**Brandishサイドストーリー・番外編?**

番外編の番外編? 夢魔の吐息

***ある日ある時ある場所で・・・アレスとドーラのお話のおまけです***
  
 


すみません、お絵描き掲示板に描いたドーラのつもりの落書きです。
色調補正などしただけで、ほとんど落書きのまま・・。
こんなものもUPする管理人・・・笑ってやってくださいな〜(汗笑
   
         

 「ついに・・・ついにやったわ・・・アレスを・・お師匠様の仇を・・・・。」

辛く長い旅の果て、ドーラ・ドロンは、ついに魔術の師匠であり、育ての親であるバルカンの仇、賞金首アレスを倒した。

地上最高額の賞金首、アレス・トラーノス。冷徹無悲の極悪人・・・無敵といわれる腕を持つ剣士。闘神、いや、破壊神の生まれ変わりだとも言われている男。
その男を追いかけること幾星霜(笑)・・・幾度となくその腕の前に苦渋を飲まされたドーラだったが、(腕の前というより、その都度落とし穴や大岩に邪魔をされたといった方が正解かもしれないが)ついに、ある迷宮で手にした究極のサラマンダー術で、決戦を挑み、当初の目的を果たしたのである。


が・・・残念だったのは、アレスを倒す為には徹底的なまでの攻撃を必要とされたことからの結果・・・・つまり、炭化するほどまで焼き尽くさなければ勝利を得られそうもないと悟ったドーラの執拗なまでの火炎攻撃で・・・アレスは、原型留まらないほど焼けこげてしまっていた。

そう、つまり・・・その死体がアレスだと認定されず、賞金はもらえなかったのである。

「ま、まー・・・そう言われてしまっては、仕方ないわ。・・・分からないのはホントなんだし。だいいち賞金が目当てじゃなかったんだもの。」
一生遊んで暮らすこともできる賞金額。ドーラといえども、それを手にし損なったのは、非情に残念・・というか手痛かったが、それでも、そう言い聞かせ、最終決戦の場となった灼熱の土地のそこに、アレスのおこげを埋めた。


「まったく!最後の最後まで手がかかるんだから・・・・なによ?賞金が入るどころか、棺桶代、損しちゃったじゃないのっ!」
アレスの墓の前で、ひとしきり今は亡きアレスに罵声を浴びせると、ドーラは、ゆっくりそこを後にする。


「・・・・アレス・・・・・」
嬉しいはずの念願成就。バルカンの仇討ち。これで、胸をはって故郷へ帰ることができる。妹ミレーユの待つ故郷へ。・・・そう思って歩き始めたドーラだったが・・・・ふと寂しさを覚え、2,3歩ほど進んだところで後ろを、墓を振り返った。


「アレス・・・」
そして、今またアレスの名を小さく口にする。
自分の手で倒し、確かにそこへ埋めたのに、それはアレスではないような気がしてきていた。
(違う・・・・違うわよね・・アレスは・・アレスは・・・あたしの目をごまかして・・・そうよ!きっとそうよ!アレスは死んだんじゃない。あれは、アレスじゃないはずよ・・・だって、いつもあたしの術なんか簡単に避けて・・・・)
後悔?・・・いや、それは認めたくなかった。が、ドーラの心の中でアレスの死を否定する思いが生まれると同時に大きく膨らみ始めてきていた。
(アレス・・・・)
ドーラの脳裏に、アレスとの最終決戦の様子がよみがえる。


いつも軽くいなしてしまうドーラの攻撃を、その時は、ドーラの真摯な闘気に刺激されてか、アレスも真剣勝負を挑んできていた。最終決戦と呼ぶにふさわしい激しい攻撃、それまで絶対なまでの力を鼓舞する神鬼にうち勝ってきたアレスの攻撃、ドーラは負けるかもしれないと覚悟をしつつ、それでも、手にした究極の火炎術を繰り出していた。気力とそして体力、生命力まで振り絞り、たとえここで相打ちになろうとアレスを倒す!バルカンの仇をうつ!その決意のみに燃え、ドーラは必至で攻防を繰り返していた。
それは、ともすると仇討ちはやめようかと思うときがあった自分の迷いを振り払うためとも言えた。けじめを付けるため、自分の心をはっきりさせる為、命を賭してのアレスへの挑戦だった。

