☆★ リュシェロドラ冒険記(6) ★☆
* 青空に乾杯♪・もう一つの#56 ミルフィー兄のお話ですf^_^;*
-- 天然旋風 --


 

ミルフィーとミルフィア剣士バージョン
兄の真似をしてみた?ミルフィア/^^;
(お絵描き掲示板で描いたものです。)

  

 「え?ミルフィア?」
ミリアの炎に包まれレイミアスの元へ転移した3人。その中にをミルフィアを発見して、レイミアスは思わず声をあげる。
「よろしくお願いします。」
ぺこりとお辞儀をしたミルフィアに驚きながら、レイミアスはミルフィーとレオンを見つめる。
「悪い・・そういうわけなんだ、よろしく頼む。」
「ぼくはいいですけど・・・・。」
果たしてミルフィアが人知未踏の地の冒険に順応するだろうか、例外なくレイミアスもそれが心配だった。

「こ、これ・・・・もしかしたら蛇のモンスターのなの?」
ミルフィーたちがその中へ入って一晩過ごしたドクロ。それを見てミルフィアは感嘆の声をあげる。
「大きいのねー・・・それにすごい牙・・・・」
「フィア・・・」
ため息をつきつつ、ミルフィーはミルフィアの傍に寄る。
「いいかい、フィア?一緒に来るって事はこういう魔物と戦わなくてはならないんだよ。フィアは・・」
「大丈夫よ♪」
にこっと笑い、ミルフィアはミルフィーの言葉を遮って答える。
「この身体はフィーに鍛えてもらったし、剣だって使えるのよ?おばーさんところでフィーになるきるように訓練だって。・・あの時は恐くて魔物と戦えなかったけど・・でも、それだってきっと大丈夫よ!だってフィーがいるんですもの。」
「は〜っ・・・・・」
大きくため息をつきならが、ミルフィーは両手を広げてレオンとレイミアスに苦笑いを送る。
「ま、いいんじゃないか?一人じゃないんだ。ミルフィーもオレもレイムもそれからミリアもいる!」
「そうよね?」
レオンの言葉に、ミルフィアは嬉しそうに横にいるミリアを見つめた。
「ふふっ・・・大丈夫よ。あたしがミルフィアを危険な目にはあわせないから。」
すっかり意気投合したミルフィアとミリア。それがなければミルフィーは断固として連れてこなかったかも知れない。連れていかなければ転移しないとミリアに言われればどうしようもないのである。


ともかく彼らは大陸の内部へ足を向け、探索を開始することにした。


「家だっ!」
なだらかな平地が続いていたそこで、大木に囲まれるようにして立っていた1軒の家。それを見つけ一同は心臓を踊らせる。
いよいよ龍人と会える?その思いは全員に緊張を促す。
果たしてこのまま近づいて大丈夫なのかどうか・・・そう思いながらも足は自然とその家に向かっていた。迷っていても始まらないことも確かである。が当たって砕けろというわけにもいかない。

「意外と小さいんだな。」
遠くから見たから小さく見えたのだ、と思ったその家は、近くまで来ても小さかった。
「ああ、そうだよな?龍人というかぎりは、巨人を想像してたんだが。」
「そこまでいかなくても、そうですね、ぼくたち人間よりは大きいとは思ってましたよね?」
それぞれ思い思いの事を口にして、静まり返っているその家をじっと見つめていた。

−コンコン!−
「こんにちは!どなたかいらっしゃいますか?」
「お、おいっ!フィアっ!」
どうしようか迷っているミルフィーたちを無視し、ミルフィアが戸口を叩いて声をかける。当然驚いたように駆け寄り小声でなにするんだ、とミルフィアを咎めるミルフィー。
「あら、だってお会いしてみないことには敵とも味方とも分からないんですもの。」
「お・・・・・」
にこっと笑ったミルフィアに、ミルフィーはあまりにも現状を度外視した言葉にずっこける。
「もし敵だとしても、フィーがいるんですもの。大丈夫でしょ?」
「そ、それは・・・そうだけど・・・・・」
腕には自信はあったが、それは確約できない事でもあった。が、ミルフィアに笑顔で言われては、ミルフィーはそう言うしかなかった。
「こんにちは♪」
ミルフィーがずっこけている間に、ミルフィアは今一度声をかけるとドアを開けてしまう。
「フィア!」
「大丈夫よ♪」
ふふっと笑ってミルフィアは、戸口から中を覗きこむ。
「どなたかいらっしゃいませんか?龍人さん?」
ミルフィーは生きている心地がしなかった。
が、どうやら中にも人の気配はなく、留守のようだった。
−ポン!−
戸口によりかかって脱力しているミルフィーの肩をレオンが叩く。
大変だな兄貴も、と言っているようなレオンの笑みに、ミルフィーは苦笑いを返す。
「フィー!来て!フィー!」
「フィア?」
不意にミルフィアの呼び声がし、ミルフィーは、そして彼についてレオンたちは中へと駆け込む。心臓が止まりそうなほどな思いをかかえて。
が・・・・・・
「ね♪ここって小人さんの家だったのかしら?」
「は?」
キッチンらしいその部屋でミルフィアは両手を合わせ目を輝かせながら家具を見ていた。
「それとも龍人さんって私たちより小さいのかしら?」
そこにあったテーブルとイスは、確かに小さかった。一番大きいイスでも、ミリアでさえきついくらいである。
「そ、そうなんだろうか?」
「さあ、どうなんだろうな?」
「でも、このサイズですと、そうとしか・・・・」
ミルフィーたちは顔を見合わせる。


