● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
   

 

● その5・行きどまって行き止まり 

 「いやーーーーー・・・」
「ダメだよ、絵里!方向も確認しないで走っちゃ!」
「だ・・だって・・・阿修雄・・・・。」
ニーラ神殿。そこは大コウモリとまるまると太ったジャイアントネズミの巣窟。ネズミが苦手な絵里の叫びが神殿の中をこだましていた。
「口ではなんだかんだ言って仕切っていても、やっぱり女の子ですね。ここは大人しくして誰かの影にでも隠れてた方がいいんじゃないですか?」
「な、何よ、それ?!」
留夫に言われて、カチン!とくる絵里。
「わ、わかったわよ、な、なによ、ネズミくらい!あ、あたしの精霊魔法でやっつけてやるわ。」
「ならいいんですが、こういった入り組んだ迷宮で、いきなり走り出すのはやめてくださいね。そんなに恐いのなら町で待っていてもらってもいいんですよ?」
「わ、わかったわよ。もうしないわよ!」
ふっと軽く笑い、先に立って歩き始めた留夫の後ろ、吏琥が絵里に大丈夫だよ、と言わんばかりに笑顔を向けた。
(うん。)
その吏琥に目で返事をして、絵里も歩き始める。


そして、神殿の地下もほぼ調べ終わろうとしていたころ・・・


「絵里〜〜?」
「絵里ちゃん?」
青くなって絵里を探し回っている阿修雄達の姿があった。

「おい、そっちは?」
「誰もいないよ。」
「あんまりバラバラになるな!余計迷子になってどうしようもならなくなるぞ?」
「うん!」
彼らは一応固まりつつ、四方に視線を飛ばしながら、絵里を探す。

「ちょっと前まで一緒にいたのに・・・」
「もしかして、おしっこ?」
「だとしても一言声をかけてからにしてほしいですよ。迷惑もかえりみず・・勝手な行動をしてくれて。」
「留夫!言いたいことは分かるけど、絵里にあんまりきついこと言うんじゃないぞ?」
あまり探そうともせず、平気な顔をしている留夫を吏琥は思わず睨む。
「絵里の性格の方がきついと思いますけど?」
「あのな・・留夫!」
「よせって、2人とも。今は言い争ってる場合じゃないだろ?」
「そうだよ。確かこの通路を奥に行く前までは、絵里も一緒だったんだ。」
阿修雄に続いて蘭が通路の奥と来た方向を見ながら呟く。
「確か、この割れた鏡の前で、しゃがみ込んでたんだよな?」
留夫のことはまだ気に入らなかったが、吏琥は、頭を切り換えて少し前の事を思い出していた。
「拾ったガラスがかけたところに填りそうだとか言ってたよな?」
「うん。」
「でも、最初は1欠片だったのに、留夫が押してばらばらになっちゃったから、ジグゾーバズルみたいになって、なかなか填らないって、絵里、文句言ってたよな?」
「うん。」
「仕方ないでしょう?あの時はいきなり巨大コウモリが飛んできて、それを避けようとしたらぶつかってしまったんですから。」
「別に留夫を責めてるんじゃないよ。」
悪びれた風もなく、留夫はそっぽを向いた。

どうしても欠片をその鏡の割れたところに填めたいと主張する絵里と、時間がかかりそうだから先に奥へ行こうという意見と別れ、4対1の多数決で、阿修雄たちは、絵里を促して先に進んだのだが・・・・気になっていた絵里は、奥まで行ったらまた同じ通路を戻ってくるだろうと勝手に判断して、パズルの続きをしていた。
そして、途中で絵里がいないことに気づいた阿修雄たちが、慌ててそこへ戻って来たときには、絵里の姿はなかったということなのだが。

と、その時、不意にその鏡が光った。
「え?」
「あっ!みんな!戻ってたの?」
光と共に、その鏡から出てきた絵里に、全員驚いて突っ立っていた。
「え、絵里・・・こ、この鏡って?」
「あ、うん。通路になってるのよ。隠し通路ってところね。」
「隠し通路・・。」
阿修雄と吏琥と蘭は、目を見合わせていた。
「これ、見覚えあるでしょ?」
といって絵里は、キラキラ光る水晶の柱を見せた。
「あ、うん。」
それは、ネズミの死体が山ほどあった小部屋で見つけた水晶柱。
その光景と腐臭に気絶しそうになりながらも、留夫の手前、意地だけで頑張って進んだ絵里が発見した宝物。
「鏡の欠片をうまく填めたときね、この水晶柱が光って、鏡の向こうに続いている道が見えたのよ。」
「そ、そうなんだ。」
「でね、途中まで風の精霊さんと進んでいったんだけど、おっきなネズミやコウモリが多くて、戻ってきたの。そろそろ阿修雄たちが戻ってくるんじゃないかと思って。」
「道を見つけたのはいいんですけど、勝手に1人で行動して、ぼくたちがどれほど心配するか考えなかったんですか?」
「留夫は心配なんかしてなかっただろ?」
「君たちのようにあたふたしなかっただけですよ。」
「んだと?この・・」
「やめろって、蘭。こいつの口にはかなわないって。」
右手を振り上げ、留夫に殴りかかるところだった蘭の手をとめ、吏琥が言った。
「あ、ご、ごめんなさい。」
「いいけどさ、絵里。これからは気を付けてくれよ。」
「うん。」
そして、もう行き止まりばかりで、どうしようかと思っていた彼らの前に、開いた新しい道を進み、彼らは目的である解呪の護符を手に入れた。城の大門に張ってあったのと同じ模様の描かれた1枚の紙を。


