☆★ リュシェロドラ冒険記(3ー2) ★☆
* 青空に乾杯♪・もう一つの#53 ミルフィー兄のお話ですf^_^;*
-- いざ、未知なる土地へ! --


 

 「あん!みずくさいんだから〜〜〜!!」
「?」
少女のような声に、3人は驚いて海岸とは真反対の方向を見る。そこにはなんともかわいらしい少女が微笑んでいた。
「久しぶり、レオン・パパ♪」
「へ?・・・レオン・パパって・・・・も、もしかして、、もしかしてチビ?」
「え?分かるの、レオン・パパ?」
「勿論、分からないはずないだろ?」
その少女がレオンが育てた火龍だということ。それは、ミルフィーから夢の話を聞いていたからそう思ったのだが、それは内緒にしておくことにした。
「さすがあたしのパパだわっ!」
少女は嬉しそうにレオンの首に巻き付く。
「で・・・名前をつけろって?」
「よく分かるのね、パパッ?!」
目を丸くして驚く少女に、レオンは得意げに答える。
「そりゃーな、一応育ての親なんだし・・・。」
「そお?・・・じゃーね、いい名前ある?」
「まー、一応あるにはあるが・・・・名前を決めたら帰ってしまうんだろ?」
「うーーん、そのつもりだったけど。でも、さっきからの話だと龍族の国へ行くんでしょ?あたし、話に聞いた龍族の国へ行ってみたいの。だから、しばらくはこっちにいるわ。」
「そうか・・・。」
その言葉に、レオンははっとする。
「龍・・・なんだよな・・・・もしかして、・・・龍族同士、関係あるとか?何か知ってるとか?」
「ううん。残念ながら、あたしたちサラマンダーと彼らは全く違うの。あたしたちは・・そうね、魔獣とか魔人とか魔神とか言われてる種族っていうのかしら?でも、彼らは、龍というより、人間?・・・・龍の血を引いてはいるんだけど、・・うーーん、なんて言ったらいいのかしら?・・・そうね、ちょうど神が地上にその子供である人間を降ろしたように、龍神がその子供である龍人を地上に降ろしたって言ったらいいのかしら?」
「う〜〜ん・・・・ますます分からんが・・・・」
ぽりぽりと頭をかいてレオンは思案する。ミルフィーもレイミアスも、やはり分かったようで分からない。
「えっと、まー、とにかくあたしたちサラマンダーとは全く無関係だけど、でも、龍であるということで、あたし、興味があるの。」
「で?」
「だから、あたしも行ってみたいのよ。龍人に会ってみたいの。」
「しかしだな・・・安全は保障できないんだぞ?」
「あら・・・レオン・パパ、あたしが誰か忘れてない?」
「忘れてないって・・・忘れるわけないだろ?サラマンダーのチビだ。」
「じゃ、そのサラマンダーがどういうものかは?」
そこまで言われてレオンははっとした。そう、火龍なのである。どんなものも燃やし溶かしてしまうという究極の業火を吐き、そして、その身体全体がその炎ともなる、神龍とも魔獣とも世間では呼ばれているサラマンダーなのである。
「あ、そ、そうだな・・・そうだったんだよな?」
「火のあるところ、あたしの命は留まるわ。」
にこっと得意そうに笑う火龍の少女を、レオンは頼もしそうに見つめた。
「でも、ここへ来るにはレオン・パパの気を辿ってきたからいいんだけど、知らないところへは行けないのよね。」
「とと・・・・」
思わずずっこけるレオン。
「レオン・パパがそこにある炎と周囲の様子をイメージしてくれれば、転移できるんだけど。」
「と言ってもだな、帰るってんならそうもできるが、オレだって行ったこともないところの炎や周囲の状況なんてイメージできるわけないだろ?」
「そうよね・・・・そうだっ!」
「なんだ?」
「短時間なら飛龍に変化していられるわ。」
「飛龍?」
「そう。まだ力がないから、短時間しか保っていられないし、一度変身しちゃうと当分変身できないけど。」
「そうなのか?」
「そう。完全に大人になればそんなこともないんだけど。」
「人型は?」
「ああ、このカッコウ?」
火龍の少女はスカートの裾をつまんで微笑む。
「これは今のあたしの力相応の変身だから、何度でもいつまででも大丈夫。」
「なるほど。」
「で、あたしの名前は?」
「う〜〜ん・・・そうだな・・・・」
考え込む態度をとりながら、レオンはちらっとミルフィーを見る。
「ミルフィーとレイムのことは、塔でしばらく探検してたときに召喚したことがあるから、知ってるよな?」
「あ、うん。」
火龍の少女は、ミルフィーとレイミアスににっこりと笑う。
「でも・・・」
「でも?」
「ミルフィーって・・・あの頃と違ってるような・・・?」
「あ、ああ・・・まーな。分かるのか?」
「うん。分かるわよ。だって・・・」
火龍の少女は、レオンの耳元に口を寄せると、ぼしょぼしょと小声で話す。
「レオン・パパの次に、あたし、あの人気に入ってるの。」
「ほ〜・・・・・」
「な、なんだよ、レオン?」
わざとらしく目を丸くしてミルフィーを見たレオンに、ミルフィーは心配になって聞く。
「やっぱりな。」
レオンはちらっとミルフィーに視線を投げたのみで無視し、火龍の少女に軽い笑みをみせた。
「じゃーさ、こんな名前どうだ?」
そして、今度は少女の耳元でレオンが囁く。
「ミリアってのは?」
「いいわね?!ミルフィーのミルでいいかなって思ってたんだけど、その方が女の子の名前らしいわよね?」
「だろ?」
「うん!決まり!」


