**Brandish3リプレイ創作ストーリー**



その8 踊るシャグベル

 

かわいくなってしまった・・・。/^^;
 

  

 「お〜〜〜ほっほっほっほっほ〜〜〜!」

「こいつ・・・・見た目通りっていうか・・やっぱり・・ば・か?」
ドーラは、目の前で飛び回るシャグベルを冷ややかな眼で見つめていた。


そう、ドーラが戻った幽霊屋敷の地下2階、数々のトラップとゾンビなど魔物の攻撃をくぐり抜けた奥の奥にシャグベルはいた。
「おやおや、あの部屋から生きて出られたのなら、そのまま逃げ出せばよいものを・・・。あなたにはもう、用はないと言ったはずですよ。」
「そっちにはなくてもこっちにはあるのよ!このドーラ様をたばかってただで済むと思ってんの?」
いまいましげにドーラはきつい口調でシャグベルを睨む。
「ゾール様からお聞きしたとおり、勢いはよろしいようですね。ですが、それは無鉄砲というものですよ。利口な方のすることではありませんね。申し訳ありませんが、あなたには消えていただきましょうか。」

ふっとシャグベルの姿がドーラの目の前から消える。
そして、次の瞬間、青白い光がドーラに向かって飛んでくる。
が、その魔弾を間単にさけ、ドーラはすっと杖を構える。

「おーっほっほっほっ!後悔するのですね。このわたくしをここまで追ってきたことを。そして、感謝しなさい。このあたくし自らの手でここをあなたの墓場にしてさしあげることに。亡者たちもさぞかし喜ぶでしょうねー。あなたのような美しい女性をお仲間として迎えることができて。おーっほっほっほっ!」
スッスッとその姿を分身させながら、シャグベルは青白い魔弾をドーラに放ってくる。
「ほーっほっほっほ!このわたしの分身の術が見事見破られるますでしょうか?」

くるくるとドーラの周囲を自らも回転しながら回るシャグベルの本体とその分身たち。
もちろん、踊る?その片手間に魔弾を放ってくる。


−ズシン!−
そして、その魔弾の当たったところは、大きな穴が開く。
「一応、破壊力はあるわけね。でも、そんなスピードであたしを倒せられると思ってるの?」

しばらく小馬鹿にしたように、うんざりとした表情で、シャグベルたちの踊りを(笑)を見ていたドーラは、すっと杖を前面に構え直して精神を集中する。
その数秒後、ドーラの全身からオーラが滲み出る。
「汝らが友にして火炎の魔法使いドーラが願う、杖に宿りし火精よ、ここに出で、共に我らが敵を倒さん!」
−ボッ!−
ドーラの前面に真っ赤に燃えさかる火球が、杖から躍り出た。
−ボッ!ボッ!−
杖から出た3体の火精は、嬉々としてシャグベルとその分身に向かっていった。


「な、なんてことでしょう?!・・・・わ、わたくしの幻術が・・・破れるとは・・お、思ってもみませんでした。」
そして数分後、ドーラの目の前に焼けこげ、息絶え絶えになったシャグベルがいた。
「す、すばらしい・・お、おみごとですよ。」
ゾールの事を聞きただそうとするドーラにその時間を与えず、シャグベルは一人口早に、が、苦しそうに話していた。
「ご・・ご褒美として、あなたも、道連れにして差し上げましょう・・」
「え?」
最後の言葉に、勝ったと思っていたドーラもぎくっとする。魔法陣の転移で来たこの空間に出口はどこにも見られない。それもシャグベルから聞き出そうと思っていたのだが。

「おっほっほっほっほーーー!さあ、ご一緒に参りましょうか、ドーラ様?」
思わず数歩後ずさりしたドーラに、焼けただれ全身創痍のシャグベルは、最後の力を振り絞り、その身体を引きずって、ぐっと近づいた。自爆という形で目的を果たせなかった責を負う為に。

−ドーーーーン!−
やばい・・どこか逃げ道・・・そう思った瞬間、ドーラは爆風に包まれていた。
その激しい風圧と高熱を全身に受けながら、気が遠のいていくのを感じていた。
−ふっ!−
「え?」
気が遠のきつつあるうろおぼえの感覚の中、誰かが自分を包み込むような感じを受けながら、ドーラの意識は薄らいでいった。

(お師匠様・・・・ミレイユ・・・・・・)
全身の感覚が麻痺してしまった状態のドーラの脳裏に、走馬燈のようにそれまでの事が写っていた。くるくるくるくる・・・懐かしい顔が、場面が、まるでその日に戻ったように。             




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