青空に乾杯♪



☆★ <<第3話>> 熱砂の迷子(1) ★☆


ミルフィー ミルフィア レイム レオン チキ シャイ

[箱さんが描いてくださったメインキャラ一同です。ありがとうございました。]

  「ん〜もうぉ〜〜!行けども行けども、な〜んにもないじゃないのぉ・・・」
 予想以上に砂漠の行進は長くなる気配だった。1日中歩いても何も見つからない。一行は、砂山の影で一晩を過ごすと翌朝、再び行進を再開した。が、相変わらず周りの景色は同じ。見渡す限り砂の起伏しかない。熱風が砂を吹き上げ、青空も見えない。
「いったいどこにその村があるっていうの?・・・まったくぅ・・・・」
「だから、オレは別にいいって言っただろ?」
ふてくされた顔をして、額に手を当て遠くを眺めているチキに、だから探す必要はないと言ったのに、とレオンは呟く。
「あら、レオンを責めたんじゃないわよ。ただねー、オアシスらしい影も形もないし、こう暑いとぉ・・・」
「だよなー、方向だってわかったもんじゃないし。このまま進んでいいのか?」
「どうなんでしょうねー。今まで人っ子一人出会いませんでしたし。」
「ふごっ!ふごっ!」
 遠めがねで辺りを見渡していたシャイが大声をだす。その遠めがねはシャイがエルフ村を出発するとき、役に立つだろうと、長老がくれた村の宝物。形は単なる遠見の筒だが、通常では不可能な遠距離も見ることができるもの。
「どうしたの、シャイ?何か見つかって?」
「ぶきっぶきっ!」
「どこ?」
遠めがねをもらい、シャイの示す方向を見るチキ。
「人影だわ!馬に乗った戦士らしい人が2人。」
 思わず全員チキが見ている方向に視線を飛ばす。と、ゴマ粒サイズだが、チキの言う人影らしきものが遙か遠くに見えた。
「ちょっと見せてくれよ。」
「いいわよ。」
 チキは右手を差し出すレオンに遠めがね渡すとさっそくそれを覗くレオンをじっと見つめる。
「ほんとうだ!逆光で顔ははっきりとは見えないが、確かに戦士みたいだな。・・・お〜〜〜い!聞こえ・・」
 「るか〜〜?」と大声を続けるつもりだったレオンは、全部叫ばないうちにミルフィーに口を押さえられ、もごもごする。
「な、なにすんだよ?いきなり?」
 口から2人の手が離れると同時にレオンはミルフィーを睨んで怒鳴る。
「不用意に声を掛けない方がいいと思ったんだ。だって、そうだろ?敵か味方か分からないだろ?戦士みたいだってんなら、余計用心が必要だと思うんだけどな。」
「そうよー、レオン。様子を見てからの方がいいわ。それに彼らが進んでる方向に何かあるってことじゃない?何者かわかるまで、こっそりつけてみない?」
 自分も身長が足りるなら口を押さえるつもりだったが、届かない為、思わずレオンの腰あたりに飛びついていたチキがレオンの身体を放しながら、ミルフィーの言う通りだと頷く。
「そ、そう言われりゃそうだな・・すまん、オレとしたことが。」
 冷静さをかけていた、やはりペンダントの事が気にかかってるのか?とレオンは謝りながら自分に問いただしていた。
「でも、あの人たちも道に迷っているとしたら、どうします?」
 レイムのその言葉に思わず全員見つめ合う。勿論、迷っているのかどうなのかが分かるはずはない。
そして、 彼らの視線は、再び戦士らしき人物・・と思えるゴマ粒へと向く。
「あれこれ考えてても始まらないか・・・・。道が分からなくなっちまってるんだから、当たって砕けろ、で行ってみないか?」
「そうですねー。こうしてても仕方ないし。」
「そうだな、敵だとしても2人くらいなんとかなるだろ?な、ミルフィー。」
「ま・・な。」
「どっちにしろ、向こうは馬、こっちは歩きなんだから、追いつけるわけないわよね。結局は後をつけるってことになるのかしら?」
「ははは。ま、そうなるな。向こうがオレ達に気づいて待っててくりゃー話は別だが。」
「敵でないといいですね。なるべくなら戦いたくないですし。」
「こんな炎天下で戦闘などすりゃ、一気に体力なくなって倒れちまうって。」
 それでなくても暑くてたまらない。一応軽い装備にはしてあるが、防具を身につけているミルフィーは、これ以上吹き出さない、というほど全身汗をかいている。
「目的のオアシスでないにしても、一息つける所に行けるといいんですが。」
    
 ともかく彼らはその戦士風の人影を追うことにし、暑さと疲労で重くなった身体を引きずるようにして進み始めた。



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