そして、再びやってきた城の大門の前。
手に入れたその札とそこに貼ってある札をしばらく見比べていたあと、阿修雄は決心したように手にしていた札を重ね合わせてみた。

「わーーっ!」
その瞬間、眩い光が弾き出て、5人は手を翳す。
−バターーン!−
「え?」
−ドドドドドドド・・・・−
「わわっ!」
不意に中から馬に乗った男が現れ、慌ててその両横に道を開いた阿修雄達は、通り過ぎていくその風圧で尻餅をつく。
『帰れ、帰れ、帰れ・・・』
その騎士姿の男は、阿修雄たちには理解不能な難しそうな言葉を辺りに響かせながらどこへともなく駆け去った。

「な、なんだったんだ、あれ?」
「さ、さあ?」
−ヒュォ〜〜〜・・・−
が、男の最初の言葉と、開いた城の中から流れ出てくる不気味な感じのする風に、5人は背筋が冷たくなってくるのを感じた。

「ど・・どうする?」
「偉そうな事言ってて、怖じ気づいたんですか?」
思わず小声でみんなに聞いた蘭を留夫は小馬鹿にしたように見下す。
「う、うるさいなっ!誰も入らないなんて言ってないだろ?」
「あ・・おい、蘭!」
蘭は捨てぜりふを置いて、さっさと中へと入っていく。
「ぷぷっ・・ら、蘭ったら・・・」
顔を少し上げ気味で、ずんずん!と入っていく蘭の右手と右足が一緒に出ていた。それを見て絵里は思わず吹き出す。
「な、なんだよ?」
そして、振り返った蘭に、全員駆け寄っていった。

さて、いよいよ冒険の本命?城の中。
そこに輪津と椎はいるのだろうか?そして、ひいるとはどこで会えるのか?


が・・・・・

「なんだよー・・・せっかく入れたのに、どっこも開かないじゃん?中は真っ暗だしさ?」
数十分後、早くも行きづまった彼らは、文句をたらたら言いながら、外へ出てきた。
それでも、メンバーは1人増えていた。阿修雄達が城門を開け、あちこち城内を歩き回っている間に、そこへやってきたひいると中で出会ったのである。
何しろ中に明かりがない。目が慣れてきてから探索を開始したが、視野は暗闇に阻まれて1m四方くらいの狭さである。
「魔法のランプじゃなくってさ、普通のランプ売ってないかな?」
そう、使えば一応光を発する魔法のランプは、周囲の地図は照らしてくれても、明るくなるのは、ほんの数十センチ幅だけ。明かりの役目ははたしてくれない。
火系の魔法や技などを使っている間は、多少周囲は明るくなるが・・それも敵がいないことには使えないし、それに、たとえ敵がいてそうしたとしても、魔法力の無駄遣いになる。
呪符を探した地下神殿も暗かったが、そこはうす青い光を発光する光苔が壁や天井など周囲にびっしり生えていて、ほんのり明るさがあった為、城内ほど明かりを必要だとは感じなかったのである。
「ライトの魔法ってないのかな?」
絵里がちらっと蘭を見る。
「し、知らないって・・・カードにもそんな術名書いてないし。」
同じ事を思って、外に出てからカードを見ていた蘭が残念そうに答えた。可能ならそれを修得するまで修行という手もある。
「しかたないわね?」
ふう、とため息をもらす絵里。もちろん精霊使いの術にもそれはなかった。
「交換所にあるかな?」
「宿のおじさんに聞いてみようか?部屋のランプ1個貸してもらえないかって?」
「うん、そうだね。」
「長老さんに聞いてみてもいいわよね?」
「うん。」
「だけどさ、開いたと思ったら行き止まりでさ・・・怪しいって思うドアは開かないなんてさ〜・・せっかく呪いを解いて中に入ったのに、これって詐欺だよな?」
「うん!詐欺だ!詐欺!!」
吏琥の言葉を受けて蘭が頷きならが断言する。
「じゃ、魔法の糸巻きで町へ・・・・あっ・・・」
「どうしたの、阿修雄?」
言葉を途中できり、ばつの悪そうな顔をしている阿修雄に絵里が聞いた。
「糸の先を町で繰り出してくるのを忘れた。」
ガクガクガクッ!・・・全員その場でずっこけ。
「いいんじゃないですか?町までの道はもう分かるんですから。それよりここに糸を繰り出しておけば。」
「あっ!そっか!」
1人ずっこけもせず冷静な留夫の言葉は、ちょっとその言い方にひっかかりを覚えたが、ともかく阿修雄はそうすることにした。
「じゃ、町までは歩いて行こ♪」
空間転移の術は、まだ蘭も絵里も使えれるまでには、レベルが達していない。
カードには修得可能な術一覧に書いてあるのだが。
「そうね、魔法のスクロール、使うのももったいないし。」
「そうですね、それが賢明だと思いますよ。極力無駄使いはさけ、可能な限りアイテムは緊急の場合用に温存しておくべきでしょう。」
「はーー・・・・」
またなにやら難しい言葉を並べている、と5人は留夫をちらっと横目で見て、ためいきをついていた。

「あっ!白い蝶だ!」
町へ戻ろうと森に向かい始めた彼らの前に不意に現れた白い蝶。それは、6人の前でゆっくりと旋回し、森の中へと消えていった。
「追いかけようぜ!」
蝶のあとを追いかけ、6人は勢い良く森の中へと走っていった。


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