**Brandish3リプレイ創作ストーリー**



その9 爆風の中のナイトと天の助け

 

あんなところから爆発で落ちて、なぜ生きていられるんだろぉ?/^^;
(死んでしまったらゲームが続かないというのは分かるけど・・・<笑)

 

  

 「はっ・・・」
ドーラは気づくと同時にがばっと頭を上げる。
記憶にあるのは、シャグベルの自爆による爆風に飛ばされたこと。屋敷の崩壊と共に。

(ここは・・・?)
そして、身体のあちこちに痛みを覚えつつ、周囲を見渡す。
(砂漠・・・・・)
どこまでも続く砂地と照りつける太陽・・それがドーラの目の前の景色だった。
そして、背後には、とてもではないが登れそうもないほどの高さと険しさをもった岩山があった。
(幽霊屋敷は、こんなところにあったのね。)
まるで塀のように続いている絶壁。そこ町への道はありそうもない。しかたなく、ドーラは絶壁に添って、砂漠を行くことにした。まさか絶壁に囲まれたすり鉢でもないだろう、といつか道が開けることを祈って、歩き始めた。

が・・・・・

「そうよね・・あそこから落ちたんだもの・・・」
立ち上がろうとしたドーラは、全身に走った激痛と目眩を覚えて、そこへうずくまる。
恨めしそうに今一度見上げた幽霊屋敷は、はるか高く、命があったことが不思議に思えた。

「そういえば・・・・」
ふとドーラの脳裏を駆け抜けた黒い影の記憶があった。
「あたしが落ちるとき・・・誰かがあたしを・・?」
爆風と瓦礫の衝撃からまるで守ってくれるようにドーラを包み込んだ影。
「あ・・あれは・・・そうよ・・あれは・・アレスだわっ!」
爆発のショックではっきりその人物を見たわけではない。が、ドーラは確信する。
「で、そのアレスはどうしたの?・・・まさかあたしだけ落ちたってことはないわよね?あの状況で?・・・一緒に落ちたはずよ!」

今また周囲を見渡したドーラは、少し離れたところに、自分の杖が落ちているのを発見して、よろよろとそこまで進む。
そして、杖を手にしてふと見たその先、岸壁の間から、澄んだ水が流れ出ていることを発見する。
(ひょっとして・・・・?)
それがそうなのか、確信は全くなかった。が、ドーラは本能に導かれるように、その岸壁へと近寄る。杖によりかかるようにして。

「おいし〜〜・・・・・・思ったとおり、回復の水だわ。」
天の助けとはこのことだろう。一口、そしてまた一口のむほどに、ドーラの全身から疲労とそしてあちこちにある傷と共に、打撲による痛みもひいていった。

「え?・・・血?」
人心地がつき、改めて周囲に目を配っていたドーラの瞳に、真新しい血のあとが入った。
(アレス・・・・)
小さくつぶやきながら、自分が倒れていたところを振り返ったドーラは、それまでは気づかなかったことにはっとする。
それは、ドーラの倒れていたところから、まるで人一人身体をずってそこまで来たような後があるからである。しかもその後を残した砂のところどころは血が滲んでいる。

(これって、つまり・・・・・)
彼女をかばい、重症を負ったアレスが、なんとか快復の泉まで、その身体を引きずったということだと咄嗟に判断する。

「でも、あたしが頼んだわけじゃないのよ・・・あたしをかばって怪我をしたのはあたしのせいじゃないわ。それに、結局はアレスもこの水で快復して、先に進んでいったのよ・・・ね?・・・・待って!?」
自爆したシャグベルが助かるとは思わなかった。が、自分から取り上げたあの砂岩板は?!と
ドーラははっとする。

「これって・・・・」
そして、ドーラが倒れていた場所と、泉とのほぼ中間地点に、砂岩板が落ちていたらしい痕跡を、その砂の上に発見する。

「アレス・・・持っていったわね?あたしが苦労してボレアの洞窟で手に入れた砂岩板を!お師匠様の死に関わる一連の謎を解くカギを!」

ひょっとしてアレスが助けたのは、ドーラを助けようとしたのではなく、その砂岩板を手に入れる為?

「そう、それで爆発の中に身を投じたってわけね。・・・純粋に、あたしを助ける為じゃなく、目的はあれだったのね?・・アレス・・あんたは何を企んでいるの?何をするためにフィベリアへ来たのよ?!その砂岩版をどうするつもり?」

ぐっと握りしめたドーラの拳が震える。
きっと顔をあげたドーラは、砂の上にのこっているまだ新しいと思われる足跡を見つけ、それに添って走り始める。

それはアレスの残した足跡に決まっていた。
「待ってなさい!その首とっつかまえて、何もかも吐かせてあげるから!」

勢い良く走り始めたドーラは、少し行ったところでくるっと向きを変えて戻ってくる。

「普通の水でも必須な砂漠に、体力も回復する水は貴重よね。空いてる瓶に満たして持てるだけ持っていかなくっちゃ!」

一見、理性が飛んでいたようだが、そこは、サバイバル生活に慣れ親しんでいるドーラ。一端は走り出したものの、ここが普通の場所ではないことに気づいて戻ってきたのである。

「備えあれば憂いナシ!急がば回れよ!」

−ヒュ〜〜〜〜・・・・−
が、四次元箱にあった空瓶全部をその水で満たしている間に、砂漠を吹くその風によって、アレスの足跡はほとんど消えていることに、唖然とするドーラ。

「ア・レ・ス〜〜・・・こ、これもあんたの計算のうちなの?」

またまた言いがかりとしか思えないようなセリフを吐いて、ドーラは、自分の記憶を辿って、アレスの進んだと思われる方向へと、急ぎ足で向かった。

「覚えてなさい、アレス!あんなところにか弱い女を放っておいて・・しかも重症の女をよ?自分だけ回復してさっさと行ってしまうなんて・・・・あのままあたしが気づかなかったらどうなってると思うのよ?・・・今頃、この熱さでドラアップしてるわよ!」

熱砂に負けないくらいの熱い怒りを帯び、ドーラはずんずんずんずん!と疲れを知らぬがごとく進んでいた。
アレスのおかげで、怪我もその程度ですんだ・・いや、命が救われたなどと、感謝することなど全くなく・・・。




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