☆★ その126 二世パーティー結成 ★☆
-- ・・・青空キャラの二世たちが結集・・? --


 

 「おお〜〜!巫女姫を落とした色男登場だ・・。」
「や、やめて下さい、レオン・・・・」
「ははっ!まー、それはいいとしてだ・・・久しぶりだな。」
「そうですね。まさかレオンに会えるとは思っていませんでしたよ。」
「そうだな。ちょっとこっち方面に用事があったもんでな。」
「そうなんですか。」
「で、結婚式はいつだ?」
「え?・・・そ、そんな・・・・・」
「お前ももう歳なんだからな、早くもらっちまった方がいいぞ?」
「そうですね。」
「は?」
予想外の返事がレイミアスから返り、レオンは驚く。
「ですから、フィアたちをこちらへ届けてから急いで帰ったんです。祭司長以上は大僧正様の許可が必要ですからね。」
「そうなのか?」
「はい。」
意外と行動が早いんだな、とレオンは思った。
「で、許可は・・・勿論出ただろ?」
「ええ、それで実は困ってしまって・・・」
「何をだ?」
「はい、それが・・・相手が藍の巫女だったフィアだと伝えたら・・・」
「伝えたら?」
「大聖堂の敷地内に巫女様をお迎えするのにふさわしい立派な屋敷を建てるとかおっしゃって・・・・・」
「大僧正様がか?」
「そうなのです。そんな大げさにしてくれなくてもいいのに。・・いくらお断りしても聞いてくださらないんですよ。困ってしまって・・・」
レイミアスはは〜っとため息をつく。
「なんと言っても藍の巫女だからな・・・大僧正様はご存じだし、それに他の神官にしても、実際の力は知らなくても、大聖堂の次の3大聖地の巫女長を務めた女性となると・・・・やっぱり普通じゃ通らないだろ?」
「やはりそうなるでしょうか?」
「まー、そこのところは諦めて、彼らの厚意を受けるんだな。」
「は、はー・・・・ミルフィーにもそう言われました。」
「だろ?」
「で、きちんと迎える用意ができるまで行ってはならないと言われ・・・今日まで延びてしまったんです。」
「なるほど・・・。ということは、もう屋敷も何もかも?」
「・・・そういうことになります。」
「つまりあとは、結婚式だけ?」
「そ、そうですね・・・・」
レイミアスは真っ赤になってうつむいていた。

「だけどさ・・・」
ちょいちょい、とレオンはレイミアスに顔を近づけさせろ、ジェスチャーをする。
「なんですか?」
「話は違うけど・・・面白いな。」
「何がです?」
「何がって・・・ミルとフィーだよ。」
「あ、ああ・・・そ、そうですよね。やっぱりレオンもそう思いました?」
「ああ・・退屈しないっていうか・・・・まるっきりあれは昔のミルフィーとカルロスを見ているようだよな?」
「そうですよね。フィーがあんなになるとは思ってもみませんでしたけど。」
「だよな。どっちかというとミルフィーに似ておとなしかったもんな。」
「ですよね?リーリアに迫られて真っ赤になってましたからね?」
「そうそう。真っ赤な顔してどもっていたはずなのに、ミルに対しては、完璧カルロスしてるんだからな?」
「そうですよねー。結局恋をして潜在能力が開花したってことでしょうか?」
「潜在能力か・・・そりゃいいや・・・お前も言うじゃないか?」
ぎゃはははは!とレオンは大笑いする。

「は〜〜・・・・」
「どうしたんですか?」
大笑いしていたと思ったら、急に大きなため息をついたレオンに、レイミアスは心配になる。
「ああ・・・そのリーリアなんだが・・・・」
「リーリアがどうかしたんですか?」
「ああ・・・・・」
リーリアはミリアとジルとの子供。幼獣から成獣までの成長が早いサラマンダーは、早くも年頃である。
「実は・・・家出してな・・・・」
「え?家出?」
「ああ・・・人間界へ行ったみたいだからオレにも探してほしいってミリアに頼まれてな。それでひょっとしてここへ・・・フィーのところへ来てないかと思ってさ。」
「ああ、なるほど・・・・。でも・・・・どうなんでしょう・・・今のフィーとミルを見たら・・・・。」
「う〜〜ん・・・だけど分からないぞ?おもしろ半分でからかっていたのかもしれないし?」
「そうですね・・・・それも考えられますが。」
「今はいなくても、ここにいれば必ず来るような気もするんだが・・・」
「そうですね・・・・。」

