● 表裏合体リプレイ?はちゃめちゃパロディーストーリー ●

ぼくら座夢繁探検隊】
==夢のまた夢物語==

〜なぜか幼稚園児と小1・・そして、犬!?〜
    

 

● その3・不思議な絵カード

 「やっぱりこれって夢なのかな〜?」
阿修雄はそんなことを思いながら森を歩いていた。
だって、モンスターと称される巨大バチのホーネットやシェリーカーという植物のおばけ、一見ライオンの子供に見えるリンクスなど、普通なら倒せばそこに死体が転がっているはずなのである。
が・・・死イコール消滅だった。まるでそれまでそこにいたことが、戦っていた事が嘘のように。だが、夢にしては醒める気配がまるっきりなかった。どんなに痛い思いをしても。(勿論、モンスターに傷つけられたことによる痛みである。)

−キラッ−
「やったっ!1ゴールドげっと〜〜〜!」
そして、時には消滅すると同時に、そこに1ゴールド金貨が転がっていることがあるのだ。
「・・でも、糸巻きって確か1000ゴールドしたんだよな。あーあ・・・いつになったら貯まるんだろ?・・糸巻きなんかなくてもお城へ行っちゃおうか?」
そうとも思った阿修雄だが、何が起きるかわからない。森にいるモンスターより、城にいるモンスターはもっとずっと強いと聞いていたからである。

「よしっ!がんばるぞ〜〜〜!!」
そして、阿修雄の森での一人修行が始まった。

「えいっ!やーっ!とーー!」
長老にもらった短剣も徐々に手になじんで来る。少しずつ戦う型も様になってきていた。
「あ、あれ?」
ふと阿修雄はポケットの中がほんわか暖かいような気がして、手を入れてみた。
「おばーさんにもらった絵カード・・・入れっぱなしだったからあったかくなっちゃったのかな?」
が、それにしては温かすぎる。普通体温より温かいと感じるはずはないのである。
「あれ?」
一番上の剣士の絵のカードをぺらっとめくってみた。すると前見たときは真っ白だったそこに、文字が浮かんでいた。
「なんて書いてあるんだろ?えーっと・・・・」
「剣士アッシュ・ステータスLV2、剣技LV1。次のLVまでのポイント、・・・・?こ、これってぼくのステータス?」
半信半疑で、ちょうど傍に近づいてきていたホーネットを倒してみる。
そして、カードを見ると・・・
「あっ!経験値が・・上がってる!」
面白い!これ、すっごく面白い!ホントに勇者になれるかもしれない!と思った阿修雄の猛特訓が始まった。
そして、カードに書かれたその技レベルが一定のレベルに達すると、特殊な技のポーズがそこに浮き出てくることもわかった。
ひたすらその技を身につけようと、練習に励む阿修雄。そして、実践を積んでいく。
1000Gが貯まったころ、阿修雄は見違えるほど剣の腕がついていた。


「魔法屋のおねーーさーーんっ!」
阿修雄は、それでも、やっとの思いで貯めた1000Gの入った袋を手に、勇んで魔法屋へと駆け込んだ。
「あらあら・・ついに貯めたのね!まーまー、すっかりたくましくなって!」
まるで自分のことのように嬉しそうに微笑みながら、魔法屋の女主人は、1Gずつ数えて、糸巻きを売ってくれた。

「こんな楽しい夢なら、ずっと見ててもいいな。ううん、目が覚めなければいいな。ひょっとしたら、これがおばーさんの言ってたお祭りってことなのかな?」
そんな事を考えながら、阿修雄は、不意に襲ってくるモンスターを、身につけた剣の技でなぎ倒しながら、城へと急いだ。
みんなと一緒なら、冒険はもっと楽しくなるに違いない。例えモンスターが手強くなろうと、みんなと力を合わせれば!、そう思いながら阿修雄はいつの間にか走り始めていた。

「あっ!白い蝶だっ!」
まるで道案内をするとでも言うように、白い蝶は、阿修雄の前で2,3回旋回すると、まっすぐ北へと飛んでいく。
「お城はそっちなんだね?」
森の中の小道を、阿修雄は勢いよく駆けていた。


そして、アーケディア城・・・・・。
「なんだ、阿修雄も来てたのか?」
「あれ?蘭!やっぱりぼくたちの他に来た子って、蘭だったんだね?吏琥(リク)は?」
「あれ?阿修雄じゃないか?」
「あっ!吏琥っ!」
城の大門は固く閉ざされていた。どうやら吏琥は、ぐるっと裏へ回って他に入れる入口でもないかと探していたらしい。
「ねーねー、ちょっと見てよ、阿修雄!」
「なにを?」
「ほら!」
蘭が小さく呟くと、その指先にぽっと火が躍り出た。
「わっ!すっごーーい!あ・・蘭は魔導師だったっけ?」
「うん。すごいだろ?」
得意げに鼻の下を伸ばす蘭。
そして、それぞれ自分が身につけた技の披露大会が始まった。
そして、やはりそれぞれの持っている絵カードもステータスや新しい技を出す為のポーズなどを映し出す不思議なカードだった。
「でもさ、2枚目までは分かったけど、まだ3枚目と4枚目って何も浮かんでこないよな?」
「うん。でも、覚えた技が2枚目のカードに一杯になったら3枚目に移るんじゃないかな?」
「かもしれないね。」
「うん。」
ひとしきり興奮状態が続いたあと、阿修雄はようやく、残りの友達のことを思いだした。
「絵里やひいるや、もしかしたら椎と輪津もきてるかもしれないって?」
「うん。」
「じゃー、西にあるっていう廃墟へ急ごうぜ!」
「廃墟?」
「その廃墟の入口に、これと同じ紋章があったんだ。」
吏琥が、大門の中央に張られている呪符を指さしながら言った。
「同じ紋章かー・・確かに怪しいね。」
「だろ?」

1人だったのが3人に増え、阿修雄はこの不思議な冒険が、なんだかわくわくとずっとずっと楽しくなってきているのに気づいた。
そして、それは、吏琥も蘭も同じだった。足取りも軽やかに、彼らは進む。森の小道をどんどん!ずんずん!と勢いよく進む。時折襲ってくるモンスターを蹴散らしながら。
「あっ!白い蝶だっ!」
「見失うなっ!行くぞっ」
「うん!」
楽しそうに彼らは駆けていく。森を漂う暗く湿った空気など吹き飛ばすかのように勢いよく、明るく。


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