● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
    

 

● その4・迷子の迷子の・・・

 「あ・・あれ?また行き止まりだよ?」
「また来た道を戻るの?・・・どこまで戻ったらいいんだろ?」
途中で蝶を見逃してしまった3人。そして、それまで蝶だけを見てきたので、いったいどこがどの辺なのかさっぱり分からなくなってしまった。

「ど、どうしよう?」
「う〜〜ん・・・・・」
「阿修雄、お前、森でばっちり修行してたんだろ?道わからないか?」
「あれは・・道を覚えてたから・・・・」
「見覚えのあるところは見つからない?」
「う〜〜ん・・・・・」
ぐるっと周囲を見渡しても、森はどこも同じような顔をしている。阿修雄には判断できなかった。
「またさっきの白い蝶、出てきてくれないかな?」
「迷ってる時に限って出てきてくれないんだからな。」
「それ、言えるかも・・・。」
そんなことを話しながら、3人はとぼとぼと歩いていた。
すると・・
−ごそごそっ!−
藪の中で何かがうごめく音がし、3人はとっさに戦闘態勢を取る。もうすっかり条件反射である。
が・・・・
「あら?・・・阿修雄くんと蘭くんと吏琥(りく)くんじゃないの・・・。」
がさがさと藪をかきわけてそこから顔を出したのは、なんと絵里。
「お城も神殿も方向違いよ?」
「え?絵里、道分かるの?」
「勿論よ。」
「ど、どうして?こんな深い森で分かるの?」
「蘭くん・・・・あなた魔導師?」
「あ、、うん、そうだけど?」
「なあに?、今まで何修行してたの?」
「え?」
ぐいっと胸をはって絵里は蘭を見下す。
「魔導師と精霊使いのあたしとは、共通の術があるのよ。」
「共通の・・術?」
「そ。」
「何それ?」
「・・まったくこれだから・・・蘭くん、あなたのカード見せてちょうだい!」
「あ。。う、うん・・・」
絵里の勢いにすっかり押された蘭は、ごそごそとポケットからカードを取り出して絵里にみせる。
「なによ、魔法レベルまだ4なんじゃない?修行が足らないわよ。いい?周囲がわかる術の空間感知はLV6なのよ。もっともっと修行しなくちゃだめよ!」
「ろ、6?」
「そう!でなかったら、ランプ買ってくるとかしないと。冒険をバカしちゃだめなのよ?いくら夢だからって言っても!」
「あ・・う、うん。」
3人は、すっかり絵里の前で萎縮していた。
そして、次々にカードの提示を求める絵里。
「でも・・・阿修雄くん、すごいわね。」
「あ・・・ぼ、ぼく、森の中で糸巻きの代金貯めるまでがんばったから。」
「ふ〜〜ん・・・すごいわね。あたしだってそこまではできなかったのに。」
「あ・・うん・・・。」
阿修雄は、蘭と吏琥に遠慮しつつ照れていた。
「でも、ランプも町へ帰るためのEXITのスクロールも買って来なかったのは、不注意ね。」
「あ・・・・」
「それに、糸巻き持ってたんなら活用しなくっちゃ意味ないわ。」
「い、意味ない・・・・」
ぽんぽんぽんぽん!出る絵里の言葉に、3人は完全にのまれていた。
「糸は繰り出してあるの?」
「あ、うん、一応城門に。」
「なら、そこへ戻って、分かるところからまた出発すればいいじゃない?」
「あっ!そ、そうかっ!」
「ホントに気が回らないんだから・・さ、糸巻きだして!」
「え?糸巻き・・って?」
「んもう!だから〜、分かってる道まで戻って出発しなおしよ!」
「だって、絵里ちゃん、空間感知で分かるって・・・」
「周囲は分かっても、どの道を進めばいいのか分からないんだもん。」
がくがくがくっ・・・・・さっきまでのお説教?はなんだったんだ。それじゃ結局絵里も迷ってるんじゃないか、と3人はずっこけた。
が、それでも、悪びれた風でもない絵里には脱帽というか・・下手に言い返さない方が安全だということは、3人には十分分かっていた。


そして・・・・

「おや?やっと来たようですね、剣士に魔導師に・・・武闘家ですか、吏琥らしいですね?」
城門まで戻って、今度はきちんと覚えていた道を歩いて来たせいで、無事神殿まで来ることができた4人。荒れ果てた廃墟と化したそこで待っていたのは、留夫(るお)だった。