「『そうですね』はいいが・・お前こそ早くフィアの所へ行ってやれよ。寂しがってたぞ?」
「え?そうなんですか?」
「ああ。カルロスも怒ってたしな。」
「え?・・・・」
レイミアスの顔色が青くなる。
「まー、なんだな・・奴の気が変わらないうちにさっさと連れてった方がいいぞ?」
「そ、そうなんですか?」
「そうだ。だから、ほれ、早く!」
目配せして早く行け、というレオンにレイミアスは頭をかく。
「あ、今ですね、イシルと奥神殿へ行ってるそうなんですよ。」
「なんだ・・・そうなのか?」
「はい。」
どうりでお目当てのフィアより先にオレのところへ来たわけだ、とレオンはレイミアスに意地悪そうに言ってから笑った。

そして・・・・

「レイム!」
「フィア。」
部屋に勢い良く駆け込んできたフィアを、レイミアスはしっかりと抱き留める。
「すみません、遅くなってしまって。大僧正様に足止めされていたものですから。」
「え?足止め?」
「はい。」
「なぜ?」
大僧正が反対でもしているのか、とフィアの表情が暗くなる。
「あ・・そうじゃないんです、フィア。」
慌ててレイミアスは付け加える。
「あなたを迎える準備ができるまで・・・行ってはならないと言われて。」
「え?」
「来てくれるでしょう、フィア?私のところへ。シャンポワールの屋敷へ。」
「レイム・・・・・」
(なんだなんだ・・・奥手のレイムも結構やるじゃないか。ギャラリーいても平気だとは・・・これもカルロスの影響か?あ・・いや、フィアしか目に入ってないか・・・。)
レオンはそっと部屋を後にした。
「レイム・・・本当に本当なのね?」
「勿論ですよ。言ったでしょう?大僧正様から許可をいただいたらすぐ帰って来る、あなたを迎えに来ると。・・・予定より遅くはなってしまいましたが。」
「レイム!」

そして、それから1ヶ月後、神殿でレイミアスとフィアの結婚式が執り行われた。
「フィア・・・」
「はい、お父様。」
「いつでも帰って来ていいぞ。」
「はい。」
幸せに満ちた微笑みを残し、フィアはレイミアスと共に馬車で里を去っていった。


そして、その翌日、娘を嫁がせた父親の心情に心底浸かっていたカルロスの耳に、悲鳴が飛び込んだ。
「きゃああっ!」
「な、なんだっ?!」
慌てて声のした方へと駆けつける。
駆けつけたところは神殿の中庭。そこには2mほどのサラマンダーとミルがにらみ合っていた。
「ミル!」
彼女を庇うようにカルロスはサラマンダーとの間に剣を抜いて立つ。
「おじさま!」

