**Brandish3リプレイ創作ストーリー**



その18 城内潜入?

    

 「女、どこへ行く?」
城門を堂々と(おいおい!)通ろうとしたドーラを、やはり一人の門番が呼び止めた。
(ちっ・・やっぱり無人というわけにはいかなかったわね。堂々としてれば、呼び止められることもないだろうと思ったけど、やっぱり任務に忠実な奴って結構いるものなのね。)
「貴様・・・」
ドーラをしげしげと見つめていたその兵士は、何かに思い当たったかのようにぎらりと目を光らせる。
「どこかで見た顔だな?」
ドーラの正面に立ち、兵士はぐいっと彼女の顔を覗き込む。
「この城に忍び込もうなんて考えてるんじゃないだろうな?」
「忍び込む?」
ふふん!と笑い、ドーラは兵士をにらみ返す。
「堂々と歩いてるのに、どう考えたら忍び込むなんて事が頭に浮かぶのよ。あんたバカじゃない?」
「な、なにを?」
「ゾールはこの城にいるんでしょ?堂々と通してもらうわよ。」
「いいだろう、会わせてやるさ。」
(あら、話が分かるじゃない)・・と言葉にしかかっていたドーラより前に兵士が別の言葉を口にしていた。
「但し、お前をふん縛ってからだ。ゾール様に差し出してやる!」
(あら、やっぱりそう来るの?)と思ったその瞬間、横から何かの影が勢いよくドーラと対峙していた兵士の頭めがけて飛んできた。

「このはったり女!お前みたいな弱そうな奴が勝てるわけないだろう!」
門番を横蹴りにして失神させたその影は、ドーラがカジノで見かけた女格闘家のアンバーだった。
「よけいなお世話よっ!弱そうとは何よ!弱そうとは!あんたの方こそ、頭悪そうに見えるわよ!アンバーとか言ったわね。確かカジノで酔いつぶれてた格闘家でしょ?無様もいいとこよ!だらしない!筋肉女でも一応は女なんでしょ?場所というものをわきまえたらどうなの?!」
「何よ!あんた、あたいが助けてやったのに、ごろまくつもり?」
「あたしがいつ助けてって言ったのよ!」

「う、う〜〜ん・・・・・」
2人が眉間にしわを寄せてにらみ合っていたその時、気絶したはずの兵士が早くも気付く気配を見せた。
「まずい!目を覚ましそうだ!今の内に城へ入るぞ!」
「言われなくても入るわよ!なんであんたなんかに仕切られなきゃいけないのよ!」
「なんだって?」
「何よ、文句ある?」

「う・・・・」
再び声をもらした兵士に、今は言い合ってる時じゃないと判断し、言いたいことは山ほどあったが、2人は目配せして門の中へと走り込んだ。


「あんたさー・・・やめとけよ、すぐ見つかって牢獄行きになっちまうよ?」
門の中へ入った2人は、城の大扉を目指して走っていた。
「失礼ね!言わせておけば、あたしはね、あんたみたいなただの筋肉女とは違うのよ!あんたこそこの城に何の用があるのよ!」
「はん!筋肉女で悪かったね!まー、そうだねー・・・だからかな?闘技場の相手じゃ物足りなくってさ。この城、どこかやばそうだろ?わくわくしないか?」
「ばっかじゃないの?それだけの事にこんな騒ぎ起こすなんて?」
「あんただって起こしてんじゃないか?」
「うるさいわね!あたしにはちゃんと理由があんのよっ!」
「まー、いいや。せいぜいとっつかまんないよーに気を付けるんだね。あたいはこっちから行くから。」
「勝手に行けば!あんたこそむやみに暴れまくって兵士達を煽らないでよ!」
「はん!そうしなきゃ大暴れする価値ないだろ?」
「こ・・・の・・筋肉バカ!」
「あははっ!騒がれるのがいやだったら、逃げたらいいだろ?今の内だよ?じゃね、あばよ!」


闇の中へ駈けていくアンバーの後ろ姿を見送ってから、ドーラはふと前方で、数人の兵士に囲まれ、槍を突きつけられて歩いている剣士を見つける。
(あ・・・・・バカがもう一人。)
暗闇ではあったが、ドーラにはその後ろ姿がアレスだということがすぐ分かった。
(なんでこんなところにあいつがいるの?)
そう思いながらもドーラは、ふとアレスの利用方法を思いつく。


(風精よ・・・・)
とっておきの利用価値、しかも、すぐ捕まってしまいそうなアンバーとは段違いに役立つことは確かである。ドーラは風精の杖をかざし、突風を念じる。

「うわ〜〜〜!!」
途端に一陣の突風がアレスを取り囲んでいた兵士たちを茂みの向こうへ吹き飛ばす。

「アレス、あんたバカじゃないの?あいつらに正攻法が通じると思ってたの?」
自分も正攻法で城内へ入ろうとしたことは棚に上げ、突風で兵士達を吹き飛ばした後、いかにも助けてやったとばかりにドーラは腕組みをしてアレスを見つめる。
「まったく!」
と、アンバーが大暴れしてるのか、離宮の方が騒がしくなったことに気付いたドーラは、説教は後回しにし、このチャンスを生かことにする。
「こっちよ、アレス!今は正面の大扉の方が警備は手薄のはずよ!」

そして、ドーラは、めずらしく大人しく付き従ってきているアレスを従え(?)、大扉へと走った。


「じゃね、アレス!あんたがこの城に何の用があるかは薄々分かってるけど、(アレスも砂岩板の件ではいいように利用されたみたいだから。)、いいこと?あたしの邪魔だけはしないでね!あのアンバー同様、せっせと城内の兵士どもを蹴散らして騒ぎを起こしてちょうだい!あ、それから、あたしがあんたなんかに遅れをとるつもりはないけど、万が一先にゾールを見つけたら、あたしに居場所を教えんのよ!いいわね、分かったわね!」

大扉を開けたそこは奥に謁見の間を控えた大広間。
めざとく侵入者を発見し、まっしぐらに駆けつけてくる十数名の兵士をアレス一人に任せ、ドーラは例のごとくちゃっかりとその場を出奔した。(笑  




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