* 悲しき龍族 *
--呪われし聖地--


忘却の彼方・・時の狭間へ堕ちた町ザムハン。

最果ての西の地にあるというその町は呪われし町。


町から数キロ、森を隔てたところに城があった。
永き眠りについた呪われし城、アーケディア城である。

そして、その地下・・・・そこに龍の聖地への入口があった。

かつて栄光と栄華を誇った覇者、龍兵たちの聖なる地。

龍一族の安息地。

・・・・・悲しみと嘆きの墓場と成り果てた呪われし聖地。
  
  
  


−ギギギギギーーーーー・・・・・−

両端に立つ龍の彫刻の赤い瞳が輝き、
鉄製の重い扉は、ゆっくりと軋みながらひとりでに開く。


せまい階段を下りると、突然視野が開けた。

そこは、城の地下とは思えないほどの広さ。

異なる空間、別世界がそこにあった。
     
  
  


−バサッ!バサッ!−

老いた龍が1頭力無く飛んでいた。

彼は、死の大地と変わり果てた聖地を、
悲しげに見つめながら飛んでいた。

己自身にかけられた呪いからようやく解き放たれ、
龍の姿に戻り、その地へ帰ってきたというのに・・・。


百年ぶりに見る故郷である聖地は、あまりにも変わり果てていた。

予期していたこととはいえ、その光景は、老龍の心に突き刺さる。
 
  
  

 
『もはや戻らぬものなのか・・・どうあがいても?』

老龍は、山の頂に降り立ち、一人悲しみにくれる。

『聖剣テスタロッサの力を持ってしても・・・この呪いは解けぬのか。
・・・過ぎし日の・・・幻影を見させてくれるだけなのか?』
  
  いつしか、老龍は、過去に想いを馳せていた。
二度と戻らない過去へと。
  
  
 



やさしい陽の光。澄んだ空気と
緑豊かな大地、澄みきった水を湛えていた湖。

一族は平和に、そして仲良く暮らしていた。

何人も侵すことのできない龍族の聖地。
それは、永久に続くと、誰しも信じて疑わなかった。
 
  
  
  

 
変わり果てた聖地・・・

それは、 呪われし血に飢えた軍神・・・

全てはそこから始まった。

龍族の栄光は、そして、ザムハンの栄光も、地に堕ちる。


『我が戦友にしてザムハンの王・アーケディア城主、ヤールよ・・・』


昔を思い出し、ふと後悔の念が沸く。


『もしも、禁断の書物を手にしなかったのならば・・・

お主もそして、我らも、

このような憂き目には合わずにすんだのであろうか?』


が、その老龍・・・龍族の長グリムは知っていた。
それは避け得ることのできなかった運命の輪。
その輪との出会いはどうしようもなかったのだ、と。



『ならば・・・この呪いから解き放ってくれる者との出会いは?』



二度と元へは戻らぬというのなら
せめてこの地獄から解放してくれる人物を、
とグリムは切に願っていた。

死してなお、苦しみ、もがき・・・
自ら呪いを吐き続ける仲間たち。



『ああ、もうたくさんだ。

我一人龍の姿に戻れても

それがどうしたというのだ?』


変わり果てたそこは、死ぬに死ねない仲間たちの嘆きで満ちていた。
死霊として、この世に縛られ続けている老龍の同胞たち。

為す術もなく見ているだけの己自身が、
老龍には身が切れるほど口惜しく思えた。
が、どうしようもないことも確か。
   
  
 
『戦士よ・・・力あるのなら、この呪いから解き放ってくれ。

我らを、我ら龍の聖地を。

そして、呪われし城・・・呪われし町、ザムハンを。』


 

戦士の近づく気配を感じ、
老龍の悲しみに沈んだその表情にうっすらと笑みが浮かぶ。



『我を倒し、その力を示してみせよ。

まこと、軍神をも凌ぐ力があるのかどうか・・・

希望を託していいのかどうか・・・。

我が死をもってその証を示せ。』
 




老龍は、ゆっくりと舞い上がった。

戦士との戦いに出向くために。

龍兵として、一族の長として、
最後の戦いに己の存在を・・そして希望をかける。


その戦士が、この呪縛から解き放ってくれる人物であらんことを。 
 



※これは、オリジナルのINDEXの方にもリンクを置きましたが、
実は、日本ファルコムのゲーム『ダイナソア』のワンシーン?です。

重き運命を背負う剣士アッシュ。死神と呼ばれ人々から恐れられ、嫌われているその人物が主人公のゲーム。
仲間になる登場人物も、重い過去を背負っていたり、難題と言える使命があったりで・・なんといいましょうか。/^^;

その中の一場面、龍の墓場でのことを膨らませて(少し変えて)書いてみました。
尚、画像は、実はこれ用にと思って作ったものではなく、偶然の産物です。(笑
(3D景観用ソフトと廉価版ドローソフトで作成)



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