「どうした、ミル?」
カルロスよりほんの1歩遅くその場に駆けつけたフィーは、サラマンダーを見ると同時に叫んだ。
「リ、リーリア?」
「は?」
シュオンと一瞬にして小さくなり、少女の姿になったサラマンダーを、ミルは驚いて見つめる。
「なんだ・・リーリアだったのか・・・。」
「んもう!おじさまったら、分かって下さってもいいのに?!」
「え?」
サラマンダーと知り合い?とミルは驚いてカルロスを見る。
「フィー!・・・会いたかったわっ!」
「え?」
たたっとフィーの元へ駆け寄り、その首に巻き付いたリーリアに、ミルは驚いて目を丸くする。
「ち、ちょっと、リーリア・・・ま、待ってくれよ・・・・」
その手を解こうと焦るフィー。
「なぜ?・・・フィアが・・いつも一緒だった双子のフィアがお嫁に行ってしまって寂しいと思って・・・あたし飛んできたのよ。あたし・・・・」
「い、いや・・・ぼくにはミルがいるし・・・」
「え?・・・・ミルってさっきおじさまがそう呼んでた・・・・」
ふいっと力の抜けたその手を自分の首から外すフィーと、ミルをじっと見つめるリーリア。
「な、なんだよ?」
「おば様そっくりね、あなた?」
「それが?」
二人は火花が散りそうな勢いで鋭く見つめ合っていた。
「どうかしたの?」
「どうしたんだ?」
その場面にミルフィーとレオンが駆けつける。
「リーリア!」
「あ・・・レオン・パパ!」
「今までどこにいたんだ?ミリアがどれだけ心配してることか!」
つかつかとリーリアに歩み寄り、ぐっと腕を掴む。
「だって・・・退屈なんだもん・・・冒険でもしようかな?って・・・。」
「ったく・・・・・・その気持ちは分かるが、黙って出てきちゃだめだろ?」
「う・・うん・・・」
レオンの勢いに、リーリアは素直に謝る。
「で、それは私が悪かったわ。でも、何よ、この子?私、こんな子知らないわよ?なんでフィーの傍にいるの?フィアの代わりってどういうこと?」
一瞬はしゅんとしたものの、ミルの事を思い出し、リーリアはきつい視線をレオンに投げかける。
「あ・・・・」
いきなりそう来たか・・とレオンは焦る。
「ごめん、リーリア。」
どう答えようかレオンが困っていると、フィーが口を開いた。
「ミルはぼくの恋人で・・」
「ちょっと待てよ!いつオレがあんたの恋人になったんだ?」
フィーの言葉を遮ってミルは叫ぶ。
「だけど・・・」
「勝手に決めるなよっ!それに・・・からかうのもいい加減にしろよな?!」
「からかうって?」
「そうだろ?こいつがいるのに散々つきまといやがって・・・・」
フィーをきっと睨んだまま、ミルは指でリーリアを指す。
「あ・・違うんだよ、ミル!」
「うるさいっ!そんなに男女が珍しかったのかよっ?!」
パン!と勢い良くフィーの差し出した手を払い神殿の中へ駆け込もうとするミルを、ぐいっともう片方の手でフィーは掴む。
「ぼくがいつそんなこと言った?君だから好きなんだ。君以外の女の子をぼくが恋人にするわけないだろ?」
「ち、ちょっと・・・」
手を離させようと必死でミルは手を引っ張るのだが、フィーの手はぐっと握って離さない。
「君が逃げないって言うんなら離すけど。」
「わ、わかったよ。」
にこっと笑ってフィーはそっと彼女の手を離す。
「あ・・ごめん、跡ができちゃったみたいだ。」
「あ、ああ・・・・」
フィーが握ったところが赤くなっていた。
「ごめん・・・離したら誤解されたままになると思ったから・・・君を失ってしまうと思って・・思いっきり握りしめてたから・・・」
「い、いいよ・・・オレも感情的になってた。」
赤くなったその部分をそっと包み込んでいたフィーの手から、ミルは顔を赤くしながら自分の手を引き抜く。
「フィーってば・・・成長したのね?」
「は?」
「え?」
リーリアの言葉に、2人も、そしてそこにいた全員が彼女を見る。
「それでこそおじさまの息子よ♪」
「は?」
「それに、家庭に入ってしまうような彼女だったらどうしようと思ってたけど・・彼女も冒険家向きに結構気が強そうだし。」
「な、なんだよ?」
嬉しそうにフィーに微笑んでリーリアは付け加える。
「守るべき恋人ができると一段と強くなるから。・・・・これで聖魔の塔だろうが、なんだろうが、許可が出るでしょ?」
「許可?」
「だって、あたし、冒険したいのよ、でも、ママもパパも心配性で・・・フィーがもっと強くなったらきっとそうするだろうから、そうなったら、いいって・・フィーと一緒ならいいって言われてるのよ。」
「は?」
「冒険、いくの〜ぉ?」
「あ・・ええ、そうよ。」
いつの間に来たのか、リーリアの横に来ていたカノンが、つんつんと彼女の服の裾をひっぱった。
「カノンも行くの〜。カノンのパパとママもフィーとなら行っていいって言ったの〜〜〜。」
「え?」
身長1m足らずのカノンは、チキとシャイの息子。フィアの結婚式に出席する両親についてきていた。

「な、なんだ・・・なんでこうなるんだよ?」
なにやらにぎやかな冒険になりそうだ、と一人気ままな冒険が好きだったミルは、ため息をついていた。


【前ページへ】 【青空に乾杯♪】Indexへ 【次ページへ】