● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
  

  吏琥(りく)
蘭(らん)/絵里(えり)/阿修雄(あしゅお)/ひいる
留夫(るお)/椎(しい)/輪津(わつ)

 

● その11・傷心のトリニトラ 

 「え〜〜〜?ぼくたちを殺してぼくたちの身体をお洋服みたいに毎日順番に着替えるのぉ?」
偽物アッシュが消えたあと、彼らはその奥にあったドアを開けたところで、ウォーレンの姿を借りた・・つまり、ウォーレンの肉体を自分のものとしたセラクと対峙していた。
出会ったとき、ティナの探しているウォーレンだと絵里を先頭に、喜んで駆け寄ろうとした彼らは、大人しい輪津が歯を向いて唸ったことにより足を止めた。
「あなた、ウォーレンじゃないでしょ?」
その絵里の質問にセラクはそれを認めた。
そして、彼らのその若々しい肉体を欲したのである。いくぶん、若すぎるとも思ったセラクだが。

「いやだ、そんなの!!ぼくたちの身体はぼくたちのもんだいっ!」
椎が叫ぶ。
「そうだ!人の身体をとって着替えるなんて聞いたことないよ。おじさんって・・変態だったの?」
「へ〜〜んたい!へ〜〜んたいっ!」
阿修雄の一言で、全員口を合わせてはやし始めた。
「へ・・・・ぶ、無礼なっ!仮にも私はこの城を守る四聖・・・」
「じゃなかったら幽霊じゃない?」
「ゆ・・・・・」
思いもかけないことを言われ、セラクは開いた口がふさがらない。
「そうだ!おばーちゃんに聞いたことがある。幽霊も人の身体に入るんだよ。憑依するとか言ってねー・・・」
「そ、それだ!服を替えるならわかるけど、人間が身体を着替えるなんて聞いたことないからな!」
全てを納得したように、吏琥がにやっとして全員を見渡した。
「おーーし!ウォーレンさんじゃなきゃへっちゃらだいっ!幽霊なんかやっつけてやる!!」
「ち、ちが・・・」
四の守護者という誇りも何もずたずたに引きさかれていた。あまりにものめちゃくちゃな彼らの論法に、ショックを受けているあいだに、セラクはその場に惨めな姿を晒していた。

「でも・・ティナお姉ちゃんにはどう言おう?」
セラクを倒せば、ウォーレンは助かる・・そう思って必至になってセラクに向かっていった彼らは、すでに時遅く、彼はすでに命を絶たれていたことを知る。
「すんでしまったことは後悔してもしかたないですよ。それより、今は、先に進むことではありませんか?」
冷たい言葉を口にした留夫を、全員ちらっと見て、何か言おうとした。・・が、何も思いつかず、椎の提案で一応ティナに報告することにした。
報告しなければ、ティナはいつまでも町の大門の横で待っているだろうから。

「ありがと。私なら大丈夫・・・ウォーレンは・・・、彼は・・ようやく私のところへ帰ってきてくれたの。」
涙を堪え、ウォーレンの身体が消えた後に残っていた髪の毛の束を、ティナはぎゅっと握りしめ、阿修雄たちに礼を言った。
「さあさあ、そんな顔しないで。ね?彼は・・・彼の魂は、あなたたちのおかげで救われたの・・・。だから・・ね?」


そして、阿修雄達は、二度とこんな悲しい事がおきないように、と、全ての根元となっていると長老から聞いた城にいる軍神を倒すため、再び城へとやってきた。それぞれの小さな胸に固い決意を燃やして。


「あれ?おばちゃん、どうしたの?」
「おばちゃん?・・おばちゃんもティナお姉ちゃんみたいに恋人を捜しに来たの?」
「それとも道に迷っちゃったの?」
「ねー、ねー、おばちゃん?大丈夫?動けないの?」

アーケディア城、2F。通路の片隅にうずくまっていた女性を見つけ、全員駆け寄る。
失敗したセラクを嘲笑い、自分こそが探索者である彼らを倒してみせる!と意気込んで、ワナを貼っていたトリニトラは、言い返すことも、怒鳴ることもできず、頭の中は真っ白、顔は怒りで蒼白状態となっていた。
「お、おば・・・おばちゃん・・・・・・」
ざっくりと彼女の乙女心は深い・・ふか〜〜い傷を負っていた。


「あ、あたしのどこがおばちゃんなのよっ!」
そして、ようやく我を取り戻したトリニトラは、そう叫んで、彼らを睨んだ。
両の手は、わなわなと怒りに燃えて震えていた。

一応?トリニトラのつもりです。/^^;

