「私・・・幸せになりたいの・・・ううん、生きている証しが・・・私が進むべき道を見つけたい・・。」
闇の中、奥深い森の道ならぬ道を一人の女性が彷徨っていた。
そこは、妖精が住むといわれている森。そして、迷いの森とも妖魔の森とも呼ばれていた。足を踏み入れ、無事戻ってきた者は少ない。
暗闇に淡く闇色に光る木々は、こっちへおいでと手招きをし、瞬間的に横を通り過ぎていく風は、そっちにいったら危険だよ、それは人喰いの木だからね、と囁いていく。
今日はフルムーン。月の波動が森の隅々まで及び、不思議な力が森を支配する。
「今日ならきっと妖精も見つかるわ。」
彼女は走る。すりきれてしまった靴を脱ぎ捨て、森の中を奥へ・・奥へと。
満月がやさしく誘うように、彼女の足下を照らしていた。
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