『ニールとゆかいな仲間たち♪』
== ネクラ・・もとい!ネクロマンサー、ニールの徒然冒険記 ==

その28 「黄昏のエリー」(3)穏やかに時は流れる・・

 「母さん・・・・・結局見つからなかった・・・・」
その老人から母親の遺体を返してもらおうと決意し、エリーは戦士としての訓練を受けた。老ネクロマンサーが向かった先、常人では立ち入ることができない禁止区域に行く為に。
が・・・魔王が眠っていると噂されたその街へ行く前に、魔王は復活し、エリーは、母親と老ネクロマンサーのことは諦めざるを得なかった。
そして、全ての根元であるその魔王を倒そうとエリーは自ら進んでローグキャンプへと来ていたわけである。

「でも、あなたの召喚魔法は違ってたわ。勿論人間の蘇生などしないし・・・蘇生させた魔物たちはまるで生きているときと同じように嬉々として動いて・・・ただ、全身黒っぽくはなってしまうけど。」
その時の老人のことがあって、あんな態度をとってしまったことを、エリーは後悔していた。が、思えばそれも仕方のないこと。
「あなたに頼めば・・・元気なときと変わらない母さんと会えるかしら?」
ふとそんな考えが脳裏を過ぎり、エリーはそれを払拭した。
安らかに眠っている魂を揺り起こすようなことはしたくない。
(父さんと一緒にいるのに邪魔しちゃいけないわよね?)
エリーの父親は、彼女が生まれる前に戦場で亡くなっていた。顔も知らないが、話はいつも母親から聞いていた。そのことから、子供だったエリーにも、母の父に対する愛情がわかっていた。


「あの日も、こんな夕焼けだった・・・。真っ赤で・・まるで燃える炎のようで・・・・あの時はこれが血のように見えたんだけど・・・・。」
いつしか夕日が森を赤く染めていた。
「あなたとなら、命の炎に見えるわ。勢いよく元気に燃えさかる命の炎・・。そして、温かいの。とっても。」
まだまだ目覚めそうもないニールに、エリーは、一人話しかけていた。
「ホントに女には興味ないの?サシャナは?・・・・私のことは、どう思ってるの?」
『どうって・・・こうして一緒に旅をしているんだ。仲間だろ?他になんかあるのか?』
いつものニールの返事が、エリーの耳に響いた。
その言葉に嘘も隠し事もないと思えた。だとしたら、仲間以上になるにはどうしたらいいのか?
「この朴念仁・・・・世界も平和になったんだから、いい加減に人間の女に目を向けたら?」
が、それがサシャナやガルナーヴァ、あるいは、3人以外の女であっても、困るのが本音。
「そうね・・・せいぜいニールの大好きなお昼寝に付き合うことにしましょうか?それから、お酒の相手かな?」
うるさくしなければ、ニールは、結構機嫌良く横へ座らせてくれ、酌などもしてくれる。差しつ差されつ、それはお子様のサシャナにはできないことでもあり、賑やかなガルナーヴァではつきあえない種類のお酒でもある。
ふふっと軽く笑ってエリーは風が乱してしまったニールの前髪をそっと整える。

膝の上のニールはまだまだ起きそうもない・・・。
温かい日差しを感じながら、いつしかエリーもそのまま大木に寄りかかって眠りに入っていた。 

 

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