「ふふん、ざっとこんなものよ!」
耐魔の護符を見つけたあとのドーラはもう怖いものなしだった。
業火の床のトラップにはてこずったが、近くで見つけたスイッチでオフすることもできた。
ダークゾーンの最終トラップの、動く床の操作もなんとかこなして先に進み、出たところは、何やら怪しげな雰囲気の施設。
「ふ〜ん、またどこかの誰かさんと同じで、人体実験でもしてた施設かしら?」
壁にあった血しぶきの後を見てドーラは想像する。
敵も手強くはなっていたが、ヒールの魔法書も手にいれ、回復魔法をかけていれば多少の怪我も移動居ている間に治る。
「ドッペルゲンガーねえ……」
階段下の片隅で隠れるように小さくうずくまっていた一応?顔見知りの冒険者フレッドから、回復ポーションと引き換えにもらったトビラの鍵を手に、誰のドッペルゲンガーなのか、強いとフレッドは言っていたがどれほど強いのか…と、ドーラはなんとなくウキウキしつつ通路を進む。
「しまった!!」
火矢が仕掛けられていた通路で、とっさに横道に入ったドーラはその先にある隠し通路に足を踏み入れたときだった、そう、隠し通路のため目の前は壁が見えている。
そこに向かって進んだ先には、ぽっかりと穴が空いていた。
「きゃああああ・・・・・・」
おなじみの展開で、ドーラは穴に吸い込まれるように下へと落ちていく。
ースタン!ー
「ふふん、落っこちるのなんて慣れっこよ!下にトラップがなければ、このくらいの高さ、なんてことないわ!」
見事に着地するとドーラは周囲を見渡す。
どうやらそこは狭い空間。出口はないようだが・・・
「宝箱があるじゃないの!」
さっそく宝箱を開けるとそこには、どうしても見つからなかった階下のものと思われるカギがはいっていた。
「これであの先にも進めるわ!」 ワープの呪文書も入手。
ワープの魔法を発動させるには、精神力のフルパワーを要したが、空になった精神力の回復力も半端ないドーラにとっては、どうということもない。
「記憶の魔人」を開放して先に進みながらも、ワープの魔法を駆使して3匹を待ち伏せして、難なく倒すドーラの気分は絶好調!
「あ、あら?あたしったらいつの間に?」
が、気づくとマントがない!
ここまで来るまでの宝箱で見つけた最上級のマント【ホーリーマント】を羽織っていたはずなのだが。
「あたしとしたことが。戦闘に熱くなっていて気付かなかったわ。もしかして、少し前に通ったあの入口かしら?その前に確か【賢くなければ身を守れない】というような文字が壁に刻んであったような?」
戻ってみるとやはりというか、マントはそこにそのまま放置されていた。
「オッケー♪感は当たったわね。あちこち探す手間は省けたわ」
にこりと、床に置かれていたホーリーマントを羽織ると再び先を急ぐ。
そして最終エリアと思われる個所に足を踏み入れる。
そこでドーラを待ち構えていたのは、不敵な笑みを見せて立ちふさがるドーラだった。
「あらららら…最終ボスはあたしってこと?」
ふふん、と鼻を鳴らしてドーラは鞭を構えなおす。
「いいわね、今までのドッペルゲンガーじゃ物足りなかったから。あたしのコピーなら少しは手ごたえがあると期待していいのかしらね?」
そう呟きながらドーラは己のコピーに向かっていく。
ここへ来る前に、アンバー、ジンザ、そしてアレスと戦ってきた。
もちろん、その3人もフレッドが言っていた「手ごわいドッペルゲンガー」なのだ。当然、本人ではない。
「あたしのコピーだけあって、確かに戦い甲斐があるわね。でも、まだまだ甘いわよ!」
最後の一撃を与えて倒すとドーラは消滅していくそれを見つめながら葬送の?言葉を贈る。
「でも、そうね、あたしのコピーが一番強かったわ!」
おかしなところに満足し、ドーラはそろそろこれらの仕掛け人が登場するだろうエリアに転送させてくれるだろう魔法陣の上に乗った。
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