「あなたは・・だれ?・・・そして、私はだれ?」
生まれ出た少女神が聞く。
「あなたは私。私はあなた。滅びに向かっている私の世界はまもなく消え、生まれ出たあなたの世界がここに栄える。」
「滅びる?あなたの世界が・・・・・そして、私の世界が栄える?」
「それは定め。私は星神・・・この星の分身。私の寿命が尽きるとき、星も滅びる。そして、次なる星が生まれ出る。それは遙か遠き昔から繰り返されてきたこと。誰もそれは止められない。」
「・・あなたの代わりに私は産まれたの?・・・ここは・・ひとりぽっち?」
「1人と感じるかどうかは、あなたの中に、その星に生まれ出る生命によって違ってくるわ。いずれ生まれ出る知的生命体。・・・彼らがあなたを感じるか、感じないか・・あなたの愛に応えてくれるか、くれないか・・・。」
「・・・・・」
どう答えたらいいのかわからず、じっと自分を見上げている少女神を、星の娘(こ)と呼ばれた女神は、やさしい微笑みで包み込んだ。
「2人でいられる時は短いわ。交代の今この時だけ。私もかつてあなただった。そして、あなたは私になる。」
「私が、あなたに・・・」
不思議なやさしさと温かさを持つ微笑みを残し、己の月の輝きの中へと姿をとかしていった女神の残像をそこに見つつ、少女神は、いつまでもそこに佇んでいた。
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