「最初におばさん呼ばわりしたのは、あんただったわよね?」
額が割れ、真っ赤な瞳がそこからぎょろりと阿修雄を見据える。
「わ〜っ!」
「阿修雄っ!」
「どうしたの、阿修雄?」
「ちょっと、おばさん!阿修雄に何したのよっ!」
そのあやしげな赤い瞳に睨まれ、頭が割れるような頭痛に襲われ、大声をあげ、頭をかかえてその場にうずくまった阿修雄にかけよる絵里たち。
そして、きっとトリニトラを睨みあげ、ひいるが叫ぶ。
「ほほほ♪元気な嬢ちゃんね。まー、いいわ・・・そもそもこんなガキ相手に、このあたしが躍起になることなんてなかったのよ。ガキに私の魅力がわかってたまるもんですか!」
ちろっとひいるを見下すトリニトラ。
−ゲイン!−
「痛っ!な、なにすんのよ、急に?!」
そのトリニトラの向こうずねを、ひいるは思いっきりけ飛ばしていた。
「こ、子供だからって甘い顔してればいい気になって・・・あたしに逆らうとどうなるか教えてあげるわ。」
「うわーーーー!」
トリニトラの額の瞳がそのあやしげな輝きを増すのと同時に阿修雄が悲鳴をあげた。
「阿修雄!」
あわてて阿修雄に駆け寄るひいる。
「いいこと?あたしに逆らえば、その男の子は、そうして苦しんで・・そして、そのうち蜘蛛になるのよ。」
「え?蜘蛛に?」
「そうよ。蜘蛛にね・・あの気味の悪い蜘蛛に。くくくくくっ」
「なぜそんなひどいことするのよ?阿修雄はおばちゃんのことを心配して真っ先に駆けつけただけよ?悪いことなんてしてないのに。」
いかにも愉快そうに含み笑いするトリニトラを、今度は絵里がきつい口調で意見をする。
「お、おば・・・・・ま、まだ言うつもり、この・・くそガキ!」
「きゃあっ!」
「あっ!絵里ちゃん!」
蘭が慌てて絵里に駆け寄る。
「め、目が・・・目が痛い・・・」
「ふふふ・・・・ほほほほほ・・・お〜〜っほっほっほっ♪後悔するがいいわ。この私を怒らせたことをね。そして・・・一生ここに囚われているがいいわ。そう、一生よ・・・私を追い越し、老いさらばえて死ぬまでね。私を倒さないかぎり、あんたたちはずっとここでそうしてるのよ。ほーっほっほっほ♪」
高らかに嫌味な笑いを残し、トリニトラの姿はそこから消えた。


「ねー、施術師のおじちゃん・・・じゃ、おじちゃんのお薬じゃ、絵里の目も阿修雄の頭痛も治らないの?・・・阿修雄、蜘蛛になっちゃうの?」
ザムハンの町へ糸巻きの魔法で戻った彼らは、頼みの綱にしていた施術師と長老の悲しげな顔に、意気消沈していた。


「考えてたって始まらないや!行こう!何か方法はあるはずだよ!」
「そうですね、下手な考え、休むに似たりとか言いますからね・・・行動あるのみでしょう。まずはあの奥を調べてみませんか?あの蜘蛛おばさんの弱点がわかるかもしれませんよ?」
いつも傍観者に徹している留夫が、積極的な事を言ったことに驚きつつも、椎は少し震えた声で留夫ではなく吏琥に言う。
「あの奥って・・・蜘蛛ばっかりなんじゃないの?・・・蜘蛛のテリトリーだったら・・・」
「椎は蜘蛛が苦手だったな。」
「あ、あたしだって蜘蛛は好きじゃないけど・・でも・・・・」
ひいるがちらっと阿修雄を見る。
「あのおばさんから阿修雄が蜘蛛にならなくてもいい方法を何が何でも聞き出さないと!」
「ぼくなら大丈夫だよ。あのおばさんが睨まなければ頭も痛くないし。目も見えるから。。」
阿修雄は絵里を気遣いつつ、ちらっと彼女を見る。
「あたしも大丈夫よ。だって輪津がついててくれるもん。」
「わんっ!」


そして、彼らは再び元気良く城へ、そして、城2階の奥への道を進んでいった。


**前ページ** **次ページ**


ぼくら座夢繁探検隊・INDEX