「なんだ、留夫も来てたのか・・。」
「ふふっ、何か不服そうですね、魔法使い。」
「魔法使いじゃないやいっ!ぼくは魔導師だっ!」
「さて、その魔導師と魔法使いの定義の違いは・・・あったんでしたっけ?単に呼称の違いだけじゃないんですか?」
くってかかった蘭に、留夫はしれっとして言う。
「あ、あのなー・・留夫!」
蘭は完全に頭にきていた。ただでさえ、普段から留夫は気に入らなかった。
「何か?」
「そういう留夫はここで何してんだよ?ぼ〜〜っと突っ立って!」
「ぼ〜っとだなんて、ぼくはそんな無意味な事はしませんよ。」
「じゃ、何してたっていうんだよ?」
「あの男を見張ってたんですよ。」
「あの男?」
留夫の立っていた壁越しに、彼の指さした方向、奥の方をのぞき込む蘭、阿修雄そして吏琥。
そこには、地面に座り込み、ぐびぐびと酒をラッパ飲みしているぼさぼさ髪の男がいた。
「こっち側とは反対側にある通路から地下の神殿におりられると思えるところがあるのですが、特殊なアイテムがいるみたいなのですよ。」
「特殊なアイテム?」
阿修雄の問いに、こくんと首で答えて、留夫はあごで男を指した。
「あの男か、あるいは、その奥にちらっと見える彫像あたりに、それがあるんじゃないかとぼくは推察してるんですよ。」
「推察してるんなら、さっさと調べればいいだろ?」
「ところが、あの男は狂人らしく・・少しでも彼のテリトリーに入ると、恐ろしい勢いで襲ってくるんですよ。」
「で?」
「そこで、やはりここで出会った絵里に、君たちを捜しに行ってもらったわけです。」
「ぼくたちを?」
あごと視線で指し示され、阿修雄が留夫に聞き返す。
「そうですよ。私はしがない僧侶。絵里もずいぶんLVは上がってきてるのですが、どちらかというと小手先だけの術レベルばかりなので、術は使えてもその攻撃力はさほどではないですからね。あれだけの体躯の戦士との戦いとなると、やはり戦士クラスのキャラクターが必要でしょうからね。」
「・・悪かったわね、小手先だけで。」
絵里が口を尖らせて文句をいう。勿論留夫はまるっきり気に留めない。
「戦士クラスだと思えた阿修雄と吏琥ならなんとかできると思ったのですよ。」
「で、結局、ぼくたちに倒せってことか?」
「なんだよ、それ?ぼくは無視?」
蘭が留夫をぎろっと睨む。が、留夫は相変わらずどこ吹く風。
「ともかく、先へ進むためには、あの男を倒さなければならないんですよ。やってくれますね、剣士アッシュ殿、そして、修行僧オリルック殿?」
「え?なにそれ?」
「おや、みなさんはここでの役割を教えてもらわなかったんですか?」
「ぼく、アッシュっていう名前の剣士らしいことは、町の長老から聞いたけど。」
「あたし、特に聞いてないわ。」
「ぼくも。」
「オレも。オレって修行僧だったのか?武闘家じゃなくて?」
「カードをよく見てないのでしょう?」
留夫は横目で小馬鹿にしたように吏琥をみた。
「う・・ホントだ、僧魔法ってところが・・ある。」
「吏琥のことです。どうせ拳の技一筋だったのでしょう?」
「・・・・・」
「あ、あのさ・・説明はそのくらいにして、先に進もうよ。でもさ、あの男の人・・どうしても倒さないとだめ?話して地下への入り方教えてもらうとかは?」
だんだんあやしげ?な風が吹いてきはじめ、阿修雄は慌てて話を逸らす。
「ダメです。まるっきりこっちの話など耳に入らないみたいですから。」
「そ、そう・・・。」

留夫が言ったように、その男の周囲、半径3m以内に入ると同時に、狂ったように攻撃をしてきた。
結局・・・どうしようもなく倒してしまった。
が、他のモンスター同様、倒すと同時にその姿は消えてしまい、死体となってそこに転がらなかったことに、全員ほっとしていた。

男が消え失せた後に光っていた指輪。それを手に入れ、5人は地下への道を進んでいった。封印された聖なるニーラ神殿の内部へと。


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