そして、無事名前も決まった火龍の少女、ミリアは飛龍に変身し、彼らをその背に乗せて海岸を飛び立った。

「どのくらいもつんだ?」
「さー・・・わからないわ。練習に変身しただけで、すぐ解いちゃったから。」
「へ?」
「大丈夫!意地でも陸地に着陸するから。」
ミリアの言葉に不安を覚えたレオンたちだが、すでに空の上ではどうすることもできなかった。
「四方をよく見ててくれる?それらしき陸地があったら着陸するわ。」
「分かった・・。」
3人は方向を分担して、眼下の海を見つめていた。


そして・・・・
「ねー、まだどこにも見えない?」
「そうだな・・・どこにも島影らしいものはまだ・・・・」
飛龍姿が限界になってきていた。が、島影らしきものはない。どこまで行っても大海原が広がっていた。
「船か何かは?」
「無理だ・・・この辺りは波が荒くて・・・航路はないし、近寄ろうとする船もないはずだ。」
「そんなところなの〜?」
「だから、オレたちもどうしようか悩んでいたんじゃないか。」
「あ〜〜ん・・・・・あたし、もうだめ〜〜・・・・」
「お、おい、チビ・・じゃない、ミリア!もう少し・・、なっ!もう少し頑張ってくれ!」
慌ててレオンは特大の火球を作ると彼女の口元へとそれを飛ばす。
「・・・もう2、3個ちょうだい、レオン・パパ。」
その火球をばくっと一口で飲み込むと、彼女は苦しさを堪えてレオンにねだる。ここで力尽きては全員終わりだと彼女も承知していた。
「悪いな、ミリア・・。」
ボン!ボボン!とレオンは思いっきり特大な火球を続けざまに出して口元へと飛ばす。

そして、尚も飛行を続けていると、ゆっくりと霧が彼らを包み始めた。
「やばいぞ・・・海面が見えなくなってしまう。」
疲れがすでにピークをすぎているミリア。レオンだけでなくミルフィーもレイミアスも焦りを感じていた。
低空飛行し、必死になって何か影らしきものはないか、と捜す。島影か、この際漂流船でもなんでもよかった。とにかく足がつくところなら。が、期待むなしく視界には何も入らず、そして、霧はますます深くなっていく。

「あ!あれは?」
不意に霧が晴れた。周囲を見渡すと、ちょうどその晴れたエリアをぐるっと取り囲むようにして霧が立ちこめていた。
「なんとなく・・・確信に触れてきたような感じだな。」
思わずレオンは呟く。ここが人知未踏の地、龍族が住む大陸がある場所ではないかと思った。

「ミルフィー、あれは?」
そして、しばらくして海面上の遙か向こうに黒い影があるのを見つけたレイミアスが叫ぶ。
「何かあったのか?」
その叫びで、全員レイミアスの指さした方角を見つめる。
「島・・か?」
再び霧が出始めていた。その霧中、遠くに見えたその黒い点に向かってミリアは、力を振り絞って飛ぶ。
「やったっ!陸地だっ!」
眼下には確かに陸地が見えてきていた。島というより大陸の一部のような感じだった。数キロ奥は霧に包まれ、全景をみることは不可能な為、大きさは分からない。
「ミリア!あと少しだっ!がんばれっ!」
必死の思いの頑張りで飛び続けていたミリアだったが、すでに限界だった。
−ヒューーーーーー・・・・・・・・−
どう頑張ってももはや陸地までは無理だった。が、その数キロ手前の海へ、ミリアはそれでも必死の思いでなだらかなカーブを描くように下降していった。
「よしっ!今だっ!」
海面から数メートルのところで、バボン!とレオンが陸地に向かって火球を放つ。そして、それと同時にミリアが飛龍の姿を元の身体に戻す。そして、瞬時に3人をその全身で包み込むと、たった今、島へと放った炎をイメージするレオンと気を同調させる。
−ふっ!−
危機一髪、荒海へ突っ込む直前、陸地へと放った火球の元へと彼らは転移した。


「や、やった〜!・・・・・偉いぞ、ミリア!」
「・・クキュ・・・・」
火球の元へ転移すると同時に、レオンたちを自分の炎から離したミリアは疲労で小さく縮んでいた。
そしてすうっと目を閉じ、眠りに入った彼女をそっと見守るようにレイミアスが回復魔法をかける。
「これで大丈夫のはずです。」
「ああ、だけど・・・目を開けないとみると、眠りが必要みたいだな。」
「そうですね。」
「オレたちも少し休もうか?」
「そうだな。」
その陸地が果たして龍人の地かどうかはわからなかった。が、ともかく海岸から少し入った木陰でミルフィーたちは休むことにした。

「安心しきって眠ってるんだな。かわいいな。」
レオンの腕の中で丸くなって寝ている火龍のミリアを、ミルフィーもレイミアスも、そして勿論、レオンも暖かく見つめていた。精一杯やってくれた事に感謝しながら。


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