● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
  

  吏琥(りく)
蘭(らん)/絵里(えり)/阿修雄(あしゅお)/ひいる
留夫(るお)/椎(しい)/輪津(わつ)

 

● その12・輪津、大活躍 

 「ゴーゴー、輪っ津!」
「わん!わん!わん!」
再びアーケディア城の2階。盲目となった絵里を乗せ、輪津は猛張り切り。
襲いかかっている敵を倒し・・・もとい!、その攻撃を上手くかわし、後続の阿修雄たちにまかせ、どんどん進む輪津。
「ちょっと待てよ、輪津ぅ〜〜・・・自分だけ進むなんてずるいぞぉ?」
「そうよぉ!迷子になったらどうすんのよぉ?自分じゃ敵を倒せないくせにぃ〜。」
行き止まりとなっていたその部屋で、絵里以外の全員から輪津はブーイングを受けていた。
「ごめんなさい、みんな。輪津は私が危なくないようにって思ってやってくれてるだけで、悪気はないのよ。」
「まーねー・・・気の弱い輪津が絵里ちゃんを乗せて頑張ってるのは認めるけどさ・・・。」
「まー、そうですね、下手に向かっていって怪我をするよりいいんじゃないですか?ぼくたちの方が確実に敵を倒せられるわけですし?・・・目が見えないのに魔法を使われて、こちらに被害がでてもいけないですしね?」
「ちょっと!そこまで言わなくてもいいでしょ、留夫!」
「ぼくは冷静に分析した結果を言っただけですよ?」
「まー、まー、ここで言い合ってても始まらないんだし、輪津に頼むことは、先にどんどん走って行ってしまわないことだね。絵里ちゃんを守ろうとしているのはよくわかるから、安全地帯で待っててくれるようにしてくれれば。」
ひいると留夫の間の空気を読みとって、吏琥が間に入ってなだめる。
「ごめんなさい。ほら、輪津も謝って。」
「くぅん・・・・」


が、その輪津が大活躍したということは事実だった。
絵里を乗せて逃げ回りながらも、確実に重要箇所をかぎ分けて案内してくれたのである。床が回り方向が分からなくなる仕掛けも、輪津の第六感で正確に進むべき道を進むことができた。そして、蜘蛛の住処では、尻込みする椎までその背中に乗せ、突き進んでくれた。
その奥でやはりトリニトラから呪いをかけられ蜘蛛となってしまった三つ目族の魔族を倒し、阿修雄はその血を一口口にすることで、呪いを解くことができた。
もっとも、赤黒い血は、気持ち悪かったが、背に腹は代えられない。目を閉じて阿修雄は我慢してそれを舐めた。

そして、トリニトラが宝として大切にしている月闇のベールを手にして、彼らはトリニトラのいるところへと向かった。
見知らぬ老人から、彼女を倒すにはそれが必要だと聞き、輪津がいたおかげで、他の者では近寄ることさえできなかった結界の中で守られていたそれを手に入れることができたのである。


「こんにちは、おば・・じゃなかった、おねーさん。」
「ん?」
3階への階段に続く通路が奥にあるその小部屋で、上に行く侵入者を見張っていたトリニトラは、意外にもそこまで来たことに驚く。
「ふふん・・どうやら他の者の血で呪いを解いたようだね?」
睨み付けても阿修雄が頭痛に苦しまなかったことで、トリニトラはそれを悟る。
「だが、それもここまでだよ。何人たりともここから上へは行かせないからね。」
ばさ〜っと羽織っていたマントを勢い良く脱ぎ、彼らの前に立ちはだかるトリニトラ。
「いいかい?あたしはセラクやタルシスのようなわけにはいかないからね?」
「ふ〜〜ん・・・いいの、これ、破っちゃうわよ?」
「なに?」
ひいるの手にあるベールを見てトリニトラがわなわなと震え始める。
「なぜそれを知っているのだ?・・・アリエルか?あいつが話したのか?」
「それから、これは、蜘蛛のおじさんが教えてくれたアイテムだよ?」
「むっ?!」
銀製の三つ又の弓で吏琥はトリニトラに狙いを付ける。
「通してくれるならベールも返してあげる。銀の矢で打つこともしないわ。」
輪津に乗った絵里が前に進み出て、静かに言う。
「こしゃくな!お前達ガキに頭を下げろと言うのか?ここからは誰も通すなとのヤール様のご命令。・・このトリニトラ、例えなにがあろうと、その命は守る。そして、ヤール様からいただいたそれは・・必ず返してもらう。いいか?後悔するがいい、この私をここまで怒らせたことをな。」
「いいの?ホントに破っちゃうわよ?」
「あ、いや・・そ、それは・・・」
「ほ〜〜ら、ほら、こっちよ。こっち♪欲しかったらとってごらんなさい。」
「お、お前たち・・私を愚弄するか?」
「ほらほら、真っ赤になって突っ立ってたままじゃ、ベールは取り戻せないわよ〜。」
「ば・・・ばかにしてくれて!!」
「返して欲しかったら、捕まえてみろよ〜!」
「くっ・・ひ、人が大人しくしていれば図にのって・・こ、このガキどもがっ!」
「わんわんわん!」
そして、賑やかに鬼ごっこが始まった。

