緑ぷよグリリの大冒険  


●● その7・そして、帰途(完) ●●


 

「ここまで来たはいいものの、これからどうするぷよ?」
四方を見渡しても見覚えはない。(ぷよりん村から出たことがなかったから当たり前)
「あの人たちもぷよの村なんて、聞いたことも行ったこともないって言ってたぷよ・・一体ぷよりん村はどこぷよ?どっちに行けばいいぷよ?」
大丈夫!と送ってきてくれた村人には言ったものの、実は、ぜんぜん大丈夫でない。
「ぷよぷよーーーー・・・」
グリリは途方に暮れていた。

「グーリリさーん!」
いつの間にかそこで眠ってしまっていたグリリは、はっとして声の方向を見た。その声には、確かに聞き覚えがあった。
そう!グリリをくしゃみで吹き飛ばした、あのコカトリスのおかあさんだ!
−ばさっばさっばさっ!−
近づいてくるコカトリスに、グリリは、慌てて近くの岩影に身を寄せた。
−・・ドシーーン!−
「ごほっごほっごほっ!」
砂煙が収まるのを待って、グリリはコカトリスの前に進み出た。
「ごめんなさいね、グリリさん。私としたことがいつのまにか飛ばしてしまってて。」
「ううん、ボクの方こそ。」
「グリリさんがいなくなってから、必死で探したのよ。でも、よかったわ。なんとか会うことができて。」
「うん!石も無事に取り戻せたぷよ!」
石の入った自分の身体を彼女に見せる。
「そのようね、グリリさんの身体から、石の力を感じるわ。やったわね、グリリさん。じゃ、さっそく村へ帰りましょう!」
「は、はい!お世話になりますぷよ。」
二度と乗りたくはなかったグリリだが、自分だけでは到底村へ帰ることはできない。やむおえず、彼女の好意に甘えることにした。
「でもよくここがわかったぷよ?」
「魔女のウイッチさんに、水晶でみていただいたの。そしたら、こっちの方向から不思議なパワーを感じるって聞いて、魔導石じゃないかと思ったの。もしかしたら、グリリさんじゃないかと思ったのよ。」
「ふーん、そうなんだぷよ。」
「今度は落とさないようにきちんと蓋付きバスケットを持ってきたのよ。グリリさんのおかあさんに編んでいただいたものなの。」
「か、かあさんに?」
「そう!あれからぷよりん村に行って来たのよ。村長さんやあなたのおかあさんに会って、絶対あなたを探し出すって約束してきたの。」
「そ、そうだったぷよ・・あ、ありがとうぷよ。」
母コカトリスやかあさんの気持ちがぐっと胸に迫り、感極まったグリリはついほろりと涙を流した。
「さあ、帰りましょう、グリリさん。」
そんなグリリを暖かく見つめると、彼女はグリリの前にバスケットを置いた。
「う、うん!」
身体を大きく振って涙を吹き飛ばすと、唾をごっくんと飲み込み、あの揺れを覚悟しながらグリリはバスケットに乗り込む。
中にはふかふか布団のイスが篭と一緒に編み込まれていた。それもシートベルト付き!
・・・ああ、かあさんの匂いがする!・・・
「いい?シートベルトをしっかり締めて!」
篭をくわえたコカトリスが羽ばたき始める。
「準備OKぷよ!」
かあさんの細かい気配りに感謝しながら、グリリは元気一杯に叫ぶ。
−バサッバサッバサッ!−

 グリリは着地の振動に悩まされながらも、母親の愛情こもったバスケットの中、時には揺り篭のように感じながらも、ようやく帰途につくことができたことを心から喜んだ。
数々の冒険を思いだしながら、かあさんの夢を見ながら・・・・・。



●● お わ り ●●



♪Thank you for reading!(^-^)♪


前ページへ 目次へ