● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
    

 

● その10・不思議な鏡 

 「ねー・・また同じところよ?」
「ホントだ・・・」
そこは、アーケディア城1F、北西の一角。壁という壁には大きな鏡がかかっていた。ティナからもらった銀のペンダントの不思議な力で、その鏡が通り抜けられるとわかった彼らは、奥へと向かったのである。
が・・・所々にワープのトラップも仕掛けられていることもあり、そして、同じ鏡ということで、道が分からなくなっていた。
頼れるのは、蘭と絵里の空間感知の魔法で、周囲を見ることである。
が・・・それでも、気づけば、同じ所をぐるぐる回っていた。

「そうだっ!」
ひいるが何かひらめいたのか、はっとしたように、ポケットに手を入れる。
「ねー、印していけばいいのよ!」
「印?」
「そう!」
「どうやって?パンくずも小石もないし・・・枝を折って印をつける木もないよ。」
「やーね、ヘンゼルとグレーテルじゃあるまいし。」
くすっと笑ってひいるはポケットから出したものを、みんなの前にみせる。
「マーカーペン?」
「そう。」
「そんなのでどうするの?」
「だからさー、これで印つけていくのよ。通った鏡に。そうすれば、間違って同じ鏡を通ることもなくなるわ。」
「さすが、ひいる!ナイスアイデアッ!」
「でも、それって・・落書き・・・・」
目を輝かせて賛同した蘭に遠慮がちに椎が言った。
「そうね・・落書きはいけないことだけど・・でも、ここは、幼稚園でも学校でも、家でもないし・・・・」
「そうだよな。夢ん中?モンスターの住処だし?」
絵里が大丈夫よ、と自信たっぷりに椎に笑みをみせ、吏琥もその意見を押す。
「・・・そ、そうかな?」
「ぼくもいいと思うよ。」
椎にちらっと目で意見を求められた阿修雄は断言する。

「わ〜〜〜〜いっ!」
そして辺りは、子供達の歓声で包まれてた。

「楽しいな〜〜!気分いい〜〜!!」
きゃっきゃっきゃっ!
普段止められていることができて、もう阿修雄達は200%エンジョイ中!
次の間へ進むこともしばし忘れて、鏡いっぱいに思い思いの絵や文字を描いていく。
「わ〜〜〜♪ひいるって器用ね!それ、タコのおじさんそっくりよ!」
「絵里ちゃんだって上手じゃない。それって輪津でしょ?」
「うん。」
「留夫、なんの模様なんだ、それ?」
「これは、ルーン語という昔の言葉ですよ。」
「へー・・そんなの分かるんだ。」
「何かの模様みたいね。」
「・・・蘭ったら・・・・それ、魔法屋のお姉さん?」
「あ・・あはは・・ぼ、ぼくって才能あるだろ?」
「自分だけそのつもりね?」
「阿修雄は何書いてるの?」
「反対文字だよ。」
「反対文字・・そういえばそうだけど・・よくすらすら書ける・・あっ!そうか、鏡に映った向こう側の鏡に写ってる字を見て書いてるんだ。」
「そっかー、それで身体をちょっと斜めにしてるんだ。姿勢悪いなーと思ったら。」
「姿勢が悪いって・・・落書きだよ、これ?」
「あははははっ!」
時を忘れ、彼らは楽しみながら進んでいった。(笑

そして、奥にいたセラクを倒し(最初、全く攻撃を受け付けなかったが、矢がなくなったひいるがやけになって銀のペンダントを投げつけてから、効くようになった)、北東へと進んだ。

が・・・
「な、な〜に・・どうなってんの?阿修雄が2人?」
彼らの行く手を、もう一人の阿修雄が遮った。
もう一人の阿修雄にある程度近づくと、有無を言わさず攻撃をしてくるのである。そして、みんなでその阿修雄を攻撃すると、仲間であるはずの阿修雄が怪我を負うのである。

自分たちの攻撃で友達の阿修雄を傷つけてしまった。吏琥は、痛みでうずくまってしまった仲間の阿修雄を背負い、みんなと共にそこから逃げた。
「ど、どうする?」
「そうするって・・・」
そして、そこへ通じる廊下の前、阿修雄の回復を待ちながら相談していた。
もちろん、ヒールの魔法と回復剤で傷を治した。が、ショック状態だったため、その回復を待っていたのである。

「そうだ!」
ぽん!と手を叩いた絵里に全員が注目する。
「あのね、向こうでセラクを倒したあと、見つけた手鏡あったでしょ?」
「あ・・うん。」
ごそごそとポシェットからひいるがそれを出す。
「あのね、あたし、小さい頃から寝る前、おかあさんに童話を読んでもらってるの。」
「・・・それが?」
阿修雄が童話とどう関係あるんだ、と不思議そうに聞いた。
「うん、だからね、同じ話ばかりになっちゃって、でも、あたしは新しいお話を聞きたくて・・・そうしたらね・・・」
「そうしたら?」
「最近じゃ、お母さんが小さい頃読んだマンガの話をしてくれてるの。」
「マンガ・・・」
「そう。その中の一つにね、手鏡で変身できる魔法があって。」
「手鏡で変身?」
「そう。だから、誰かが化けていたとしたら、その手鏡でね、・・・えっと、確か、変身の術を解く呪文は・・・ら・・・らみ・・なんだったっけ?」
う〜〜ん、う〜〜ん・・と考え込む絵里を全員じっと見て待っていた。
「そうだっ!確かそうよ!『ラミパス、ラミパス、ルルルルル♪』」
「でも、それって自分がその鏡で変身した場合だったじゃない?・・・あの阿修雄に効くのかな〜?」
以前絵里から聞いたことのあるひいるが不安げに言う。
「それもそうだけど・・でもさ、やってみる価値はあるよな?」
「そうよね?他に方法はないんだから。ダメもとよ!」
「そうね・・・」

そして、彼らは再び偽物の阿修雄に近寄っていった。
おっかなびっくり・・・1歩ずつ。(笑

「いたっ!」
通路の先、霧の中にぼんやりと立っている偽物の阿修雄の姿を見つけ、吏琥が叫ぶ。
「よし、ここがぎりぎりだ。これ以上1歩でも進むと、攻撃してくるからな。」
「絵里ちゃん、手鏡と呪文!」
「オッケー!」
上手くいくだろうか、とどきどきしながら手鏡を前に差し出す絵里。
そして、呪文を唱えよう・・・と思った途端、偽物の阿修雄は、通路を覆っていた霧と共に消えていった。

「あ、あれ?呪文・・・いらなかったの?この手鏡だけでよかったの?」
「真実の鏡と裏に書いてありましたからね、だから、たぶん、それをかざすと、偽物・・作り物の類でしょうね、それは消え、真実が残る。つまり、道をふさいでいた人物などそこにはいない。それが真実なんですよ。」
「留夫・・・」
しれっと言った留夫に、思わず全員むかっときていた。
「なによ、留夫、それなら最初からそう言ってくれればよかったでしょ?」
「あ・・いえ、ぼくも今そう思っただけなんですよ。鏡の裏に書かれていた意味はこれだったんだって。」

「うーーーー・・・・」
怒るに怒れず、あくまですました顔のその留夫を少ししかめた顔でちらっと見、その先へと進んでいった。


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