● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
  

 

● その7・7人と1匹、これで全員♪ 

 「それ行け〜〜〜〜!!♪」
地下墓地の奥、かすかに聞こえてきた絵里の愛犬、輪津の鳴き声に導かれるように、回転扉を見つけた彼らは、その奥の奥にあった牢屋の中で震えていた輪津を見つけ、活気を帯びていた。
「行けいけ〜〜!輪津〜〜〜っ!」
大型犬輪津とはいえ、そこにいた牢番らしい魔物と比べれば小さいが、それでも、輪津は、小心さを必至の思いで堪え、愛する主人絵里の為と、その大男に向かっていった。
−ベロベロベロん−
「うわっ!・・・こ、こら!よさんかっ!こらっ!」
そして、覆い被さるように上に乗ってきた輪津の思いもかけないぺろぺろ攻撃にあたふたしている間に、ひいるがひょいとその腰に下がっていた鍵の束を失敬する。
「おっけー!いいよっ!」
「わ〜〜〜〜いっ♪」
そして、ひいるの掛け声で、一斉にその部屋から駆け出た彼ら。
「な、なんだったんだ・・・いったい?」
中に1人ぽつんと残った牢番は、腰の鍵束がなくなっていることも気づかず、きょとんと惚けていた。


「あ、あれ?鍵なんかなくても簡単に開いちゃったよ?」
鍵束には数え切れないくらいの沢山の鍵があった。どれなのか一つずつ試すのが面倒になったひいるが、適当に辺りに落ちていた針金でガチャガチャ試していたら、簡単に開いてしまった。
「な〜〜んだ・・・じゃ、あのおじさんから鍵をとらなくてもよかったんじゃん?」
強そうな大男だった牢番。鍵奪取作戦は、輪津を見つけてから、数十分かけた作戦会議の結果だったのである。
「まー、いいさ。開いたんだから。」
牢屋の中で半べそで震えていた椎をようやく出し、全員ほっとしていた。

「あとは、あのタコのおじさんよね?」
「うん、そうね。だけどさ、やられた振りするなんて、大人のくせに卑怯だよな?」
「うん、そうそう!」
コクコクと全員頷き合っていた。
そう、その地下牢の奥で、あのタルシスはぴんぴんして高笑いしていたのである。
「だけど、なんだったけ・・えっと知恵の輪・・じゃなくって、文殊の知恵・・でもなくって・・えっとぉ〜・・・」
「『禁呪の法』ですよ。中途半端に知ってるような顔して言わないでくださいよ。」
留夫に指摘され、蘭はぶすっと睨む。
「どっちでもいいだろ?文殊でも禁呪でも・・。」
「ぜんぜん違いますよ。」
「まー、まー、今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ?ともかく先に進むには、タルシスを倒さないとだめみたいなんだから?」
またしても留夫に飛びつくところだった蘭を吏琥が止める。
「だけどさー・・・」

「そうだ!」
その喧騒さを横に、1人考え事をしていた阿修雄が、ぽん!と手を叩いて目を輝かせる。当然のように全員の注意が阿修雄に注がれる。
「地下に下りて右手に行ったところにいたあのおじいさんの幽霊にもう一回会いにいってみようよ?」
「あっ!そうかっ!」
まだ輪津と椎に会ってないときに会った幽霊の老人。幽霊だったが、やさしそうな老人だった。そして、嬉しそうに全員を見渡し、そして、悲しそうに首を振った老人。
「僕たちじゃダメっていいながら、手に持ってた土笛をじっと見ていたよね?」
「あ!う、うんっ!」
全員の視線は阿修雄から椎に注がれていた。
「え?・・ぼ、ぼく?」
椎は歌や楽器が大好きだった。とりわけオカリナやハーモニカは大人顔負けの演奏をするのである。
「そうよ!あたしたちじゃだめでも、椎くんなら、あの土笛が吹けるわよ、きっと。」
その時の老人の様子を思い出し、土笛を吹くことができる人物を捜しているのだろうと改めて思った彼らは、椎に目を輝かせる。
「で、でも・・・そのおじいさん、幽霊って・・・」
尻込みする椎にひいるがにっこりと元気づけるように笑いかける。
「大丈夫♪悪い人じゃなかったし、あたしたちもついてるんだから。」
「あ・・う、うん・・・・。」
「他に道も扉を開ける方法もないし・・・あのおじいさんと椎にかけてみよっか?」
「うん!賛成〜〜!!」


