイザムの頭を軽く叩くと、格納庫から出て行った。

「さて、あと少しでセレスも完成だよ。細部調整は、セレスと同調して様子を見る必要があるわね?」
「はい!」
「早くセレスに乗ってみたいでしょうけど、急がないようにね。同調した後は極度の疲労がみられるから、徐々に慣らしていく必要があるわ。細部調整も少しずつにしてね。」
「はい、ドクトル・ミーナ。」
リズをチーフとしたメカニックグループによって、セレスは組み立てられていく。そして、ドクトル・ミーナがたてたプランに従い、イザムとセレスの同調タイムは、徐々に延びていく。



「イザム、元気?苦労・・してない?」
「うん!元気だよ!もうじきセレスも前のように飛べるようになる!ううん、前よりもっともっとすごい戦闘機に生まれ変わるよ!ぼくもセレスに負けないように、がんばって操縦を覚える!そうしたら、マイを助けに行くね!迎えに行くよ!」
「イザム・・・・ありがとう。きっとあなたの時にいる私は、首を長くしてその日を待っていると思うわ。」

それは、セレスの思考の欠片の中のマイとの会話。
こうしている間にも、と焦りもあったが、それはイガラに諭された。急いては事をし損じる。何事も準備万端にして挑むべきだ。でなければ、出来る事も出来ないで終わる。

イザムは心強い仲間に支えられ、希望に燃えていた。



プチ加工byくずは


-INDEX- BackNext