**Brandish3リプレイ創作ストーリー**



その30 炎の洗礼と見つからないスイッチ


地底湖のモンスター、巨大吸血水すまし?&根から毒液を吐く浮き草モンスター

 肌を刺すような冷たさの水の中、ドーラは急ぎ足で進む。
が、その冷たさと、そして、浮き草モンスターの毒飛ばし攻撃、果ては、巨大吸血アメンボモンスターの襲撃と、迷宮のように入り組み複雑に絡まりながら広がっている洞窟に、悪戦苦闘していた。
ガンテスの心配も頷けたが、ここで尻尾を巻いて戻ってはドーラの名がすたる!
歯を食いしばり、ドーラは冷たさに耐えつつ、先を急ぐ。凍死してしまいそうなほど凍えながら。


「え?なに?行き止まり?」
広い空洞に出たドーラは、壁に刻み込まれている文字を読む。
『炎の洗礼を受け入れよ!』
炎?・・・・・・ドーラは読んだその言葉を反芻しながら、周囲を見渡す。
道は他にはなかった。そして、そこにそんな意味深な刻印があるということは、道は合っているはずである。
炎・・・・・ふとドーラは自分の手を顔の前にかざし、意識を集中してみる。
ぼっと彼女の手のひらに炎が躍り出る。
「炎ねー・・・・・」
そして再びその空洞の壁に視線を飛ばす。その空洞の周囲はそれまで通ってきたところとは違い、土壁の間から、透明な輝きを放つ結構大粒な水晶が顔を出していた。

(確かに注意書きが壁に刻み込まれてることといい、あちこちボタンでの通路開閉の仕掛けがあったことといい、明らかに自然にできたものじゃないわね。というか、自然にこんな仕掛けができるわけないし。いったいどこのだれが、こんな仕掛けを作ったのかしらないけど、とにかくクリアしなくちゃ先へは進めないわけよね?)
一人呟きつつ、ドーラはふと思いついて、手のひらに踊るその炎を勢いよく目についた大きめな水晶に投げてみた。
−ボン!−
「きゃっ!」
果たしてそれが彼女が予期したことだったのかどうか・・・なんとなくとってみたその行動が先へ進む解決策なのかどうかは分からないが、ともかく、炎の洗礼という言葉はクリア出来たらしい、とドーラは感じた。
そう、彼女の放った炎は、水晶に跳ね返され、彼女に向かって勢いよく飛んできたのである。
「ふ〜〜ん・・・・・炎の洗礼ねー・・・」
咄嗟に炎を避けたドーラだったが、再び危険を感じ、彼女は身を避けた。
「な、なに?・・・・・水晶と水晶とで永遠に跳ね返り続けるとでもいうの?」
そう、彼女の放った炎は、対局する壁の水晶と水晶によってピンポンのように空洞を横切り続けているのである。
「何か他の物に当たらない限り、摩耗もしないってこと?」

と、その時、ドーラを追ってきたのか、彼女が通って来た洞窟から巨大吸血アメンボモンスターがすうっと音もなく滑るように水面を走って?現れた。
「あら?ちょうどいいかも?炎の洗礼は何もあたしが受ける必要もないわよね?・・って、ちょっとぉ、この空洞内にもいたの?」
凹凸のあるその壁の影に潜んでいたのか、ナイスタイミング?とばかりに、数匹の同型モンスターが姿を現す。
「ま、いいわ♪いらっしゃいな♪あんたたちも滅多に通る人がいなくて退屈してたんでしょ?血を吸う相手もなくてお腹ぺこぺこって顔よね?」
勝算をはじき出し、ドーラはにまりと笑い、炎を2つ3つと壁に投げつける。
−ぼん♪ぼん♪ぼん♪ぼん♪−
当然の成り行きだが、空洞内は、炎のピンポン玉が交差する。
−シュボン!−
「は〜い♪1匹〜♪」
−シュボン!−
「は〜い♪2匹目〜♪」
自分の放った炎の弾道?を見極め、ドーラはうまく彼らを誘導して炎の洗礼を受けさせていった。
もちろん、彼らが炎を受けた時点でその炎は消滅するので、また炎のピンポン玉は追加していく。
「あらあら、いったい何匹出てくんの?」
1匹倒せば、また新たなアメンボが1匹、と、それはまるで際限なく続くかと思われた。

「あらら?炎で湖水が干上がってきてない?」(この部分はメイキングです。/^^;)
炎の魔法はドーラの得意中の得意である。そして、また彼女は普通の魔導師とはかけ離れた魔力を持っていた。普通ならとっくに呪力もなくなり、際限なく出現してくるモンスターの餌になってしまうところだが、尽きることを知らないとでも言うような彼女の魔力の前では、侵入者の進行を阻もうというその仕掛け?は、功を奏しなかった。

そして、干上がったことにより現れた横道を潜り抜け、ドーラは奥へと進んでいった。(この部分はメイキングです。/^^;)

「あら?なんだか同じところをぐるぐるしてるばかりで、空かないトビラへのスイッチも見つからないんだけど・・・」

『騙されるな!元の場所に流される』と書かれた横のスイッチ押すのが何度目か考えるドーラ。
この横のドアから入るとまた元の場所に戻るだけだし・・・少し向こうにあるドアは何かにロックされていてそのスイッチを見つけないと空きそうも無いし・・・」

そんなことを考えながら、しばしスイッチを押して空いた向こうの流れを見つめている

−シュン!−

「あら?このドアは自動的に閉まるの?……なら、ひょっとして……」

どうしても少しは萎えたところのドアのスイッチが見つからないドーラの脳裏をとあるひらめきがささやく!

「スイッチはこれ1つで2か所用だったり?あとは自動的に閉まる前に向こうのドアに行けば?」

余裕でそこから少し離れたトビラの前まで進む。

「ぴんぽ〜〜!やったわね!これでぐるっと一周も終わりよ♪」



Back ・ INDEX ・ Next