● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
    

 

● その6・タコはやっぱりタコ殴り? 

 「待っておったぞ、俺の獲物。俺の名はタルシス。ヤール様に使える地の守護者だ。・・・・」
「あ〜〜〜!タコ入道だ〜〜!!」
「ホントだ、タコのおじさんだーー!」
「う・・・・?」
白い蝶を追って森の中の道ならぬ道、獣道を進んだ先にあった沼地で、半漁人のようなウーティスの頭目だというグリムと会ったあと、彼らは町へと戻った。
が、彼らの目的だった普通のランプはどこにも売っておらず、宿や長老に1つ貸してくれといっても、断られてしまった。
仕方なく、それでも他に行くところがないので、城へと糸巻きで転移した彼らを待っていたのは、前来たときよりうっすらと明るくなった城内だった。
足を踏み入れた途端、不気味な声が彼らを覆ったが、どこから聞こえてくるのだろうときょろきょろしているうちに、声は消え、そして、気がつくと天井い広がっていた四聖獣らしきものの絵が消え失せた。
なんとなく不安を感じながらも、彼らは、前来たときには開かなかった扉を開け、地下への階段を見つけて下りてきたところだった。
地下墓地か地下牢のように思えたそこは、奥から死臭とじめじめしたカビの臭いがただよってくる。
そして、それでも先へと進もうとした彼らの前に、鎧に身を固めた大男が出現したのだが・・・睨みをきかせ、余裕たっぷりな笑い声と共に彼らの歓迎をしようとした大男は、まるっきり予期しなかったその反応に、言おうとしていたセリフも忘れ腰砕けとなる。
そう、大男のその血色の良いツルツルの禿頭は、彼らにとってまさにタコだった。
「オ、オレの名前はタルシス。ヤール様に使える地の守護者だ。」
「ぼく、阿修雄。」
「あたし、ひいる。」
「おれ、吏琥。」
「ぼく、蘭。」
「あたしは絵里。」
「ぼくは、留夫と申します。」
「・・・・」
どうせ言った言葉も聞いてなかっただろうと、もう一度戻ったセリフを口にした大男、タルシスは、間髪入れず次々と丁寧に自己紹介をした彼らの唖然とする。
「ね・・ねずみ共、ここがどこか知っているか?」
「知ってるよ、長老に聞いたもん。アーケディアっていうお城だろ?」
なんだ、このくそガキ共は!と思いつつ、それでも気を取り直して話し始めたタルシスは、またしてもその反応にうぉっと腰が引ける。
「ねー、長老さんに聞いたんだもんねー?」
「グリムにも♪」
「そうそう、それから町のお店屋さんにも。」
「ひ・・ひ・・人の話の腰を折るなーーー!!」
「え?腰を折るって・・・おじちゃん、ちゃんと立ってるじゃない?ぼくたちそんな乱暴な事してないよ?」
「あ・・あのだなーー!」
一呼吸置いて、タルシスは続けた。ぐいっと彼らを睨みなおして。
「人の話は最後まで聞け!ということだ!」
「あっ!」
ぽん!と阿修雄が手をたたいた。
「ごめんね。そういえば、園の先生もいつもそう言ってる。」
「ごめんなさい。今度はあたしたち、きちんと聞くから。」
そして、大男の言葉をじっと待つ6人。
「う・・あ・・・・・」
「おじさん?」
「え、ええ〜〜いっ!面倒だーーー!」
用意していたセリフなどどこへやら、タルシスはうおー!と地から響き出るような叫び声を上げる。
その叫び声と同時に、壁の中で眠っていた死体が目を開き、手を延ばしながら一斉に阿修雄たち6人に向かってきた。
「な、なによ・・・きちんと話を聞くって言ったのに・・・・おじちゃんの意地悪!」
「たぶん、これが城での第一回の中ボス戦なんでしょう。」
すました表情のまま言った留夫を、全員思わず瞬間的に見つめていた。
「じゃ、戦わなきゃいけないのね。そうならそうとさっさとかかってこればよかったのに。」
