★☆アドベンチャー狂詩曲★☆


  第十八話 [そして、吹っ飛び、いきなりエンディング?/^^;] 【完】 


 「かんぱーい!」
わいわいがやがや、そこは藍の神殿の広間の一つ。異世界から帰ってきたフィーらは、ミルフィーらに迎えられ、賑やかに食事をとっていた。


解決の糸口はどこにあるのか、どうしたらいいのか、きっかけさえわからず、旅を続けていた途中、銀龍はついに魔龍、つまり破壊神として具現化してしまった。
偶然の出会いが産んだ人間と有翼人のカップル、そして、銀龍の変わり果てた姿である闇龍という共通の敵ができたこと、その2つにより、2種族間の争いは、徐々になくなり、最終的に一致協力して闇龍を倒すことによって世界は救われた。
その過程で、様々な出来事があった。フィーたちに関しては、ミルが有翼人にさらわれたことだろう。が、それもまた2人にとって(特にフィーにとって)良い結果を導いたこととなった。

元の世界に帰ってきたその日、1つのテーブルを全員で囲み、話は賑やかに続いていた。もちろん異世界での出来事に。


「お疲れさま。」
「あ・・・こ、これは・・・」
「あなたにはすっかり子供達がお世話になって。」
「あ、いや・・・オ、オレは、仲間として当然のことをしたまでで・・・」
ミルフィーの酌を受け、ターナーが真っ赤になりながら照れ笑いをしていた。
「ね、私、思い出したんだけど、昔、ほんのしばらくだけど、一緒に探検したことなかったかしら?」
「あ・・・お、覚えてるのか?」
「途中から合流だったように記憶してるけど、塔の一角のトラップで飛んだ先で出会って、一緒に戻ってきたパーティーにあなたとよく似た武闘家がいたって思い出したの。」
「あ、ああ・・あんたは目立つからな。オ、オレは、よく覚えてる。トラップで飛ばされた先のガーニギアの町だったよな?一つ目の魔獣が暴れ回ってた町で。」
「やっぱり?」
「ち、ちょっと・・フィー?」
ターナーの横にミルフィーが座って楽しそうに話し始めたのをめざとく見つけたリーリアが、横のフィーをつついた。
「いいの?」
「いいの?って・・・親父もいるんだし?」
「でも・・・」
思い出話で弾むミルフィーとターナーを見るカルロスの表情は明らかに面白くなさそうだった。
「だ、だけど・・・別に話をしてるだけなんだぞ?やめさせる理由もないだろ?」
それはもっともだった。が、顔を少し赤く染めてミルフィーと話すターナーは、傍目から見ても嬉しそうであり、それがいけないのか、といえばいけなくはないのだが、そんな2人を渋い顔で見ているカルロスとの光景は・・・・なんとなく良くない雰囲気もあった。
「でも、おばさまは純粋に、その時の思い出話をしてるだけよ?」
「あ、うん、そうだよな?」
ミルの言葉にフィーも頷く。
「おじさまはいっしょじゃなかったような感じね?」
「そうだな。」
内緒話しているわけでもない2人の話は、少し耳をかたむければ聞こえてくる。そこにカルロスの名は出てこない。
(お前には、オレの知らない冒険がいくつあるんだ、ミルフィー?)
そう思いながら、カルロスはやきもきしていたとかしなかったとか。

ともかく・・・異世界での事件も無事解決し、にぎやかにそして、おだやかに神殿の夜は更けていった。

異世界において、闇龍となった銀龍は、フィー達の手により再び眠りにつき、世界は新しい夜明けを迎えた。
そして、フィーたちもまた新しい冒険を始める。
そこには、旅立つ前と比べ、ぐんと成長したフィーらがいた。
銀龍の守護騎士としては、まだ不完全なフィーではあったが、そこは、ミルと心を一つにして剣を振るうことで同等の力を出せるようになっていた。それは、魔龍となった銀龍との最終決戦の時、ようやく手にした力でもあった。そして、それはとりもなおさず、フィーとミルとの気持ちが通じたことを意味してもいた。

が・・・
「え?ミ、ミル、どうしてなんだ?急にハンナを連れて故郷へ帰るなんて?」
「1人で考えたいのよ。少し・・・・。ハンナも一度帰りたいって言ってるし。」
生まれ故郷へ妹のハンナを連れて一度帰るというミルの言葉に、フィーは焦っていた。
「父さんと母さんのお墓参りして・・・しばらくあの村でゆっくり・・」
「ミル・・・・」
どうあっても決心は変えないと断言しているミルの瞳に、フィーはそれ以上言えなかった。
ミルは、フィーのこと、そしてミルフィーのことをまだ完全に整理しきれていなかった。最終決戦で確かに心を1つにして戦った。が、それでもまだ心は揺れていた。自分で自分がわからなかったミルは、しばらくフィーから離れることを決めたのである。


「もう!帰ってきたばかりでそんな深刻な話はしなくてもいいでしょ?」
「そうそう。ね?もっといろいろ聞かせてちょうだい。今晩一晩じゃ尽きないでしょ?」
リーリアの言葉を受け、ミルフィーが深刻な表情で見合っていたフィーとミルににっこりと笑いかける。
「あ、うん。」
2人の仲はどうなるのか、それは誰も予想できないが、急ぐこともない、とミルフィーは思っていた。結ばれるべき2人なら、多少遠回りしてもいつかきっと結ばれる。ミルフィーは自分とカルロスの事を思い出しながらそう考えていた。

「あ!おばさま、あたし、聞きたいことがたっくさんあるんだけど?」
「あ!それなら、私も聞きたいわ。」
「え?・・・い、いいわよ?」
心配顔のフィーを尻目に、いつの間にか女同士固まって話し始めていた。


異世界での冒険の話、それにまつわる話など、話はいつまでたっても途絶えそうもなかった。いつもなら静寂に包まれている神殿の夜は、その日、楽しげな笑い声と話し声で、いつまでも賑やかだった。


すみません、INDEXにも書きましたが・・これから異世界の冒険だというのに、
大ジャンプ!そして、いきなり[完]とさせていただきました。m(__)m

いつか、思い出話として、また書くかもしれません。



♪Thank you so much!(^-^)♪

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