青空に乾杯♪



☆★ <<第3話>> 熱砂の迷子(2) ★☆


 

 灼熱の砂漠の中、ひたすら戦士のあとを追う。
幸いにも彼らはかなりゆっくりと馬を進めていた。
「まだ着かないのかしら?やっぱり彼らも迷っているとかなんじゃない?」
「どうなんだろうな。だけど、あちこち行かず、何か目的物に向かって直進してるって感じもしないでもないが・・。」
 レオンの言うことももっともだった。常に前方を見て進む彼らは、迷っているとは言い難かった。
「でも、休憩も取らないなんて、すごいわよね。」
「そういうオレ達もだけと?」
「回復魔法かけながら移動してますからね。」
レイムが苦笑いしながら付け加えた。
「でも、彼らはそれもしてないみたいですよ。」
「回復魔法かけてても、やっぱり本当に休むのと違うわ。いいかげんどこかに着かないかしら?」
「ぶきっぶきっ!」
「え?何?」
遠めがねで彼らを追い続けているシャイの叫びに、全員はっとする。
「ぶき、ぶきっ!」
「ええ〜?急に姿がみえなくなったって?」
「何ぃ〜?」
「ち、ちょっと見せてよ!」
 チキはシャイがまだ覗いているのも構わず、ぱっとその手から遠めがねを取り、ちょいちょい、と手で肩車するようにシャイに指図する。
「ぶきっ!」
 せっかく見てたのに、と一応文句も言ったが、他ならぬチキのこと、シャイはすっとチキを肩に乗せ、チキは軽く「ありがと。」と言うとさっそく遠めがねを覗いた。
「ホント、どこにもいないわね〜・・・どこ行っちゃったのかしら?」
「何かその辺に穴とかありそうなとこってないか?砂丘の陰になってるとか?」
「うーーーーーん・・・・これといったそれらしきものは何もないみたいよ?」
「とにかくさっきまでいたところの辺りに急いでみよう。」
 返事も待たず、さっさと歩を進めようとするミルフィーに、レイムが心配気な顔で聞いた。
「ぼくたちが後を付けてるということに気づいたとしたら?」
「で、どこかに隠れて待ち伏せしてる、とでも?」
 声をださず、ミルフィーの言葉に頷くレイム。
がそんなレイムにミルフィーはにやっと笑顔をみせる。
「『虎穴に入らずんば虎児を得ず』・・だったっけ?行かなきゃなにも始まらないさ。待ち伏せしてるってんなら、それはそれで、何か展開があるってことになるからさ、とにかく行ってみようぜ。」
「そ、そうですね。」
「そうそう。何かあってもこれだけのメンバーがいりゃ、なんとかなるさ。今までみたいにな。」
 そうだった、と思ったレイムの顔から不安気な表情はゆっくりと消え、変わりに軽い笑みを見せる。
そして、彼らは再び歩き始めた。


「確かこの辺りよね、姿が消えたのって?」
「ぶきっ!」
「本当に廻りにはなんにもないな〜。どこに消えちまったんだろ?」
 全員辺りを見渡す。が周りは相変わらすどこまでもどこまでも続いているのは、熱砂の丘。
「でもなんかなければ、急に姿が消えるはずないだろ?そうだ、レイム、魔導で転移したとか瞬間的にゲートを開いたとかそんな後のこってないか?」
「そうですね。ぼくもそれに気づいて、さきほどから気配を探っているのですが、魔法の類の形跡はないみたいですよ。」
真剣な表情でレイムが答える。術にしろ、アイテムを使ったにしろ、かすかにその気が残っているもの。使ったのならレイムが気づかないはずはない。
「いったい何があったんでしょう?」
「仕掛けの匂いもしないわよ。」
「ぶきっぶきっ!」
たとえ宝箱ではないにしろ、何かの仕掛けがある場合、先天的な能力で、いつもチキにはぴん!とくるものがあった。が、その辺りにはいくら見渡しても彼女の第六感は囁かない。
「まぼろしってことないはずよねー。」
蜃気楼ならそれも考えられる。が、彼らを追ってもう半日近く歩いている。それに、確かに足跡はある程度だが、残っている。幻とは考えられない。
「だよなー・・・」
 と、突然ミルフィーは砂の中に身体を吸い込まれていく感覚を覚え焦る。
「な・・なんだ?もしかして流砂か?」
「ま、まさか・・これって・・・アリ地獄か?」
砂の中に引き込まれているのはミルフィーだけではなかった。ほぼ同時に全員が引き込まれ始めていた。
「ち、ちょっと、冗談じゃないわよー。彼らも引き込まれちゃったわけ?」
「ぶきぃーーーっ!」
チキだけでも助けようと必死にチキを抱き上げ自分の上に乗せるシャイ。が、そのためシャイの身体はそれまで以上のスピードで砂の中に吸い込まれていった。
「きゃーーー・・・・」
「チキーーー!シャーイ!」
チキとシャイが沈んでいったところを凝視し、2人の名前を叫ぶミルフィー。が、ミルフィーもすでに半分は砂の中。レイムもレオンもほぼ同じ状態。
どうあがいても助かりそうもない。
(くっそーーー!こんなとこで死ぬのか?)
そう思っているうちにも砂は、加速を付けてミルフィーたちを引きずり込んでいった。

 



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