まぁじょさんが描いてくださいました。
ありがとうございました。m(__)m


「阿修雄!」
「オッケー!」
「吏琥、いくぞ!」
「おう!」
「ひいる!パスパス!こっちだよ!」
子供の足と、大人の足。そのスピードの差で追いつかれそうにはなる。が、そこは数で勝負。
後少しで捕まえられるという直前に、次の仲間の手に、それは上手にパスされていく。
「おどき!邪魔よ!」
進行の妨害となる本来味方であるはずの蜘蛛のモンスターなどを蹴散らし、必死の形相でトリニトラはベールを追う。

そして、疲れ切り隙だらけになったその時を見計らって留夫が三つ又の銀の矢を射った。額の目をめがけて。
−バシュ!−
「ぎゃあっ!」
第三の目を射抜かれ、トリニトラは、苦しみもだえたあと、そこの場に崩れた。
「留夫!」
「留夫、なんてことすんのよ?!」
「そうだよ、留夫!なにも殺すことなかっただろ?疲れきって、もう攻撃なんかしてこないようになったら、話して、絵里の目も治してもらって、階段も通してもうらおうとおもってたのに。」
が、自分以外全員から避難されようとも、留夫は自分の信念を変えなかった。
「倒す事以外、この奥に進む方法はありませんでしたよ。いいですか?この人にとってヤール王の命令は絶対なのです。これしか方法はないのです。あの三つ目の蜘蛛も言っていたでしょう?唯一トリニトラを倒すことができるこの武器の事を教える変わりに、倒してほしいと。共に地獄に旅立ちたいからって。」
「でも・・留夫っ!」
「ヤ、ヤール様・・・・」
留夫にくってかかろうとしていたひいるは、死の淵にあるトリニトラが、それでも、ベールに手を伸ばしていることに気づいて、慌てて駆け寄る。
「ヤール様・・・お許し下さい、ヤール様の命・・全うすること・・・かないませんでした・・・・ヤール・・様・・・」
ひいるが渡した月闇のベールをぎゅっと握りしめ、トリニトラは涙を流しながら、消えていった。
「ヤール王をホントに好きだったのね、このおば・・・じゃない、おねーさん。」
「なんかかわいそう・・・・。」
「でも、絵里ちゃんの目・・見えるようにならないじゃないか?」
消え去ったトリニトラに同情していた彼らは、その事実にはっとする。相変わらず絵里の目は白く濁ったままなのである。
「普通、呪文をかけた人が死ねば解除されるんですが・・」
さすがの留夫も、それは予測不可能だったのか、顔色を変えて絵里を見ていた。

「ここは不思議な世界だから、そのうち何か解決策かいい薬が見つかるかもしれないよ。それに、お城の奥にいる軍神をやっつけて帰れば、絵里ちゃんの目も元通りになってるかもしれないだろ?」
「あ・・う、うん・・そ、そうね?」
もっと留夫には文句を言いたかった彼らだが、言ってみても元には戻らない。
目を治す方法が見つかることを祈って、彼らは3階への階段を上っていった。


彼らの背後で、小さな蜘蛛が人の姿にその身を変えつつあった。
「ガキは最強ってか?正攻法が通用しないってとこが、不利なんだろうな。なんせめちゃくちゃだぜ、あいつら。」
人の姿に戻ったそれは、少年剣士キリー。ウォーレンと共にこの地へやってきた戦士だった。
「しかし、この先はどうかな?・・・敵もまた一段と手強くなってくるだろうしな?」
勢い良く駆け上がっていく彼らの後ろ姿を、キリーは不安そうに見上げていた。
「目・・か・・・・何かいい薬でもあるといいんだが・・・」
キリーの脳裏に故郷に置いてきた妹の顔が浮かんでいた。
お兄ちゃん、お兄ちゃん♪と慕ってくるかわいい妹の笑顔が。
「キリーのお兄ちゃん!」
次に、城の大門の前で阿修雄達と出会ったことをキリーは思い出していた。
絵里の笑顔がその妹と似ていた事を。いや、どこがというと似ているようにも思えなかったが、キリーを呼ぶその口調やしぐさが、彼に妹を思い起こさせたのである。
この城は物騒だから子供の来るべきところじゃないといったキリーに向けられた笑顔には、親しみの情が込められていた。
師とも兄とも慕っていたウォーレンを倒した彼らだが、それもここでなら仕方ないことだったんだ、とキリーは思い始めていた。
「あいつら、怖い者知らずだからな・・・。」
ゆっくりとキリーは彼らの後を追った。




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