オリジナル絵本 
  -CGとショートショート-
 
 恵 み 
  

 
住む土地を追われ、啓示に従い約束の土地へ向かう一族がいた。
が、いつまで続くのかと思われる旅と雨期ゆえの食糧難。
それでも一族を率いる占術師を先頭に旅を続けていた。

そんなある日、彼らは川の向こうに野生の動物を見つける。


「おお神様・・・ありがとうございます。私達を救うため、野生の動物を遣わして下さったのですね。これで、一族、飢えなくてすみます。」

喜びに沸く一族の目の前で、占術師の声が高らかに響く。


「雷(いかずち)よ、厚き雲のベールを裂き、躍り出るがよい。我が意に従い、あれなる動物を射るがよい!」

−ゴロゴロゴロ・・−
人々は期待に胸をふくらませて、成り行きを見守っていた。
 


が・・・見事おこげになったごちそうを目の前に、彼女たちには、増水した川を渡る方法がなかった。

・・・・・・・・・・・。
  


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