**Brandish3リプレイ創作ストーリー**



その11 流砂の中の怪物

 

砂漠のラスボス、蟻地獄。一応お話の中では、この対決は昼間です。夜が描きたかったので。/^^;
地場の悪さを利用する卑怯なボスですよね?・・って蟻地獄なんだから当たり前?/^^;
 

  

 「きゃあっ!な、なに?・・・流砂?」
確かにアレスの後を追っていた。が、途中、通り抜けられる壁や連動開閉の扉などのトラップで、いつのまにかまたしてもアレスの行方は分からなくなっていた。

砂漠に棲む巨大蟻や巨大ガラガラ蛇、種を飛ばしてくる植物などの魔物と戦いながら、ドーラは遠く何かの廃墟らしい瓦礫の見えるところまできていた。
岩壁に囲まれていた砂地を出た広い砂漠地帯の向こうにその瓦礫は見えていた。
そこから町への道もあるかもしれない。その様子から今は行き来がなくなってしまっていても、町へ繋がる痕跡はあってもいいとドーラは判断して、そこへ向かおうとしたときだった。

−シャキーーン!−
流砂と共にその中央付近から巨大なハサミが突き出た。
「え?・・・ま、まさか・・これが噂に聞いた蟻地獄?」
−ズズズ−
そんなことを思っている間にもドーラの身体は徐々に砂の中へ飲み込まれていく。
−ズズッ!−
そして、その穴の底から半身を出した蟻地獄の主の姿に、ドーラはぎょっとする。
「ち、ちょっと、そのハサミであたしを突き抜こうっていうの?」
ハサミ虫かクワガタを連想したドーラは、大きくてするどいハサミにぞっとする。
−シャッ!−
「ととっ・・・」
その攻撃はなんとか交わしたものの、足場が悪く攻撃態勢が取れない。
自由が利かない身体を必至になって、それでも、ある程度その中心から離れたところまで避難する。が、もちろん一旦足を踏み入れてしまった流砂から逃れ出ることはできない。

「こうなったらいちかばちかよ!あたしが砂に埋もれるが早いか、召喚が早いか・・」
ぐっと杖を前に構え、ドーラは精神を集中する。
−ズズズズズ・・・−
大人しくなったドーラに満足したのか、蟻地獄の主は、満足そうに彼女を見ているだけで、襲おうとしなくなったことも幸いした。胸まで砂に埋もれつつも攻撃を受けずにすんだのである。
「出よ、火精、我が友!」
−ボボボボボ!−
ドーラの前面に大きく炎が躍り出る。
「行くわよ!反撃開始!」
麟と周囲に響くドーラの声と共に、火精は大きくその身を燃えたたせて主に向かっていく。
−しゅぼぼぼぼーー!−
そして、ドーラも火炎の術で熱気の渦を作り、胸まで浸かっていた蟻地獄から脱出する。
「あたしを餌にしようなんて百年早いのよ?あの世で後悔するのね。」
−ボウ!−
ドーラの火炎が周囲を舞っていた。熱砂をもっと熱く焼き、熱風が砂を巻き上げる。


「まったく・・弱いくせに、このドーラ様に向かってくるから・・・」
焼けこげた主の残骸にドーラは呟いてから、ハッとする。
「ちょっと待って・・・ということは?アレスはまだここを通ってないの?」
くるっと来た道を振り返る。
「ホントに鈍いわねー。いったいどこを彷徨ってんのよ?・・まったく、おかげでまた余分な汗かいちゃったじゃない。・・あーあ、お肌もぼろぼろよ。」

そこまで言ってドーラはこの流砂地帯へ出る直前の岩陰に回復の泉があったことを思い出す。
「いいわよね・・ちょっと休んでも。アレスはまだ通った気配ないし。なにより、こんなかさかさじゃ、たまらないわ。喉もカラカラだし。」

そこへ来るまでに見つけたわき水と異なり、そこはまさに回復の泉。岩場にできたオアシス。
ドーラはしばしそこで水浴することにした。
通り道のそこなら、アレスが通るとき、分かるはずである。

が・・・当然アレスもドーラの水浴姿を目にするのだが、戦いの後の疲労感とアレスへの憤慨感でいっぱいのドーラの頭に、その言葉はなかった。

「うーーん・・生き返るわ〜〜♪」
いつのまにかそこが砂漠地帯だということも、アレスの事も忘れ、ドーラは水浴を楽しんでいた。

髪を後ろで束ねて濡れないようにアップしているドーラの後ろ姿・・のつもりです。
画像の使い回しで失礼〜〜〜/^^;

 




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