まだ少し不安そうな椎を覗き、全員一致。彼らは勢い良く来た道を戻り始める。
「行け〜〜〜!!ご〜〜ご〜〜!輪っ津〜〜〜!!!」
その先頭は阿修雄ではなく、愛犬輪津に乗り、勢いのついた絵里である。

その暗闇と出てくる魔物などにびくびくしている暇もなく、輪津は走る。
不意に襲ってくるスライムや大ナメクジ、地下から伸びてくる冷たい手なども、恐さも手伝ってか、勢い良く蹴散らして!(笑

「ほら〜〜・・みんな遅いわよ〜〜?置いていっちゃうから〜!!」
糸巻きの2つ目の使用方法。糸の先に捕まえたウィル・オ・ウイスプを縛り、ランプ代わりとして絵里は進む。

他のみんなは・・・倒したスケルトン兵士のドクロの中に、やはり捕まえたウィル・オ・ウイスプを閉じこめて、ランプ代わりにしていた。
ドクロは気持ち悪いからと、持つのをいやがった絵里だけ糸巻きなのは、不公平のような気もしたが、そもそも発光体であるウィル・オ・ウイスプをランプ代わりにするということは、絵里のアイデアだったため、仕方なく譲ることにしたのである。


「ねー、阿修雄?」
「なに、ひいる?」
「おじいさんにあったら、一度町に戻らない?」
「町に?・・そりゃいいけど。何するの?」
輪津に乗った絵里の後をおいかけながら、ひいるが阿修雄に話しかける。
「あのさ、お金ってあまってるでしょ?」
「あ、うん。特にこれといったもの買わないから。」
「あのさ、ランプ買わない?」
「ランプ?だって、普通のランプはなかっただろ?」
「そうじゃないのよ。魔法のランプ。」
「魔法の?だって、空間感知できるし?」
「そうじゃなくて、その魔法のランプの中にこれを入れられないかな〜?下の方の飾り部分を壊せば、入れれるんじゃないかな?」
「あっ!そうか!ドクロよりいいし?」
「でしょ?」
「さすが、ひいる、あったまいい〜〜!」
阿修雄との間に入った蘭がひいるを褒める。
「じゃーさ、今ある1個使って、せめてひいるのだけでもドクロやめてランプにしない?」
「だめよ、そんなのっ!非常用でしょ?」
「大丈夫だって、ぼくのTPすっごいんだぜ?」
「だ〜めっ!甘くみちゃだめなのっ!」
「え〜・・・・だってさ・・ひいるだって・・気持ち悪いって・・」
せっかくひいるのためにと思った提言も、本人に一蹴されて蘭はがっくり気がぬける。
「それはそれ。これはこれ。今は・・がまんするから。」
「今はそんなことしてたら絵里に置いていかれますよ?」
留夫の冷めたその言葉に、後ろもろくに振り返らず勢い良く直進していく輪津と絵里を思い出し、ともかく幽霊の老人に会ってから、と全員思い直す。

「おーーし!一気に駆け抜けちゃえ〜〜〜!!!」

勢いに乗った園児に恐いものはない。(ホントかな?)
わいわいきゃあきゃあ、と敵の攻撃を避けながら、ときには、相手もしながら、彼らは暗い地下墓地を駆けていた。
ウィル・オ・ウイスプをその中に灯したドクロのランプを手にして。(笑
もちろん、目と鼻の部分からの明かりだけでは明るさが足らないので、後頭部を砕いてぽっかりと穴を開けてある。

「ちょっとウィルちゃん!?もっとしっかり発光しなさいよ!明るさが足らなくて前が見えないじゃない?!」
精霊使い絵里。そのせいなのかどうなのか、彼女の言葉は魔物にも通じているようだった。その絵里のウィル・オ・ウイスプを叱咤する声も、辺りに響いていた。


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