**Brandishサイドストーリー・番外編?**

泥酔美人とむっつり・・・(7) 露天風呂の底が抜け?

***ある日ある時ある場所で・・・アレスとドーラのお話です***
  

*お絵描き掲示板に描いたドーラのつもりの絵。
ボロ隠しに縮小サイズのまま・・(汗
   
         

 「きゃあああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」
−バッシャーーーン!−
「な・・何よ・・・これ・・?どうなってんのよぉ〜?」
落っこちることには慣れっこのドーラ・ドロン。またしても結構深いところへと落ちたが、怪我一つなし。というより・・・・今回はいつもと落ち方が違ったというか・・・落ちる時の状況が違っていた。


それは・・・・
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「まったく・・・・なんなのよ・・もう・・・・」
一人ぼやきながら、森の中の露天風呂にドーラは入っていた。
アレスを逃さないようにと注意しながら旅を続けていたというのに、ついにはぐれてしまったのである。
そこは、陽の光もほとんど射し込まない大木が鬱蒼と茂った森の中。
ぴったりくっついていたつもりだったが、襲いかかってきた狼の群を追い払っているうちにアレスはドーラの視野の中からいなくなってしまっていた。
慌てて周囲を探したのだが、木々に阻まれ視野は最悪である。あちこち走ってさがしているうちに埃まみれになっていたドーラは、偶然見つけた露天風呂に入っていた。

「のそのそしてるくせに逃げる時だけは素早いんだから・・・。」
目的地である迷宮への入口はこの森のどこかにあるはずだった。が、地図はアレスが持っている。道と呼べる道もなく、森自体が迷宮のような複雑さを持っている。方向も分からない。が、ようやく頭上を覆っていた木々の枝もきれ、そこだけは空が見える。
「太陽の方角から考えて・・・最初森へ入ったのは東からだったから・・・・」
が、広いその森では例え方角がわかったとしても、そこがどの辺りなのかはさっぱり分からない。


「でも・・・気持ちいいわ〜〜。」
怒ってばかりいても仕方がない。ドーラは気持ちを変えることにした。
「露天風呂なんて久しぶりよね。それに、周りは森に囲まれてるし、秘湯中の秘湯よね、ここ。」
湯加減はちょうどいい温度。ドーラはアレスの事はひとまず横に置いて露天風呂を満喫することに決めた。


「気持ちいいけど、あまり入ってて湯当たりしてもいけないわ、」
ほかほか、ぽかぽか、上機嫌なドーラはそろそろ上がろうかと思っていたそのとき・・・・

−ズズ・・ン!−
「え?・・な、何、今の音と地響きは?」
不意に下の方で鈍い音がした。
え?・・・・ち、ちょっと何よ〜・・・これ〜〜?」
−ザザザザザーーー・・・・−
露天風呂の湯がまるで鍋の底が抜けたように、勢い良く無くなっていく。
「え?・・・ちょっと、ちょっと・・・・・き、・・きやあ〜〜・・・・・」
そして、急いでお湯から出ようとしたドーラもまた、お湯と一緒に底へと流れ落ちていった。
「きゃあああぁぁぁぁぁ〜〜〜・・・・・・・」

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そう、素っ裸で落ちたのである。しかも露天風呂の下は、かなりの空洞。に加え、そこもまた一面水・・つまり地底湖らしかった。
「え?・・アレスじゃない?いつの間にこんなところまで来てたの?」
岸辺に立っている男の姿に気づき、ドーラは睨む。とっさに、露天風呂の底を破ったのはアレスなのだとドーラは悟る・・というか、勝手に決めつける。独断と偏見というやつだが・・・今回、それは正解でもあった。
「ちょっとアレス!な・・・」
ザザ〜っと立ち上がり、いつの間にここまで来たのか、何をやらかして上部の露天風呂だったところの底に穴を開けたのか、そして、ここがお目当ての迷宮なのかをアレスに問おうとして、その瞬間にドーラは自分の状態に気づき、慌てて水に浸かりなおす。
(ど、どうしよう?・・・・服も荷物も上の岩陰に置いてきちゃったし。)


おどおどしているドーラと反対にアレスは、変わらずしれっとした態度(冷めた?)である。
が、いつもならドーラがそこにいようがいまいが、叫ぼうがどうしようが、かまわず立ち去っているアレスだが、さすがにその状態のドーラは気になったのかなんなのかはわからないが・・・ごそごそと手近にあった宝箱をあさり始めた。
「何してんのよ、アレス?」
そこらに転がってるような宝物でご機嫌取ろうなんて無駄よ!と言おうとしていたドーラの目の前、岩の上に中から取り出した青っぽい服を置くとアレスはくるっと向きを変え、数歩進んだところの岩陰の向こうに身を寄せた。

「な、なによ・・これに着替えろっていうの?」
怒りながらも、何もないよりいいに決まっていた。ふと見ると衣装の上にタオルらしきものもある。
「ふ、ふ〜〜ん・・・」
結構気が付くじゃない?・・とは思ったが、口には出さないドーラ。
「・・・しかたないわね・・・こんな服、気に入らないけど・・この際・・・」
アレスが離れたとはいえ、一応警戒しつつ、素早く身体を拭き、その服を身にまとった。
「・・・え?な、なに?」
着替えが終わった頃合いを見計らい(絶妙なタイミングすぎるとも言えるが)アレスが傍まできていた。そして、ぐいっとドーラの眼前にぼろぼろになり、ところどころ破れた洋紙をつきだす。