闘神アレス、が・・・禁断の術とも言われ地底深くに封印されていた術、世界をも焼き尽くすと言われるその術は、アレスの魔術はもちろん、剣による攻撃をも術者であるドーラに近づけさせない。いや、それほどドーラが連続して繰り出していたのだが・・・そこはやはりドーラの計り知れない魔力があったからであろう。通常の術者なら、その異常なまで必要とされる精神力の為に、反対にその術に飲まれ倒れてしまうと思われた。

アレスの生気がそこから消えるまでドーラの術は繰り返し繰り返し、その手から放たれていた。そして、生気が消滅したその瞬間、術はやみ、ドーラもまたその場に倒れた。数分後、気づいたドーラが、変わり果てた姿、炭のようになったそれを一番近くの町まで持ってきたわけなのだが。


「そうよ!アレスがあれしきの火炎で死ぬわけないわ!」
自分がその手で倒したというのに、ドーラの中では、その結論がはじき出されていた。
「きっといつものように、今までのように、あたしの目をあざむいてあの場から立ち去ったのよ・・・」
ぎゅっと両の拳を握りしめるドーラ。
「そうよ・・・きっとそうよ!そうに決まってる!」
−ベキ!−
ツカツカツカと墓に歩み寄り、十字架に掛けたアレスの名を刻んだ木製の墓標をさっと外し、ドーラはそれをへし折って投げ捨てる。


「待ってなさい!アレス!どこまで逃げようと、どこに隠れていようと、あたしが見つけてあげるから!」

くるっと向きを変え、再びドーラは歩き始めた。
(・・・アレス・・・・)

ドーラにとって、アレスを追う以外、彼女の道はどこにも、いや、アレスを追っていない彼女自身は、もはや彼女ではなかった。
その事実をはっきり悟り、ドーラは旅を続ける。アレスを追い、アレスの姿を求め、どこまでも・・・いつまでも・・・・。






「はっ!」
がばっとドーラは勢い良く身体を起こす。
(ここは・・・?)
そこは宿の一室。すでに昼近くなのだろうか、朝日にしては強すぎる日差しがドーラの横たわるベッドまで差し込んでいた。
「アレス・・・・・」
つい今し方見た夢をドーラは思い起こしていた。
まるで現実のような夢。


・・・・・あれは夢だったのか、それとも現実だったのか・・・そして今は現実なのか、それとも夢の続きなのか・・・・?今のこの現実は、・・・現実だったあれの続きなのか、それとも・・・あれは単なる夢で、現実は・・・?・・・・・

ドーラはぼんやりする頭で、そんなことを考えていた。
アレスを見失って数ヶ月。その足取りを追っているものの、いつもならそのうちにはドーラの前に現れるアレスの姿は、どこにもなかった。
探し当てた!と思ってその地へ足を踏み入れると、そこには、もはやアレスの姿はない、そんな日々が続いていた。

「アレス・・・いったい、どこにいるのよ?」
アレスを追い、あまりにも強行軍でその町まで旅をしてきたドーラは、そこで倒れてしまっていた。病気知らずのはずのドーラが。


「アレス・・・・・」
うつらうつら・・・あれこれ深く思考を巡らす前に、まだたまりたまっているその疲労度ゆえの眠りが、再びドーラを浅い眠りに誘い込んでいった。


「・・死んで・・なんか・・・いないわ・・よね・・・・・?・・・・・ア・・レス・・・?」
眠りの中、小さくドーラが呟いていた。
     


  

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