−パタン−
「あれ?誰かおるんじゃろか?」
入り口付近で声がし、ミルフィーたちはぎくっとして振り返る。
「ほよ?」
キッチンの戸口に姿を現した声の持ち主は、彼らを見て硬直する。
「ほ・・・・?・・・に、人間だ〜〜〜!!!」
真っ青に青ざめたと次の瞬間、隣の部屋にダダッと駆け込み勢いよっくドアを閉める。
−バタン!−
「・・・・龍人じゃなかったよな?」
「ああ・・・あれは・・・・ホビット族?」
「そ、そうだよな?尖った耳と団子鼻にまん丸の目。ずんぐりむっくりの幼児体型のおやじ顔・・・。」
「かわいい♪」
「へ?」
顔を見合わせて、今目にしたこの家の持ち主の分析をしていたミルフィー、レオンとレイミアスの3人は、またしてもミルフィアの行動に呆気にとられる。
ぱん!と軽く手を叩き、ミルフィアはにこっと笑ってからその部屋のドアへ近づいていく。
そして、軽くノックをすると中の小人に話しかける。
「ごめんなさい。勝手に入って。でも、私たち怪しいものじゃないわ。私たちね、あなたのお友達になりたいの。ね?何もしないから出てきてくださらない?お話ししましょう。そうすれば誤解も解けるわ。」
シーーーン・・・・・
が、警戒しているのか中から返事はない。
「小人さん?」
ミルフィアは少し考えてからまた話しかける。
「じゃー、私を中に入れてくださらない?1対1ならいいでしょ?」
「お、おい!フィア?!」
慌ててミルフィーが彼女に駆け寄る。
「だって、こっちはこんなに大勢なんですもの。小人さんが怖がるのも当たり前だと思うの。だから・・」
「だからって、フィア!フィアが一人でだなんて・・・。」
「だって、そうでもしないと分かってもらえないわ?」
「フィア!」
−カチャ−
「小人さん♪」
2人が言い合っていたその時、ドアがそっと開き、不安そうな顔がみえる。
「脅かしてごめんなさいね、小人さん♪でも、私たち敵じゃないのよ、分かって?」
小人の身長にあわせ、腰を落としてにっこりと笑ったミルフィアに、小人はまだ幾分不安そうな表情ながらもにこっと笑う。
「良かった♪分かってくれたのね?」


そして、キッチンの横の居間のテーブルを囲み、ミルフィーたちはその1m足らずの身長のホビットと話す。もっともなんとかその先に腰掛けたミルフィアとミリア以外は、イスに座るのは無理だったが。

「兄妹かね?」
「ええ、そうよ。」
「ああ。」
「そうか、そうか。わしにも妹がおるんぢゃよ。かわいくてのぉ〜〜。」
ミルフィアのその天然気味な?真っ直ぐな行動が功を奏した事も確かだが、ミルフィーとのやりとりに共感を持ったことが警戒心を解く気になった理由らしかった。

「あの〜、ここは龍人の地なんですか?」
「ほ?・・・・なんじゃ、あんた方・・ということは、単に嵐か何かでここに漂着したというわけじゃないんぢゃの?」
「じゃ、やっぱり龍人の地なんですか?」
まるでおままごとをしている気分だった。小さなカップに一口か二口ほどの紅茶。そして小さなお皿にのせてくれたパイ。
一応ティータイムをしながら彼らは話していた。


そのホビット、ジッポの情報によると、ここは確かに龍人が支配する地であった。龍人以外に彼らホビット族が住み、そしてごく稀にだが、偶然この地へ漂着した人間をみかけることもある、と彼から聞く。もっとも龍族のほとんどは人間嫌いらしく、それまでに見かけた人間が生きているかどうかは分からないということだった。