「・・なになに?・・・・青の修道院に入るには、青の修道女もしくは青の修道女を同伴していなければならない・・・・って?」
そして、ドーラは自分の全身を眺める。
「これって・・・この青いのって・・まさか修道着?」
そうだ、とでも言うようにアレスは、ドーラを誘っているかのごとく、さっさと歩き始めた。
「あっ!ちょっと待ちなさいよっ!説明ぐらいしたらどうなの?!」


そして、慌てて追いかけたドーラと、何を言われても例のごとくだんまりを決めているアレスの目の前に、重厚な銅製の扉があった。
周囲は鉄製の分厚い壁に囲まれている。その扉も、壁に負けず劣らず頑丈である。
「ふん!ほらごらんなさい!あたしを置いていくからよ!結局・・・あたしがいなくちゃなんにもできないんだからっ!」
勝利宣言よろしくドーラはアレスに吼える。
が、それでも一言も返さないアレスにため息をつきながら、ドーラは扉の前、中央に立った。

−ギ、ギギギギーーーーー・・・・−
「開いたわよ、感謝するのね。このあたしがいなかったら、ここから先はどうあがいても進めなかったんですからねっ!」
たとえ青の修道女のこの衣装は見つけても、とドーラは意気揚々としてアレスを見つめていた。
いくら探索のためなら何でもするといっても、修道女の衣装を着ることには、さすがのアレスも抵抗感があったらしい。いや、その前にサイズも合わないだろうが。


「な、なんなのかしら、ここ・・・・修道院っていう雰囲気じゃないわね?」
中へと足を踏み入れた2人は、びりびりと全身に押し寄せてくる異様な気配に全神経を張りつめさせていた。
そう、どう考えても聖なる空気とは呼びがたかった。邪気・・・魔の瘴気の部類に属する空気だった。
真っ直ぐに進んだところは、祭室らしかった。奥に黒檀の台座が据えてある。
「えっと・・・ドアが3つあるけど、どっちへ行く?」
2人が進んできた道の反対側、台座の正面と左右に扉があった。
「別行動でもあたしはかまわないけど、でも、ここから先、青の修道女がいらないとは限らないでしょ?」
そうアレスに言ったときだった。
『待っていたぞ、青の花嫁。』
「え?」
『もう来ぬかと思うほど長かったが・・・いいだろう、約束だ。花嫁と引き替えに宝を持っていけ。好きなドアを開け入るがいい。』
ふわ〜っとドーラは空に浮いていた。そして台座の上へと下ろされた。
その台座の奥に現れた黒い影を見てドーラはぎょっとする。
徐々にはっきりしてきたその身体はどうみても人間ではなかった。それはあきらかに魔族に属する者。しかも顔が3つ。闇色をまとった青い龍の顔が全身体毛に覆われた人間の身体の上についていた。しかもその骨格は人間とは比べものにならないほどがっしりし、指先には鋭い爪、蹄のついた山羊足、魔の輝きを放つ真っ赤な瞳・・・明らかに魔人の形相である。
「え?・・な、なによ、その花嫁って?・・・・あ、あたしをどうしようっていうのよ?」
『宝箱の前で祈るがいい。お主の欲するものを。』
「ち、ちょっと!あたしの言うこと聞いてんのっ?!」
気持ち悪いと思いながらもドーラはにらみつけて叫ぶ。
「あっ!ちょっと!アレス!置いてくつもり?!」
信じられないといった声色がアレスに飛んだ。
それでも関係ないというように、アレスはドアに向かって進む。
「誰のおかげでここまで来れたと思ってんのよっ?!」
−ガチャリ・・・パタン・・−
が、アレスは素知らぬ顔で扉の1つを開けて入っていった。
「ア、アレス〜〜〜・・あ、あんたっていう奴わぁ〜〜〜〜!!!」
ごごごごご〜〜!!とドーラの怒りが燃え立つ。
『さてと、我が花嫁・・我が魔力の源となるべき女よ。なに、痛みなど露ほどにも感じぬよう食してやるから大丈夫だ。』
「え?・・・・花嫁って・・・餌なの?」
『我が血となり肉となり、1つとなるのだ。』
「じょ〜〜〜だんじゃないわよっ!誰があんたなんかに食べられるもんですか?!」
−ごあっ!−
ドーラの手から炎が躍り上がった。
『ふっふっふ・・・・炎か・・・人間にしてはなかなか見事だな。まー、食前の運動にもなりそうもないが?』
「な、なによ?バカにしてくれちゃって!いい?このドーラ様を食べようなんて100万年早いのよっ!・・・アレスの・・アレスの卑怯もの〜〜〜!!」
目の前の魔人よりドーラにとってはアレスの方に怒りを感じていた。その怒りを表すかのように炎は勢い良く燃えさかる。
「覚悟しなさいっ!」
その言葉は魔人に言ったのか、はたまたアレスに言ったのか・・・ドーラの身体が炎と共に勢い良く空を舞った。
青い修道着がまるで蝶の羽根のように広がる。

真っ赤な炎と深い青、そして、ドーラの金髪が薄闇に飛翔し、華麗な舞をみせていた。

「アレスっ!こいつを倒したら、次はあんたよ!」
ドーラの鋭い視線が闇を斬る。
    

※「むっつり・・・」の「・・・」には、剣士という言葉が入るんだぞ? /^^;

  
「なんであたしがこんなカッコを・・・・・」

同じくお絵描き掲示板に描いたものです。 
お姉さまに見えなくて・・ごめんなさい。m(_ _)m 


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