● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
   

 

● その13・鬼ごっこ 

 「わ〜〜〜!!すっご〜〜い!」
アーケディア城、3F。その薄暗い通路の先には、まぶしいほど陽の射した空中庭園が広がっていた。
「わん!わん!わん!」
さっそくその庭を勢い良く走り始める輪津。絵里も、何も見えなくなってしまったとはいえ、陽の光は全身で感じることができる。輪津の背に乗って上機嫌。
「きもちいいわね。」
「うん。緑の匂いがして、いいところだね。」
−ガササっ!−
「きゃあっ!」
「あ!ひいる!!」
不意に伸びてきた植物のツルがひいるに巻き付いていた。
「やっぱりここって普通じゃないんだ!」
「くっそーー!人喰い植物だったのか?」
吏琥、阿修雄、蘭が慌てて駆け寄る。
−キーキー−
「きゃあっ!」
と、今度は何かに髪をひっぱられた絵里が叫ぶ。
「絵里ちゃん!」
自分たちと同じくらい、いや、もう少し大きいくらいの白猿が絵里に襲いかかっていた。
「ウーー!ワンワンワン!」
が、絵里を乗せている輪津が黙ってはいない。ものすごい勢いで吼え立てる。
−キーキー!−
が、絵里を乗せているままでは、反撃できないと判断した白猿たちは、かまわず絵里に爪を立てようとしていた。
吏琥と阿修雄は、2人で大丈夫だと蘭に目配せする。
そして、蘭が慌てて絵里のところへ戻りかけたとき、
−ボン!−
「キーキーキー・・・ギャーー・・・」
猿は炎に巻かれて慌てて逃げていった。
「え、絵里ちゃん?大丈夫?」
蘭と人喰い植物からひいるを助けた阿修雄達が絵里に駆け寄る。
「あたしなら大丈夫よ。目は見えないけど、輪津が教えてくれるし、それに、精霊召喚できるから。」
あ!そうか・・・全員納得していた。
−キラリ−
「あ、あれ?これなーに?」
猿が逃げていった道すじ、ひいるが光るものを見つけてつまみ上げた。
「指輪だわ。きれ〜♪」
「ホントだ。あ!ちょっと待って!」
ごそごそとズボンのポケットから吏琥がアイテム一覧ハンドブックを取り出す。
それは、魔法屋の棚の奥にほこりをかぶって放置されていた小さな本。100年前のお祭り、クリア目前でギブアップしたゲストが置いていったものとかなんとか意味不明な事をつぶやきつつ、特別にあげるといって魔法屋のおねえさんが、入り浸っていた蘭にくれたものだった。持っていると宝箱で入手したものの鑑定係りにされそうなのを懸念して、蘭は、即吏琥に渡したのである。
「これ、レア級なアイテムだよ!」
「え?そうなの?」
「うん。これをはめてると魔法力が半分でいいんだって。」
「えー?そうなの?」
「そんないいものなら、全員欲しいわよね?お猿さん、もっと持ってないかしら?」
「うーーん・・どうだろうな〜?」
「逃げていった方を調べてみようよ?」
「うん!」
そして彼らは空中庭園の奥へと進んでいった。

「そういえば、あたし、交換所のおじさんから同じ様なのもらったのよ。アイテム出現リストとかいうの。やっぱり百年前のゲストがどうのとか言ってたわ。」
ひいるがポケットから黒皮の手帳を取り出す。
「ねー!この庭園のどこかに、治療効果があるユーリアスタッフっていうのがあるんだって。」
「ええ〜!そうなんだ?」
「ちょっとした怪我までだけどね。」
「ちょっとした怪我でもいいよ。敵は強くなってきてるしさ。傷薬や魔法力がなくなっちゃったときなんかいいよ、それ!」
「そうだよ!」
「なんとかいう植物モンスターが持ってるんだって。」
「他には何かいいものないの?」
「えっとねー・・あ!3,4Fにいる兵士がサンダーブレードを持ってるかもしれないって!」
「サンダーブレード?」
「うん。どんなものでも焼き焦がしてしてくれる究極の剣だって。魔法力は関係ないんだって。しかも全体攻撃♪」
彼らの目が輝く。
「よーーーし!それ行こう!それ!」
「うん!」
「お城の兵士たち、手強くなってきてるから、まずは、魔法力が節約できる指輪と、それからヒールの杖だよな?」
「うん!」

そして、空中庭園に彼らの声が響き渡る。
「絵里ちゃん、お猿さん、そっちへ逃げ込んでいったんだ。先回りして、そっちから追って出してよ!」
「オッケー!行くわよ、輪津、レッツゴー!」
「わん!」


降り注ぐ陽の光、そして、庭園を美しく色どる草花。そこに広がる子供達の歓声、犬や猿の鳴き声、植物のざわめき・・・。
そこに呪われた城のイメージはなく、しばし、運動会のような賑やかさに包まれていた。




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