「というと・・・オレたちは敵視されるってことか?」
「いや・・全部が全部そうぢゃないが・・・・」
龍人を人間嫌いに、そしてホビット族が人間に恐れを抱くようになったのは、漂着した人間の行動が原因だった。龍とみると勝手に魔物と判断して攻撃した人間は、凶暴な敵だと判断されたのである。そして、ホビットからは、食料などを強奪していく盗賊。
「中にはそうでない者もおったからの。そうぢゃ、そうぢゃ。そう言えば一人は確実に生きておったわ。」
「え?ホントですか?」
「ああ・・・珍しく悪さをしない人間でな・・。」
「珍しく・・・・」
人ごとながらミルフィー達の心は痛んだ。それほど人間はここで悪事を働いたのか、と。
「悪さをしないばかりか・・・その人物はここでは弱い立場のわしらの味方なんぢゃ。」
「味方?」
「そうぢゃ。わしらは龍人の下働きに使われるか・・あとは、龍人相手の店などで暮らしをたてているんぢゃ。」
「店?」
「そうぢゃ。武器屋とか魔法屋とかの。もっとも地方によっては奴隷扱いのところもある。」
「奴隷・・・・」
「わしらには医師もいない。龍人にはきちんと医師もおるんぢゃが、わしらなど診てくれない。病気のときなど薬草でなんとかするといっても、戦などで負った怪我の中には薬草だけでは治らない酷いものもある。病気ぢゃとて軽いものならいいが重いものとなるとのぉ〜。」
「ひょっとしてその人間が診てくれるのか?」
「ああ、そうぢゃよ。」
にこっとミルフィーに笑うい、ジッポは続けた。
「まー、わしらは身体が丈夫なことが自慢ぢゃでの、滅多に病気はせんが。」
はっはっは!と笑ってジッポは胸をはる。
「で、その人間はどこに?」
「癒しの社(やしろ)というものが大陸のそれぞれの地にあっての。」
「癒しの社?」
「そうぢゃ。平地、砂漠、湖水地帯、氷土、この地はその4つからなっているんぢゃが、それぞれ1つずつにあるんぢゃ。」
「1つずつ?それは、その社に1人ずつ人間がいるってことなのか?」
「そう思うのが普通ぢゃが、旅人の話を合わせるとその人物の人相があまりにも似通っているんぢゃ。その社の傍には転移の魔法陣があることだし、1人、とは断言もできないんぢゃ。同じ人間が回っておるんじゃないかという噂もあることは確かなんぢゃ。」
「転移の魔法陣・・・」
「そうぢゃ。で、わしらは人間を見つけるとそこへ駆け込むんぢゃ。同じ人間同士、どうにかしてくれるぢゃろ?」
「ああ。」
「わしらは・・その人間に会うまで、人間とはどう猛で残酷な悪魔のような者としか思っておらなんだ。」
「・・・・・・」
「わしも妹の病を診てもらったとき以来会ってはおらんのぢゃが・・・確か名前は・・そうぢゃ・・レイムとか言っておった・・・優しい、ほんに優しい微笑みを持った人間ぢゃった。」
「レイム?」
ガタッ!とミルフィーとミルフィアが同時に立ち上がる。
「レイムって・・・顔は?」
「ほよ?」
顔を突きだすようにして同時に叫ぶ2人にジッポは驚く。
「あ、ご、ごめんなさい・・つい・・」
「ごめん、つい・・・」
「あ・・いやいや・・・」
2人のあまりにも真剣な表情に、ジッポは知り合いか何か、しかも事情がありそうだと判断する。


ミルフィーの身体を取り戻すため一人聖魔の塔へ向かい、悪霊に殺されたはずのあのレイムなのか?
ミルフィーとミルフィアの心にレイムの笑顔が鮮明に浮かんでいた。柔らかい金髪。やさしげな緑の瞳。自分たち以外の只一人気を許し頼っていた兄のような存在。自分のことよりミルフィーとミルフィアの事をいつも気にかけ心配していたやさしい魔導師。

「レイム・・・・」
ジッポから聞いた人相はまさしくそのレイムだった。
まるで祈るように手を胸の上で組み、目を閉じてその想いを彼に馳せているであろうミルフィアを見つめ、ミルフィーは考え込んでいた。

偶然似通った人物なのか、それとも本物なのか・・・では、そうだとしたら、レイムの生まれ変わりのはずのカルロスは?



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