向かって来つつある骸骨集団に視線を移してから絵里はため息をつく。
「骸骨なんて恐くないわ。だって加藤先生が言ってたもん。だれでも持ってるんだから恐くないよって。」
「うんうん。」
いつだったかホラー映画を見た次の日、その恐さを幼稚園の先生に話した絵里は、先生からそう聞かされていた。
「だいたい『俺のえもの』とか言っておきながら、死体を動かすなんて卑怯だろ?」
吏琥がぐいっとタルシスをにらみ返す。
「だいたいこういう中途半端なボスってさ、1人じゃ向かってこないんだよな?おつきのもの一杯ひきつれてさ?」
「そうだそうだ!」
ゲームを思い出して、阿修雄達は頷きあっていた。
「でも、ぼくたちも1人じゃないですよ?」
「あのなー・・留夫、お前、どっちの味方なんだよ?」
「どっちって・・・向こうじゃないことは確かですよ?」
ふっと軽く笑った留夫に全員怒りを覚えて睨む。
「ほら、内輪もめしてるひまないですよ?もうそこまでスケルトン集団は来てるんですから?」
確かゲームでは、骸骨のモンスターのことをそう言ってたと思い出しながら、留夫以外の5人は、そっちに注目する。
「つまり、あのおじちゃんはやっつけちゃっていいってことよね?」
「そうだね。」
「じゃーさ・・」
ボショボショボショと彼らは作戦会議。
「わーーーー!!!」
そして一斉に走り始めた。
小柄なこととすばやさを上手くつかい、スケルトンの間をぬうように駆け抜け、タルシスを目指した。
「せっかく安らかに眠ってる兵士さんたちを酷使する悪い奴はこうしてやるっ!」
「タコはやっぱりタコ殴り!!!」
−ドカバキバシッ!ドコドコドコ!−
スケルトンの間を駆け抜けてくる彼らの唖然としていたタルシスは、彼らの攻撃を防ぐ間もなく、飛び乗られ、尻餅をついたときに全員に駆け寄られ、めちゃくちゃに殴られていた。
「く・・・こ、このくそガキどもがぁ〜〜!!!!」
振り払って一気に術で葬り去ってやろうとしたが・・・あまりにも接近戦というか・・・肩に乗っている者までいて、それは不可能である。
−ふっ!−
「あ・・あれ?き、消えちゃった?」
不意に消えたせいで、勢い余って転んだ阿修雄たちは、それでもすっと体勢を整える。それまでの修行の成果である。
「倒したのかな?ぼくたち?」
「さー、どうでしょうね?」
「なんだよー、留夫は傍で見てただけじゃないか?」
「まーまーまー・・そんなのいつものことなんだから。」
喧嘩になりそうだった留夫と蘭を仲裁し、ひいるは近づいてくる前方のスケルトン集団を指した。
「あれをどうにかする方が先でしょ?」
「タコがタコ殴りなら、やっぱり死者は火葬だよな?」
「浄化魔法ないから、そんなところかな?」
「でもさー、一発で倒れるかな?」
「斬られたら痛そうだよ?」
再び相談した彼らは、ある作戦を実行した。
それは、阿修雄のポケットに入っていたタコ糸を使った作戦である。
「いいか?いっせ〜〜のぉ〜〜!!」
「わ〜〜〜い♪」
−ガシャガシャガシャ・・・−
阿修雄と一応その後ろに留夫が囮になり彼らを引き寄せ、その間にタコ糸の端を2人ずつもって走っていくのである。骨だけで軽いということと、重心が高いことで、足にそのタコ糸を引っかけられた彼らは、見事にガシャガシャ、ガチャガチャと転んだ。

「おっけー!先にすすもうぜ!」
その後、阿修雄の雷鳴の技と蘭と火炎系の術で片づけ、彼らは意気揚々と奥へと進んだのである。

「でも、この暗さなんとかならないかしら?」
多少は暗闇にも目はが慣れてきていたが、数歩先しか見えない。
「どこかにランプでも落ちてないかな?」
6人は、周囲に注意を払いながら、空間感知の術で位置を確認しながら1歩1歩進んでいった。


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